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けたたましいエンジン音が近づいてきて、次々に工場の外でとまった。
はしゃぐ声がしたと思うと、扉の壊れた入り口から、派手な服装の少年たちが入ってきた。
煙草を吹かしたり、ガラクタを蹴飛ばしているその真ん中に、セーラー服の少女がいた。うつむいて、胸のところで、カバンをぎゅっと抱きしめている。
パーカーの少年が、これ見よがしにつばを吐いてから、あごをしゃくった。
「言われなくても、とっとと行けよ。痛い目にあいたくねえだろ」
少女が、小さくうなずいた。
重い足取りで、暗がりへと向かうそのか弱い背中を、少年たちがにやにやしながらついていく。
工作台の陰から顔をだしていた光一が、ぶるっと肩を揺らして、ふたりをふりかえった。
「おい、どうする?」
四つん這いになっていた圭介が、顔をあげ、目をパッチリ見ひらいた。
「たいへんだよ、なんとかしないと」
翔太が、かちかちと歯を鳴らし、震える声でつぶやいた。
「警察しかないよ、一一〇番しか」