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Kiss of Monster 01  作者: 奏路野仁
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005

彼女達はこちらが頼んでいないのに自己紹介を始める。

ネコ娘の「宮田杏(ミヤタ アンズ)」短めのくせっ毛がかわいい。

雪女の「栄椿サカエ ツバキ)」は前髪パッツンのボクっ娘。

絡新婦の「柏木梢カシワギ コズエ)」は年齢誤魔化していそうな大人の佇まい。

前置きさえ無ければ「隣のクラスの仲良し3人組」な認識だろうか。

それでその、和風妖怪総本家的な皆さんが僕にどんな御用なのでしょうか。

「何オマエ。アタシ達の自己紹介信じるの?」

嘘吐く理由があるのだろうか。冗談だとしたら面白くない。

あの吸血鬼に出会っていなければ驚いたかも。

信じると言うか、仔猫とかカワイイじゃないですか。

「こっ仔猫とか言うなっ。」

慌てる宮田杏を脇に押し

「アナタ拉致られているのよ?自覚している?」

と凄むのは柏木梢。

でもどうしてだろう「怖い」とは感じない。麻痺しているのか?

自覚、ですか。そうですね。

「何?いつでも逃げられるぞって余裕でもかましているの?」

「それとも何か必殺技があるのか?」

栄椿の言葉に三人は後ずさりするのだが

いえ逃げるつもり余裕も必殺技もありません。ただ僕の正体なんて聞いてどうするのかなと。

3人は少し離れて輪になり

「どうするってどうするつもりなんだっけ?」

「聞いてみようって言ったの杏ちゃんでしょ。」

「だって気になるじゃん。」

小声で言ってはいるが全て聞こえている。

咳払いし注目させてから

あのちょっとよろしいでしょうか。

「にゃんだ。今忙しいんだ。」

いや、えーっと、本当の事をお話するので、聞いていただけます?

「お?話す気になったな。」

なんなんだろうこのB級映画のノリ。

はい。ですがガッカリしても怒らないでくださいね。

「は?」

たまたま神社にお参りに行って、たままた橘結と留学生に出会った。ただそれだけ。

僕は2人が何者なのかなんて知らなかった。今でも知らない。

本当にただ居合わせただけです。

「もしかしてそれでお互いから「あいつと知り合い」とか思われたのかも。」

柏木梢の推理はおそらく当たっている。

そうでなければヴァンパイアも巫女も僕と「トモダチになろう」なんて言うはずがない。

「いやいや嘘でしょ。嘘だって。」

栄椿の否定は何が根拠なのだろうか。

「同じクラスの奴があの超絶美少女の橘結とあのハーレム系ヴァンパイアを知らないとか無いでしょ。」

そこ?

「ボク達のクラスの連中だって騒いでいるっての。」

あ、いや神社で2人に出会ったのは入学前だから。

「それだけで2人とトモダチになったの?何か言い忘れていない?」

栄椿が1人興奮し、柏木梢が勘繰る最中、宮田杏はジッと僕を見据える。

「オマエ、変な奴だな。」

貴女達には負けます。なんて言える筈がない。

「アタシ達が怖くないのか?」

怖い?どうして?3人共こんなカワイイのに

「かっカワイイとか言うなっ。」

慌てる宮田杏。唖然とする栄椿。笑い出す柏木梢。

3人は再び少し離れて輪になる。今度は何も聞こえない。

すぐに結論が出たようで何よりだが僕の目の前でとんでもない事を言った。

「オマエ、名前は。」

マカベキズナです。

「マカベキズナ。うん。オマエ、今日からアタシ達のトモダチになれ。」

はい?

「アタシ達を恐れない。」

「ボク達の正体信じちゃう。」

「何より私の事カワイイって」

「達な。達。」

「だからたった今からオマエはアタシ達のトモダチだっ。」

トモダチが増えた。


1時間目はとっくに始まっていた。

こつそり教室に戻る(隣の教室では賑やかに3人が戻ったのがここまで聞こえた)と

「真壁、保健室に行っていたのか?」

あ、いえ。

「じゃあすぐ行きなさい。お姉さんが呼んでいたぞ。」

お姉さん?

この教師は何を言っている。僕は1人っ子だ。姉なんていない。

保健室か。折角だから少し休みたい。

何だかとても疲れた。

朝からヴァンパイアやら巫女やらネコ娘やらとトモダチになって。

失礼します。

「はいよー。」

保健室には女性の養護教諭が1人机で書類作成に勤しんでいる。

「どした?」

少々頭痛がするので休ませてもらおうかと。

「じやあコレ書いて。」

と顔も向けずにクリップボード(小さな画板)を差し出す。

クラスに氏名に薬のアレルギー。ここに来た理由と。

はい書きました。

「うん。」

と、ようやく椅子毎コチラに身体を向けクリップボードに目を落とす。

寝てていいですか?

返事の前にバッと顔を上げ

「マカベキズナ?早く言えよっ。来るの遅いよっ。」

ええ?ごめんなさい。

「お母さんはマトイ)さんでしょ。」

この人は母を知っている。

でも事故で、と伝える前に彼女は立ち上がり僕を抱き寄せて

「あんな事になって。」

少しの間、彼女は僕を抱きしめながら震えていた。

「纏姉ちゃんはいつも私を守ってくれた。」

「あの人だけが私の味方だった。」

彼女は「他の皆は敵だった」かのような言い方をした。

実家近くの病院で出産した母を訪ね僕を抱かせてもらったと言い

その後も母が帰省する度に幼い僕に会っていた。

でもごめんなさい。僕は覚えていない。


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