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Kiss of Monster 01  作者: 奏路野仁
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004

翌朝、登校後直ぐに保健室に向かう予定だった。

教室へ入る前に寄るつもりでいたのだが校門で僕を待ち構えていたのは

王子様。

取り巻きの女子達はいない。

「キミは僕に気付くんだね。」

こんなに目立つ奴が何を言っているのだろうかと、この時は思っていた。

「キミは一体何者なんだ?」

何か、用ですか?

「人の子にしか見えない。それとも何か隠している?」

何も隠していない。僕は何者でもない。

目も合わせず僕は正直に答えた。

彼は笑って言った。

「オモシロイね。うん。ボクはキミが気に入ったよ。」

彼は僕の手を取り、言った。

「ボクはエーリッキ・プナイリンナ。エリクでいい。」

そして

「今日からボクたちはトモダチだ。」


僕の人生初の友人は

フィンランドからの留学生。

ヴァンパイア。

イケメンで背が高く笑顔が爽やかでいつもクラスメイトに囲まれている。

彼が教室に入ると男子も女子も関係なく彼に群がる。

カバンを置いて保健室に行こう。と席まで行くと

橘結が僕を見るなり駆け寄った。

続くように南室綴ともう1人(昨日僕の髪を掴んだ女子)が歩み寄る。

「大丈夫だった?怪我とかしていない?」

え?ああはい。大丈夫です。

「無理しないでね。綴ちゃん強いから。」

はい。気を付けます。

「あら。ワタシに気を付けるって聞こえるわ。」

昨日とは違う。口調だけではなく表情からして穏やかで別人なのかと思いたくなるほど。

「昨日は本当にごめんなさい。呼び出しておいて遅くなるなんて。」

と、橘結が謝るのと同時にもう1人の女子「小室絢コムロ アヤ)」が

「姫が遅くなったのはお前の責任でもあるからな。」

責任?

「ちょっと。キズナ君に責任なんてないよっ。」

「違うの。ほら神社で助けてもらって、その御礼を探していの。」

お礼?僕は何もしていない。ただ怖くて腰を抜かしただけだ。

助けたのはあの王子様。エーリッキ・プナイリンナ。

「それでその、えーっと、私とトモダチになってもらえませんか?」

はい?

「まさかイヤって言うつもりじゃ」

小室絢の脅迫に南室綴が疑問を抱く。

「あら?絢ちゃん反対していなかった?」

「イイんだよ。昨日姫から事情聞いたから。ホレ、あの風船の子。」

「うそっ。そうなの?そうなの姫。」

風船の子?

「いっ。それは今いいのよ。ああっキズナ君。保健室っ。」

保健室?

「紹実姉ちゃんじゃなかった三原先生に呼ばれているんでしょ?」

ああそうだった。


HRが始まる前に用事が済むといいけど

と教室を出たのだが、結局保健室に辿り着いたのはHRどころか1時間目の途中だった。

教室を出て、隣の教室の前を通ると中から女子生徒が2人現れ、僕の両脇に並びそれぞれ腕を取った。

そして前に1人。「行くぞ」と顔で2人に合図。そうか僕は連行されているのか。

何かがおかしい。

あの吸血鬼達のような黒い影ではないがそれに近い「何か」だ。

僕に背を向け先導している女子からは、気の所為だろうか「猫」のような影。

すれ違う生徒たちが怯えるように道を開け、時に僕を憐れむような目で見送る。

別棟の端の教室。美術室か。

「泣いても叫んでも無駄よ。今日は1時間目に美術が無いのは調べてあるから。」

僕は拘束されるでもなくただ座らされ、彼女達3人が立ち並ぶ。

品定めするように眺め

「オマエ、どうして抵抗もせず黙って付いてきた?」

何かお話があるのかと。

「ふん。オマエ何者なんだ。」

「吸血鬼と巫女連中と仲良しとか。正体を言えっ。」

この子達はエリクがヴァンパイアなのを知っている。

だが訂正しなければ。僕は誰とも仲良しではない。

どうやらリーダーらしい女子が僕を睨む。

やっぱり猫だ。猫の目だ。

ねこ?猫娘?

「にゃんで判ったっ。」

つい口にしてしまった事を後悔する暇もなく、3人の目付きが変わる。


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