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Kiss of Monster 01  作者: 奏路野仁
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029

橘結が公園の屋台を歩くと

「サービスだよ」とイカ焼きやらお面やら何かと声を掛けられる。

風船を貰って、彼女が僕に渡す。

小さい時もこうして風船持って歩いて

無意識に口していた。

「あの時キズナ君が風船持っていて、私も欲しくなってじっと見ていたらくれたのよね。」

でもそれじゃ悪いから「2人で持とうね。」てユイちゃんが言って

自然と溢れ蘇る記憶。

僕は母と神楽殿で舞う子供達を見ていた。それが終わると裏手に回り

母は大人の女性と話しをしていて、僕はその人から1人の小さな巫女を紹介された。

「この子はキズナ君。」

するとは母は

「この子はユイちゃん。」

「少し遊んだらまたここに来るのよ。花火が綺麗に見えるから。」

とお小遣いをもらうと、浴衣に着替えた女の子と屋台を走り回った。

あの日も今日のようにイロイロと貰って

僕達は風船越しに長い石段を登った。

麓の湖で花火が上がる。

暗くなった境内にはあまり人がいなくて、ただ花火の音が響く。

僕はあの日交わした約束を思い出した。

母との約束。

それは橘結との約束の確認。

あの夜、僕達は風船を持つ手を取り合い花火を見ながら約束を交わした。

「あの時、楽しくて嬉しくて。でも花火が終わったらお別れなのが判っていて。」

橘結はあの夜のようにポロポロと泣き出した。

幼い彼女は僕の手を強く握り言った。

「せっかくお友達になれたのに。」

大丈夫。ずっとトモダチだよ。

「本当に?また会いに来てくれる?」

約束する。きっと会いに来る。

ごめんねユイちゃん。遅くなって。

「うん。また来てくれて嬉しい。」

あの日のように、風船を持つ手を握り合い花火を見ている。

僕達は2人はあの日からずっとトモダチのままだ。


新学期初日。登校早々エリクに呼ばれる。

始業式が終わるとその足で狼男のグンデ・ルードスロットと共に彼の新居を訪れる。

高そうなマンションの一室には引っ越しと呼べるほどの荷物は無い。

彼は僕達2人か落ち着く間もなく本題に入る。

「キズナはサーラを襲った仮面の女性を覚えている?」

蛇使いの人だよね。

「彼女はアレクサンドラと言ってメデューサの血を引く。」

「それにサーラの友人だ。」

友人?

親同士が知り合いで幼い頃からの友人。

何かと「張り合っている」だけの間柄。

実際、あの日誰も怪我をしていない。サーラ本人は無傷で運転手も眠っただけ。

僕もただ眠っただけ。

「彼女は再び日本に来た。2人とも気を付けて。」

僕は判る。でも

「ワイ(Why)?私も?」

「うん。ちょっと気になる事がある。」

「アレクサンドラに情報を流した者がいる。」

「そして日本の、キミ達の言う「継ぐ者」を探している。」

エリクはこの時、それが誰なのかを知っていたのだろう。

目的も。だからこそ僕達を呼んだ。

「キミ達に頼みがある。」

ヴァンパイアの王子が狼男に頼み事。

え?僕にも?

エーリッキ・プナ入りンナの当初の来日の目的は

「ユイ・タチバナを守る。」

「彼女は人ならざる者を人と成す。」

「なんのことね?」

「キミをウルフヘジンからただの人にできる。」

「おうっマジッスカ。」

エリクが橘結を守ろうとするのは、彼女を狙う存在を知ったから。

橘結の力を悪用させてはならない。

彼が危惧した通り、橘結は襲われ、間一髪エリクは間に合う。

たが

「あの時、ボクはボクが先に彼女を手に入れる機会だと思った。」

「神も仏も恐れぬとはユーの事ね。罰当たりなヴァンパイアっ。」

ルーは橘結の正体を知っているの?

「ショウタイ?あのプリンセスは光の子よ。」

「だけど彼女の手を取って、彼女の目を見た瞬間ボクにも判った。」

「彼女は守らなければならない。って。」

エリクは、橘結に一瞬でも恐怖を与えてしまった事をずっと後悔していた。

罪滅ぼしなのかあの日からずっと陰ながら彼女を守り続けている。

直接見張る必要はない(南室綴と小室絢がいる)。

彼は放課後になると1人街を回り警戒を続けていた。

(後にこれは三原紹実が事実だと証言する)

そして彼はとうとう白状した。

「キズナ。キミも気付いていただろう。」

ただの勘違いだとしても、橘結と親しく見えた僕を利用し、橘結に近付く。

まあ、うん。そうしたくなる気持ちは判るから。でも

でもエリクは何も言わなかった。僕なんか脅してそうする事も簡単なはずなのに。

「それはキミが本当のトモダチになったから。」

彼は彼がサーラに吐き続けている嘘を僕がバラさなかった事に感謝した。

もしかしたらそれで彼女が僕を傷付けたかも知れない。

「それでもキミはサーラを救ってくれた。」

「だからこそキミにも頼みたい。」

「一緒にユイ・タチバナを守ってほしい。」


「すっかりあの2人と仲良くなったのね。」

エリクとの話しをファミレスで伝えた僕に南室綴は言った。

「アナタこそ気を付けるのよ。」

気を付けるって何に?

「あまりヘンな連中に関わると面倒が増えるぞ。」

「杏ちゃんが言っても説得力がまるでないな。」

「そうね。ヘンな連中の親分だものね。」

「連中てのはボクも入るのかねツヅリン。」

「アタシ達は化物とか妖怪だとか呼ばれるとげマカベキズナはただの人の子だぞ。」

「オレだって人の子だぞ。」

「オマエは怪獣だよ。人間の怪獣。」

「珍獣のくせに。」

僕も小さい頃からフランケン(あれは本来博士の名前なのだが)とか化物とか呼ばれていましたよ。

「そうなの?」

「フランケンには見えないわね。むしろ怪物くんよね。」

「何処かに帽子ない?」

「何その怪物くんて。」

「カワイ子ちゃんに弱い怪物ランドのプリンスよ。知らないの?」

あれ?何の話をしていた?


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