025
「あの吸血鬼兄妹と先に海行っちゃったから負い目感じているのね。」
柏木梢の指摘は半分正解だ。
順番は関係ない。
「まあ姫ちゃん達に対する罪悪感みたいなのだろうけどさ。」
「まあ事情が事情だからなぁ。」
事情って?
柏木梢は話しを続ける前に宮田杏と栄椿に目配せする。
「オマエさ、私達が以前4人でつるんでいたのは知っているんだよな。」
あ、はい。
「つまりそれ。」
橘結は、人ならざる者を「人」にしてしまう。
ヴァンパイアに限らず、それを脅威と捉える者はいる。
そしてそれを排除しようとする者も。
エリクが橘結を脅威とみなし排除しようとしている?
飽きたのか宮田杏がボソリと言った。
「んー細かい事情はともかくさー。」
「要するにアイツらがマカベキズナを信じていないって事じゃないのか?」
「アタシはそっちに腹立つけどな。」
「それもそうよね。」
宮田杏の無理やりな理論に柏木梢も納得した。
「むしろこの状況ならマカベキズナこそ心配されるべきよね。」
「ヴァンパイア兄妹にいいように虜にされたとかさ。」
「違うなら喜ぶべきでしょ。マカベキズナが夏休み前危険な状況だったのはアイツらが言ったのだから。」
だからこそ仕方ない。こうなる事は判っていた。
「オマエはそれでいいのかマカベキズナ。」
宮田杏は僕を睨む。
じっと睨み、フと柏木梢と栄椿に目配せする。2人は黙って頷く。
「わかった。」
宮田杏は立ち上がる。
僕との縁を切るのだろう。
「アタシもアイツらとトモダチ辞める。」
え?
「ボクも辞める。」
「そうね。そうしましょう。」
2人は何の躊躇もなく同意して立ち上がる。
何言っているの?ちょっと待ってよ。
「いや待たない。マカベキズナがアイツらとトモダチじゃないならアタシ達にとってもトモダチじゃない。」
どうしてそうなるの。皆と彼女達との関係に僕は関係無いじゃないか。
「知らんっ。」
知らんって
「おかしくなんてないわ。忘れたの?私達はアナタに望まれて彼女達とトモダチになったのよ。」
どうしてこうなった?
呆気に取られている僕に柏木梢が問いかける。
「で?」
でって?
「どうするの?このままだと本当に私達、橘さん達とトモダチ解消するわよ。」
脅迫だ
「答え合わせ必要なの?」
判りました。橘さん達に全部話します。だからと言ってそれを信じるかどうかはまた別の
「その時はその時よ。」
「ほら携帯出しなさい。」
え?今?
「シュワルツランツェンレイターの特徴知ってるでしょ。」
猪突猛進
「ほら素早くとつとと出す。アレコレ考える前に電話するっ。」
あ、いやでも
「ええいっ面倒だ。」
柏木梢が僕の鞄を奪う。
ちょっとっ何をっ
柏木梢が本当に電話をかけようとしている。
待って。します。メールで。メールで伝えますから。
「メール?まあいいか。でもどっちにしろ任せなさい。」
任せるって
「オマエちょっと煩いぞ。」
宮田杏はテーブルを乗り越え、僕の膝の上に乗って抱きついた。
うわっ
「アタシに構うなっ今のうちに速くっ。」
「構うわよっ。ドサクサ紛れに何やってるのよ泥棒猫っ。」
栄椿が引き剥がす間に柏木梢は入力を終え送信してしまった。
「杏ちゃんは後で説教ね。その前に抱き心地教えなさいよ。」
「思ったよりゴツゴツしててブールの匂いがした。」
「生々しいわね。」
ようやく携帯が投げ返され、送信履歴を確認する。
ディア結にゃん。
オレだよオレ。キズナだよ。
夏休みに結にゃんと会えなくて寂しいよ。寂しくて悶えるよ。
ああだから君に会いたい。むしろ逢いたい。
会えない僕の心はああ痛い。ナンチャッテoh, I miss U
明日、駅前で待ってるZE。10時だYO。
1人で来て。
僕の熱い想いを君だけに伝えたいから。
マカベキズナ
なんだこれ。ただの迷惑メールだ。
本気にするわけがないだろうと呆れていると返信が届く。
「寄越せっ。」
有無を言わせず奪い取られてしまう。
「まじかよ。わかったってよ。しかも1人で来るって。」
「あ、梢ちゃんと一緒?楽しそう。とかバレてるぞ。」
「まさかあんなメールであっさりOKするとか姫ちゃんマカベキズナにもしかして。」
もしかして何ですか。
「それで明日何時集合?」
は?自分で10時って
「何言っているのよ。支度手伝いにアナタの家に集合するのよ。」
なんだと




