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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
エルビア王国
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貴族達の思惑3

王国で唯一海に面した地形にあるゼブル領の領主である、パウロ・フォン・ゼブル侯爵は部下の報告に耳を疑った。塩の流通を止める事で苦境へ追い込む予定だったハルバット領が困るどころか塩の産出を始めたと言うのである。

「此方がハルバット領が売り出している塩でございます...」

「な!?」

部下が差し出してきた塩を見てゼブル侯爵は驚く、差し出された塩は見事なまでに純白でキメも細かく、

まるで新雪かと思える位の美しさだったからである。

「ハルバット領はこの塩をメヒコの塩と名付け、ひと樽金貨1枚で取引しているとの事です」

「な!?」

ゼブル侯爵は再び驚く。ゼブル領の塩はひと樽金貨2枚で取引していたが特に暴利を貪っている訳でもなく、

庶民の手にも一袋銀貨1枚程度で手に入る良心的な価格設定とも言える価格であった。

しかしメヒコの塩はひと樽金貨1枚、とても対抗出来る価格では無かった。

又、一目で分かる品質の高さ、庶民への販売価格を商人達が銀貨1枚に揃えたとしても売れるのはメヒコの塩になる事は誰の目にも明らかであった。

「領内だけでも守るにはメヒコの塩には領内へ入る際に高い税を掛けるしか無いな」

ゼブル侯爵は、メヒコの塩は利益を度外視し販売する事でゼブルの塩産業を壊滅させる気であり、長期戦になれば塩の値はゼブルの塩と同等かそれ以上になる筈と考え、領地外での販売を切り捨て領地内での販売網を維持する事を第一とする方針を定めた。

「申し訳ございません、メヒコの塩に税を掛ける事が出来ないのです」

「何!?何故だ!申してみよ!!」

部下の言葉に三度驚くゼブル侯爵、部下の答えはゼブル侯爵を唖然とさせた。

「塩の流通をマガナ商会が担っているのです、マガナ商会は王国内で唯一『自由移動の権利』を所持した商会、今は亡き前国王から直接賜わりし権利をマガナ商会が持つ以上、我らにはどうする事も出来ないのです」

「これは...実力手段に出るしか無いな...メヒコの塩の製造場を調べ上げよ!早急にバイトンを送り込むのだ!」

バイトンはゼブル侯爵が抱えている暗殺者で、侯爵はこれまで幾人もバイトンに命じ暗殺や破壊工作を行なっていた。ゼブル侯爵にとってバイトンは、命じれば必ずその命令を実行してみせる頼みの綱でもあった。

「かしこまりました、バイトンには資金と人員に制限は無いと伝えてもよろしいでしょうか?」

「構わない!ただ一つ、急げとな!」

バイトンはその命を受け人員を確保、ハルバット領地へと向かう。

ハルバット領地とゼブル領地との距離は馬車で3日、ウェックス商会に危機が迫っていた。

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