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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
エルビア王国
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B級北斗のリーダーであるキージーは二刀流の使い手で王国に名を知られた男である。

彼の持つスキル「気配察知」により遠方の敵すら所在を把握し、スキル「音波誘導」によってその敵を誘導する戦術は高く評価され、A級になる日も近いと言われていた。

そんなキージーに原因不明の病が襲いかかる。

就寝後、深夜に突然目覚めてしまうのである。

理由は「渇き」。

異常なまでの喉の渇きを感じ目覚めてしまうキージー。

しかしいくら水を飲んでもその渇きは満たされる事は無かった。

まさか、バンパイア化!?等とキージーは一時疑ったが、女性の首筋を見ても何の欲求も無かった為、

その考えを排除した。

何かの呪いなのかと僧侶に解呪の依頼をしたが毎夜襲う渇きが無くなる事は無かった。

キージーは何か満たされない思いと焦燥感を感じつつも冒険者としての生活を過ごしていた。

そんなキージーの悩みである焦燥感が何だったのかを遂に彼は理解してしまう。

それはカミルの街を襲撃したドラゴンゾンビとの死闘を繰り広げた後の祝勝会での事である。

「みんな正直スマンかった!お詫びの印におでんを用意する!好きなだけ食べてくれ!!」

ドラゴンゾンビ討伐の立役者でありながら、素材を燃やし尽くした事に責任を感じたヒナコデスの一言は

キージーの心を動揺させた。

(おでんだと!?)

初めてヒナコデスと出会い、そして敗北した際に口に入れらた謎の卵、

それがおでんであった事をキージーは他の冒険者達が食べさせられた噂から確信していた。

(俺が求める答え、あの日からの渇きの答えが此処にあるのかも知れない)

ヒナコデスに誘われるままにキージーは意を決しておでんを口にする。

糸こんにゃくを口内に入れた瞬間にキージーは理解してしまう。

(熱い!!そう!この熱さだ!!そしてこのスープの味!!)

キージーは此処数日ずっと彼を悩ませていた渇きが癒されていくのを感じる。

(卵だ!卵はどこだ!?俺はあの日何故卵を吐き出した!?)

必死で卵を探すキージーの目は血走っていた。

卵を探してる時に目に入る牛すじ。

(あれは串か?手で掴めるなら話は早い!卵より先にこの串だ!!)

串を手づかみでおでん鍋から取り出し頬張るキージー。

(これは、しょっぱいのか?甘いのか?柔らかいのか?歯ごたえも楽しめるのか?そもそも何の肉なのか??

いや....違う、コレだ!!俺の求めていたのはおでんだったんだ!!)

串でおでんの味に目覚めたキージーは次々と頬張って行く。

(よし次はあの白いスライムだ!!)

キージーがハンペンをフォークで突き刺そうとした瞬間、異変が起こる。

「ソノ白オレタベル...」

キージーのフォークを盟友であるテルーが弾き飛ばし自身のフォークを突き刺したのである。

「オデ..オレ..タベル」

更にB級になったばかりのラングまでがハンペンに手を伸ばして来る。

二人とも目が血走しり尋常では無い。

なんとか諌めようと試みるキージー。

「オデ...オレタベル...タベル...オレ」

上手く喋る事が出来ない。

喋る事が出来ない事に動揺してる間にハンペンは食べられてしまう。

キージーを襲う深い絶望感。

「オデ、タベタカッタ」

キージーの目も血走っていた。

しかし次の瞬間キージーは自身の持つスキル二刀流を発動させる。

フォーク二刀流である。

次々と獲物(おでん)を狩るキージー、遂に目当ての卵を見つける。

「タマゴ!タマゴ!オデノタマゴ!!」

必殺の二刀流抜刀術によりいち早く卵を奪い取るキージー。

「ホフ!ウマ!タマゴ!ウマ!」

口内を襲う痒み。

「かゆ...うま...」

「オータマゴタベタカッタ」

「オーオデモ」

悔しがるテルーとラング。一人黙々と大根を食べるホール。

キージーにとって卵に寄生される恐怖等は無かった。

有るのは満足感と、おでんの熱で火傷して上手く喋る事の出来ない口だけであった。

この時口内を火傷するまで夢中になっておでんを食べたキージー、テルー、ラングの三人に

スキル「熱耐性」「受け身」「リアクション芸」

黙々と大根を食べ続けたホールに、スキル「熱耐性」「受け身」「大根役者」が追加された事に彼等が気づく事は無かった。

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