6勤
俺は思った、何かがおかしいと。
休日が終わってポーション工事へ出勤してみれば、3つだったラインが倍になっていた。
この世界は週休1日、今日から6日勤務。
いやいや大体異世界に来たのに「出勤」って何!?しかも6勤!?
モンスターが居るファンタジーの世界よね!?
冒険者ギルドに登録したよね!?冒険してねーよ!!
「はいヒナコデスさんそろそろ準備お願いします〜」
ウェックスの声に我に帰る。
作業開始だ。
一回6つのラインにサボテンとペットボトルを落とすと少し時間が取れるので置いてあるケーキを食べる。
「うめ〜」
あまりに早い時間から飲むと俺が寝てしまう事を知った奴らが、職務の前半をアルコール抜きのデザート中心に変えやがった。ま〜美味いけど。
「サボテン女王3番レーンお願いします」
「サボテン女王4番も!」
「サボテン女王1番出来ました!」
これだよ、俺の呼び名。
サボテン女王って何よ!?
なんか休日にぶっ飛ばしたおねーさん、ロウジーって名前であだ名が女王だったとか、んで女王に勝ったから新女王って説明は工場の子供らから聞いたから理解した。
けどサボテン女王ってサボテン付けるなよ!悪の怪人みたいじゃないよ!!
「サボテン女王2番お待たせしました〜!」
「サボテン女王、5番いつでも行けます!」
2番よ俺は待ってねーよ!!居酒屋さんが料理持って来た感じで仕事持ってくんな!
5番よ俺は野球かサッカーの監督か?代打で出場アピールみたいなのやめろ。
「サボテン女王3番レーンお願いします」
「サボテン女王4番も!」
「サボテン女王1番出来ました!」
「サボテン女王、6番も出来たんだな」
6番遅い!!!一周抜かれてるよ!!どんだけ捌けないんだよ!?
後6番だけオッさん声だよ!!6番どんな顔だよ!!あ、ラングだ。
「サボテン女王2番お待たせしました〜!」
「サボテン女王、5番いつでも行けます!」
なんか5番、出撃待機してるロボット兵器のパイロットに思えて来た。んじゃ俺は艦長か?
繰り返される作業、後半はアルコールが入って良い感じはなるけど流石に息も切れてくる。
「プハー」「へはぁへはぁ」「プハー」「へはぁへはぁ」
「サボテン女王1番急げ!」
「サボテン女王2番まだ!?」
「サボテン女王3番レーンお願いします」
「サボテン4番」
「サボテン5番」
「プハー」「へはぁへはぁ!」
なんか酷い。4番と5番には愛を感じない。リスペクトが無い!
過酷な労働に俺のピッチは上がる。
「プハー」「プハー」「もぐもぐ」「プハー」「へはぁへはぁ!」
「サボテン女王1番!」
「サボテン女王2番も!!」
1番と2番はレースか何かやってるのか?ストイック過ぎるぞ?
「サボテン女王3番レーンお願いします」
「サボ4」
「サボテン5番」
3番ブレない。クールな女の子系?いざとなったら「私が守るから」とか言うタイプ?
4番と5番は仕事終わったら工場裏の空き地へ来い!
「サボテン女王、6番も出来たんだな」
ラング遅い!!!遅すぎる!!お前も後で空き地だ!逆水平チョップだ!
「業務終了でーす!皆さんお疲れ様でしたー!」
工場内に響くウェックスの声、皆が楽しげに帰路へと向かう。
そんな中俺だけが動けずに居た。飲み過ぎだ。
「ヒナコデスさん明日もよろしく!」
ヤバイ、このままでは泊まりだ!嫌だ!しかしウェックスが用意した毛布が気持ちいい....。
翌朝、ウェックスに起こされた俺は工場のシャワー室でシャワーを浴び、用意してもらった作業着に着替え作業ラインに着いた。
作業着は囚人服に似ていた。
俺は心から思った、休日に冒険しよう、そして今日は休肝日にしようと。




