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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
カミルの街
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プロジェクトウェックス2

カミルの街の冒険者ギルドは空前の好景気に賑わっていた。

原因はヒナコデスが供給するサボテンを原料とする「カミルポーション」にあった。

プロジェクトリーダーであるウェックスの機転により見事な実演販売をやり遂げた結果、カミルの冒険者達からの需要が爆発的に増えたからである。

ギルド内にあるプロジェクトチームに与えられた部屋には作業に追われる職員達の悲鳴が飛び交う。

「ウェックスさん!サボテンが足りません!」

「ウェックスさんギルドからの追加発注30本入りました!」

「ウェックスさん!腕が筋肉痛です!」

「ウェックスさん!お腹が空きました!」

プロジェクトリーダーであるウェックスはおもむろに立ち上がり言った。

「サボテンの事はまかせろ!」

「ギルドからの受注は私が待ってもらえるよう交渉する!」

「筋肉痛はとりあえずサポーターを巻いて頑張れ!直ぐに増員を要請する!」

「そうか!私が弁当を好きなだけ買ってあげよう!だから頑張ってくれ!」

ウェックスは今こそ人生を賭けた勝負の時だと感じていた。


まずウェックスはヒナコデスを呼び出すと、サボテン供給を増やす事を提案する。

「え〜無理無理、もう100個納品済んでるしヤダよ〜」

拒否するヒナコデス。だがウェックスには秘策があった、それは「ボーナス」だった。

「ヒナコデスさん、追加受注を受けて貰えるならボーナスをお支払いします。それ月銀貨10枚契約で言うと、6ヶ月分、銀貨60枚お支払いします!」

ウェックスの計算では銀貨10枚で月100個のサボテンを受け取っていた所を70枚で1000個は搾り取る計算であった。流石に値上げ交渉が来るかなと覚悟していた。

「やりましょう!」

しかしヒナコデスは断らなかった。

「ボーナス給料6ヶ月分出ちゃった」と言ってみたかったからである。

ヒナコデスのこの軽率な決意には転移以前の彼女が得た「ボーナス」に理由がある。

彼女が初めて得た冬ボーナスの金額は20800円。夏はボーナスの支給が無かった。

時期的に「年末調整?」と経理の事務員に確認したがボーナスで間違い無かった。

学生時代の友人達が「ボーナス何ヶ月分だった?私2ヶ月分切ってたよー!!ケチな会社!」

等と会話している中「20800円とは言えなかった。

「良い方だよ、俺なんか1ヶ月分しか貰ってないよ!」

と言いながら内心、俺の月給20800円?と涙目になっていた。

そんなヒナコデスの心を揺さぶる言葉「ボーナス給料6ヶ月分」。

言ってみたい、他人に一度で良いから言ってみたい。

歳をとった後「あの頃景気良かったからさ〜ボーナス6ヶ月分とか出て」とか言ってみたい!

そんな誘惑にヒナコデスは抗えなかったのである。


サボテンの供給を確保したウェックスは、上司であるギルドマスターのアレキサンドリアに訴える。

「このままでは需要に追いつきません!工場を設立しましょう!」

ウェックスの熱い気持ちに応えたかったアレキサンドリアだったが、出した答えは「許可は出すが予算は出せない」であった。

確かに「カミルポーション」の効能や需要に関しては何も問題は無かったが、原料のサボテンをヒナコデス個人が独占しているリスクの高さがギルドとして出資する訳にはいかなかったのである。


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