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木
木を見つけた。小さい木だ。日本で言えば「ミカン」が取れそうな感じのサイズの木だ。
巨木戦から徒歩数分。「数分かよ!?」と言われたら「そうだ」としか答えられない。
もちろん巨木はまだ目視できる。
見ているか巨木よ、お前が受ける事から逃げた「フランケンシュタイナー」
もし受けて居たならば、どのような結果となっていたのかを!!
「喰らえ!!フランケンシュタイナー!!!」
叫び声は巨木まで届いたであろう。
俺の気合の雄叫びは何処までも届いていった。
そして「フランケンシュタイナー」は発動されなかった。
俺は理解した。どうやらスキル発動は呪文等では無い事を。
俺は理解した。異世界でむやみに叫ぶのは危険だと言う事を。
俺の雄叫びに反応してこちらに向かってくる「オーク?」を発見した事によって。
俺の頬の痙攣が尋常じゃない事を自覚しつつ、俺は逃げる事も出来ずこちらへ爆走してくる「オーク?」を見ていた。




