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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
カミルの街
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冒険者ギルド

その日カミルの街の冒険者ギルドはいつも以上に荒れていた。

冒険者達の危機感を煽る噂話が飛び交っているからである。

曰く「カミルの丘の封印が解けオークキングが復活した」

曰く「オークキングに遭遇したB級北斗は壊滅、キージーを犠牲に逃げ帰ってきた」

曰く「街道でモンスターと戦った形跡があるのに血の跡しか無く死骸が無い」

曰く「見た事も無い異民族が検問で捕らえられ処刑場へ連れて行かれたはずが街に入り込んだ」

等明らかに異変を感じさせる噂話の数々は時を追う事に増えて行く。

更に街へ帰って来た北斗のメンバーが皆何かに怯え、無言のままギルドの室長室へ向かったまま戻って来ない事が事態の深刻さを物語っていた。

そんなギルドの扉が勢い良くく開かれ、その音にギルド内の人間の視線が一斉に扉へ集まった。


短髪の少女であった。見た事も無い異質な鎧を身に付けているが武器を所持していない。

魔法使いや僧侶も触媒として杖等を所持する必要がある為武器を持たない冒険者は存在しない。

冒険者で無いのであればギルドへ依頼しに来た街の娘と思われるがこんな鎧の娘等見た事は無い。

ギルド内の人々は皆がそう感じていた。


静まる冒険者ギルド。

少女はあたりを見回すとギルド内の食堂へ向かう。

ギルドでは冒険者達が依頼待ち等の際に使える食堂があり、そこで収入はギルドにとっても良い副収入になっていた。

だが食堂を利用出来るのはある程度の実績を持つ者以上であると冒険者達の間では暗黙のルールとして決まっていた。席の数は限られており、格上の等級パーティが席を奪う事が繰り返される内に自然とそうなったのである。


「嬢ちゃん、此処で飯食うにはレベルが足りないんじゃないか?此処を出てすぐに屋台があるからそっちへ行きな」

冒険者の中でも中堅のC級冒険者ラングが少女に言うと、少女を皆が笑った。

皆内心では緊張していた、「噂話の異民族」とはコイツの事では?と考えだからである。

だがラングが話しかけて居るのに少女を無視すると、

今後「少女に怯えた臆病者」とも言われかねないからである。

「ハァ?!」

少女の答えは言葉ではなかった。

「ハァ」この国には無い言葉、異国の地での言葉であろう「ハァ」。

だがしかし冒険者達は理解してしまった、ラングが「侮辱されている」と。

当事者であるラングの怒りは当然であった。

「テメー舐めてるのか」

ラングは声を低くし威圧した。

「はあ?!」

少女の答えは再び「ハァ」。

だが冒険者達は理解してしまった、先程の「ハァ」よりも更に侮辱している事を。

これはラングは手を出してしまうな、そう冒険者達は予想し緊張が走る。

周囲の予想通りラングは一度大きく息を吸うと「舐めてんじゃねー!!」と少女に殴りかかった。

「ハァ!」

ラングが空を飛んでいた。

少女がラングを投げ飛ばしたのである。鎧を身に付けたラングを。

食堂の机に叩きつけられて気絶したラングを見たラングのパーティメンバー達が動き出す。

「テメー!?」

「何しやがった!!」

少女を囲み4人で一斉に殴りかかった。

周囲には背の低い少女が見えていないが声だけが聞こえてくる。

「ハァッ!」「はーぁ!」「ハッ!」

「ハァ」そう聞こえる度に一人、又一人と倒れていく。

最後の一人が倒れた後に聞こえたのは「へはぁ!へはぁ!」という、

とても少女が発する事が出来るとは思えない低い呼吸音だけであった。

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