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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
カミルの街
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ケビン

カミルの街の出入り口を警護する護衛隊のケビンは異変を感じていた。

数刻前まで「カミルの丘の封印石が砕けたのでは!?」と騒然としていた街へ入ろうしていた商人や冒険者達。優先ゲートを通過させたB級北斗のメンバー達だったが彼等の暗い表情とチームリーダーである「二刀流のキージー」の不在が更に街へ入ろうとする人々を騒がせパニック寸前だったのだ。

焦る人々を抑えつつ同僚達と必死に業務を行う。業務に必死だった為、周囲の変化に気付けなかったのだ。

「静かすぎる」

ふと違和感を感じ、周囲を見回す。

あれだけ騒いでいた商人や冒険者達が皆一言も発せず静かに目を伏せて並んでていた。

(まるでゾンビの列では無いか!?一体何が起きた!?)

ケビンは異変を感じたが為に業務が止まるが人々が非難する事は無い。

見ると目の前の男は細かく震えている。

(これは何事だ!?皆何かに怯えているのか!?)

原因を探るケビンは列の最後尾に異物を見つけた。

(あれだ...)

「此処は任せる、クロエ隊長を呼べ。俺は後方を確認する!」

部下へそう告げケビンは最後尾へ向かう。

異物に近づくにつれ強まる血の匂い、そして理解しまう。人々が何故怯えていたのかを。

(こいつは何だ!?)

兜と鎧を身につけているのであろうがどう見ても布地である。しかも武器を持っていない。

靴は血に染まり肉片がこびりついている。

生物を踏み殺した事は明らかである。


ケビンは長身の為見下ろす事になる為視線が合わない。

意を決して話しかけるケビン。

「おい!」

「なんでしょう?」

ケビンは相手が女である事に驚いたが、それ以上に兜越しに見えた彼女の口内が不気味な緑色をしていた事に恐怖を感じてしまう。

「お前はコッチだ」

恐怖心を振り払いケビンは女をクロエ隊長の元へ連れて行く事を決意した。


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