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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
闇夜の蛇
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迷走

帝都スラム街に拠点を置く犯罪組織は20人程度の集団が集まった4つの組織を頂点に、名もない10人以下のチームが生まれては消える事を繰り返していた。

その名前を持つ4つの組織は互いに牽制し合い、隙があれば戦いを仕掛ける様な関係であったが、唯一の共通点として『闇夜の蛇』への絶対的忠誠を誓わせられていた事があった。

その『闇夜の蛇』の下部組織とも言える4つの組織とは、無法都市国家ウィングスからの密輸送で利益を上げる毒針ディックをボスとする『虫』、闇ルートで貴族相手に人身売買を行なっている『鼠』、盗賊行為を行いつつ盗賊に襲われない為の魔除けを商人に売りつける『神天狼』と『サイクロプスの瞳に浮かぶ絶望の光団』の4つである。

その4つの組織で最も敵対していたのが『神天狼』と『サイクロプスの瞳に浮かぶ絶望の舟』で、その2つの組織は資金源が被っていた為、度々標的が重なり揉める事になっていた。

そんな敵対する『神天狼』と『サイクロプスの瞳に浮かぶ絶望の舟』に『虫』のボス、毒針ディックが余所者に倒されたと言う情報が入る。

目撃した者の中には各組織の配下が紛れており、情報は瞬く間にスラム街中に知れ渡ったのである。

本来であれば落ち目となった『虫』の縄張りを巡り、他の組織が抗争を始める様な事態では有ったが、

無法都市国家ウィングスとの直接交渉を行っていたのが『虫』だけであり、『虫』の縄張りに手を出して無法都市国家ウィングスが黙っているは思えなかった故に、他のグループは『虫』の縄張りに手を出せないでいた。

だからと言って傍観する様な訳も無く、直ぐに『鼠』『神天狼』『サイクロプスの瞳に浮かぶ絶望の舟』のボスが集まり、その余所者を倒した組織こそが『虫』の後継者だと無法都市国家ウィングスに報告する事で合意、『闇夜の蛇』の名の入った書面に署名する。そして署名が終わると同時に各組織の強者に余所者の首を取る様に命令が下される。

ヒナコデスが毒針ディックを吹き飛ばしてからその命令が下るまで1時間もかからない即決の合意であった。


『鼠』からの刺客ミッキーは、浅黒く汚れて尖った鼻と甲高い声、そしてボリュームのあるアフロヘアが特徴的な男で、鉄製の鉤爪を手甲に取り付けその鉤爪で斬りつける独特の戦い方で何人もの命を奪っていた。

『神天狼』からの刺客マーリオは無口な口髭の男で、頭だけをヘルメット型の兜で身を守り、他は鎧などを装着せずに服のままハンマーを両手で振り回して戦う為、彼の服は常に返り血で赤く染まっており、

人々は血に赤く染まりながらハンマーを振り回わすマーリオの姿を見てハンマーマーリオ、レッドマーリオと呼び怖れた。

『サイクロプスの瞳に浮かぶ絶望の舟』からの刺客ナミーフェイは筋肉隆々とした上半身裸の大男で、その怪力で巨大なハサミを振り回し、自身に敵対する者の首を刈り取っていた。そんなナミーフェイは頭の毛を頂点だけ残し全て刈り上げたモヒカンヘアを自慢にしており、その髪型を馬鹿にした者に対して烈火の如く怒り狂う事で名が知れ渡っていた。

そんな3人がヒナコデスを襲撃する為に同じ場所へ向かった結果、ヒナコデスに会う前に鉢合わせしてしまう。

「わぉ!?マーリオさんとナミーフェイさん!目的は同じですよねー!」

ミッキーの甲高い声が響く。

「コラー!ミッキー!お前も余所者退治か!!」

直ぐに頭に血がのぼる短気なナミーフェイが怒鳴りつける。

「ほほう」

無口なマーリオが目で二人を射抜き牽制する。

「二人ともー、ここで先に始めるかーい?」

ミッキーが鉤爪を伸ばして戦闘体勢に入りながら話す。

「バッカモーン!!本来の目的を忘れおって!!ワシらの目的は同じだろうがよ!!まずは余所者退治だ!

その後で誰がトドメを刺したかじっくりと話し合えば良いだろうがよ!!」

ナミーフェイの言葉にミッキーが笑いながら頷く。

「うんうん、その通りだね!マーリオもそれで良いよね!」

「ok」

三人は互いに発していた剣呑な雰囲気を解消し、ゆっくりと歩み始める。

そして3人の視界の前に真冬に太ももを剥き出しにした笑い顔の女性、ヒナコデスが現れる。

「わぉ!?何だよ!あの女!!頭おかしいんじゃないのか!?」

「頭はおかしいんだろうがよ!頭おかしいから俺たちが此処に来るハメになってんだろうがよ」

「フフ、へへへ、ブヒャホー!!」

「何だよ!マーリオいきなり笑い出してんじゃねーよ!」

3人の会話がヒナコデスの耳に入るがヒナコデスに変化は無い。

「あのーすみません、貴方方は闇夜の蛇ですか?」

ヒナコデスからの突然の問いに3人は一瞬固まる。

「ああ!?これから死ぬテメーに何でわざわざ教えてやらないといけねーんだよ!!」

ナミーフェイの言葉を聞いたヒナコデスがニコリと微笑んで言った。

「言葉に気をつけましょうね!栄螺みたいな髪型しやがってこのボケカスが!!」

「テメー...誰の髪型がサザエだってー!?」

ヒナコデスの言葉にキレてしまったナミーフェイが半分以上白目になりつつ巨大なハサミを振りかざした。

3人とヒナコデスの戦いが始まる。


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