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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
闇夜の蛇
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地下牢

帝国ギルドマスターだと言うマッサーが去ってから一時間くらい経った。

地下牢は6畳位のスペースに石のベットと汚い穴しか無い。

灯りは外の松明のみ。時間が経つにつれて気付いてしまう。退屈だと。

「マッサーさん、退屈です」

俺の声が地下に響くが返事が返って来ない。しょうがないので床の石畳で一人あみだくじゲームを始める。

「あみだくじー♪あみだくじー♪」

やってみたが全然楽しくない。しょうがないのでベットに横になる。硬い。

ベットの上から汚い穴に目をやる。見たことも無い昆虫が蠢いている。キモい。そして臭い。

目を閉じて考える。これから此処で明日まで過ごすと言う事を。

そう言えばあの豊臣秀吉の軍師である黒田官兵衛は劣悪な環境の地下牢に半年だか一年だか入れられて顔が爛れたと言う話を聞いた事がある。男子である官兵衛は箔が付いたのかも知れないが国民的美少女たる俺の顔が爛れるのは国家的損失だ。何歳まで美少女で許されるのかがあれだがこの際それは問題では無い。

半年で顔が爛れるなら一日でニキビが出来る可能性は大いにある。そう言えば職場で「ニキビが出来ました」と先輩に言ったら「20歳超えたら吹き出物だよ」と言われた。しかし俺はこう考える。

本人がニキビだと思えばそれはニキビなのだと。ニキビとは青春の象徴、そして青春は本人が望みさえすればいつまでも続く物なのだ。む、ならば同じ論理で美少女が許される年齢にも制限が無い事になるのか?

おお、これはなんか哲学っぽいぞ!頭が良くなった気がしてきた。

「我思う、故に美少女。これだ!これで良いのだ 」

叫んでみたが何の反応も無かった。

「マッサーさん、退屈です」

俺の声が地下に響くが返事が返って来ない。しょうがないので歌を歌う事にする。

父ちゃんが良く聴いているヒット曲「ややや」これはいい曲だ。

「やーやーやーやーやーやーやー♪」

サビの歌詞がやーしか無い所が覚え易い。これを盗み聞きした兵士達が俺の元へ駆けつけ聴き入るか、この曲を盗作してこの世界のトップスターになるかのどちらかだろう。俺はサビのみ歌い続ける、他を覚えていないからだ。10回程サビを繰り返したが誰も来ない、どうやら盗作されてしまったらしい。

歌も飽きて来た。

「マッサーさん、退屈です。もうする事無いです」

俺の声が地下に響くが返事が返って来ない。俺のストレスゲージが上がって来る。

「要は一日此処に住めば良いんだよね!外出してきます!」

俺は鉄格子目掛けて本気の耳削ぎチョップを発動する。溜まっていたストレスゲージの全てをぶつけるイメージだ。ガキーンと言う音が響き俺の手が弾かれてしまう。いつかのカマキリ男の鎌は切れたのに鉄格子は切れていない。俺の怒りが足りないのかそれともカマキリ男の鎌が弱かったのか。

俺は異次元ポケットから有刺鉄線釘バットを取り出し鉄格子を渾身の力で殴った。

有刺鉄線釘バットが弾かれ手が痺れた。

俺は目を閉じて気持ちを落ち着かせる。ストレスゲージは上昇中だ、来てるー来てるよストレス!

熱線レーザーを使いたい衝動に駆られる。しかし俺は冒険者ギルドの地上を焼き払った女、此処で地下まで火事にしたら流石にヤバイ。俺は鉄格子への攻撃を諦め壁への攻撃を始める。エルボーの連打だ。

エルボー一発で石壁にヒビが入る。二発、三発と繰り返す事でドンドン壁が削れていく。

「ファイナルローリングエルボー!!」

俺の渾身の力を込めた回転してからのエルボーによって石壁は崩れ落ち土が剥き出しになる。

剥き出しになった土の壁には巨大なミミズっぽい奴や見たことも無い甲虫が信じられない位の数で蠢いていた。「ギャーーーーー!!!」

流石に悲鳴を上げてしまう。無理だ、これは無理だ。

ベットに甲虫がぼとぼと落ちて来る。

「マッサーさん大変です!!地震で壁が崩れました!!助けて下さい!!」

俺の声が地下に響くが返事が返って来ない。巨大ミミズが俺の足元へ這いずって来ている。

「もう無理!!!ギブアップ!!!」

俺は熱線レーザーで鉄格子を焼き切ると牢屋を出る。熱線レーザーは鉄格子を貫通し向かいの壁が赤く溶けている。これは水をかけてた方が良さそうだ。

俺はペットボトル水を異次元ポケットから取り出し口に含んだ瞬間に気付いた、マッサーさんに水頼まなくても良かったんだという事を。

赤くなり溶けている壁へペットボトル水を口から吹きかけた瞬間、爆発音と共に壁が飛び散り辺りは蒸気に包まれる。ヤバイ、何かヤバイ事になった気がして来た。

俺は地上を目指し走りながら階段を探す、意外に広いが人の気配は無い。

階段を見つけ上の階へ走る。上の階へ上がるとそこは礼拝堂だった。

「礼拝堂だ!」

人の気配は無い。礼拝堂を出ても地下だった、又階段を探して走り階段を見つける。

しかし待て、地下牢屋は地震により破壊されてしまった。

緊急事態の為に避難したが、このまま地上に出たら破壊工作をした脱獄犯と間違えられるかもしれない。

幸い礼拝堂は綺麗だし広い、此処に居れば反省してる感もある。明日まで此処に居る事にしよう!

礼拝堂の長椅子には座布団が敷いてあり、牢屋のベットより全然寝心地が良い。

俺は別の長椅子から取ってきた座布団を布団代わりに寝てみる。かなりいい感じだ。

俺はこの礼拝堂を新たに反省室として使う事にした。

「急げ!!地下で何か起きた!!!」

マッサーが部下を引き連れ現れたのはその直ぐ後だった。


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