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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
闇夜の蛇
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目覚め

うーむ、何か寝心地が悪い。つか気持ち悪い。飲み過ぎた様だ、どうやって帰ったのかも覚えていない。

「すみませーん、水くださーい」

うつ伏せになっていた体を仰向けにしつつメイドさんに頼む。

目を開けて天井を見て違和感を感じる。暗い、そして温かさを感じない天井だ。あれ?

ゆっくり上半身を起こして辺りを見渡す。目の前に異物があった。柵だ、鉄の柵が目の前にあった。

壁の一方を鉄の柵で作った部屋だ、まるで牢屋の様だ。何故こんな処で寝ているんだ??

とりあえず体が怠いので布団の中へ戻る。戻りながら違和感を感じる。薄い、布団が薄すぎるのだ。これではまるでシーツではないか。何故こんな布団で寝ているんだ??

だんだん目が覚めてくると敷布団の硬さにも気付く。硬い、敷布団が硬すぎるのだ。これではまるで石の上にシーツを敷いただけの様ではないか。何故こんな敷布団で寝ているんだ??

喉が渇いた、水が飲みたい、いやトイレ行きたい。しょうがない起きよう。

布団から立ち上がって部屋を見渡す。ドアが無い。壁と壁と壁と鉄の柵、それだけだ。

.......あれ?......んー?「すみませーん、ここ何処ですかー?」

返事が無い、つか薄暗い、辛気臭い、なんかホラー映画のセットみたいな場所だ。

「すみませーん、これってもしかして牢屋ですかー?」

返事が無い。昨日一体何が起きた??うーん思い出せない。つかトイレ行きたい。

周囲を観察、部屋の片隅に汚い穴が有った。そこで排泄しようぜって事らしい。

「んー、よくわからないけどトイレ行きたい。あと10数えるまでに綺麗なトイレ連れて行かない場合は実力行使させて頂きますね。その場合この大陸は消失する可能性もありますがご了承下さい」

俺は理由もなくこんな場所に閉じ込められ、汚い穴に排泄させられる謂れはない。

10秒たったら本気熱線レーザーを駆使してこの部屋を出てやる。その時俺の熱線レーザーが大地のマグマに直撃し誘爆してしまってもそれは事故だ、俺は知らない。

「10、9、8、7、6、5、」「待て!!」

お、こっちから見えない角度から60歳位の白髪おっさん登場、さートイレへ案内しろ。

「ヒナコデス、貴様あれだけの事をしておいてまだ暴れ足りないのか!」

「へ?何それ?それよりトイレ行こうよトイレ早く早く」

「チッ!」

白髪おっさんは鉄格子に掛かっていた鍵を解除し俺をトイレへ案内する。

ちゃんとしたトイレあるじゃない。

トイレから出ると待ち構えていたおっさんに水を頼む。

「すみません、部屋へ戻るので水もお願いします」

「くっ」

俺は鉄格子の部屋へ戻ると硬いベットに腰掛け水を待った。しばらくすると白髪おっさんが水を持って来てくれた。

「プハー!生き返った!!オー!!」

水を飲んで意識がしっかりしてきたので自己回復スキルの事も思い出す事が出来た。

「すみません、私はヒナコデスと申します、失礼ですが貴方は?」

俺は社会人なのできちんと「私」を使った挨拶も出来る女なのだ。

「知っとるわ!!あれだけの事をした女の名前位!!ワシは帝国冒険ギルドの責任者、

ギルドマスターのマッサーだ!」

白髪おっさんは何を興奮しているのか右手を振りながら叫んでいた。

「えーと、その偉いマッサーさんが何故メイドの様な事を?」

「貴様がトイレへ連れてだの行け水を飲ませろ!逆らえばこの国を滅ぼすと言うからじゃろうが!!」

うぉ、そか。それは正直すまんかった。

「あぁごめんなさい。では質問を変えます、私はどうしてこの場所に?」

マッサーが両手を大きく広げオーバーアクションで答えた。

「貴様!!何にも覚えていないのか!?」

マッサーの答えにストレスゲージが一気に急上昇する。

「質問に質問で返してんじゃーねーーー!!!!テメーはそんな事も両親から教わってねーのか!?」

俺は言いたい台詞ランキング上位に入る台詞を言えた事でストレスゲージを減らす事に成功する。

「むぉ、すまない。....何故ワシが謝って...」

「謝罪を受け入れよう」

なんかマッサーがブツブツ言ってたので素早く謝罪を受け入れ俺の勝利を確定させた。

俺の勝ちが確定したので最早敬語の必要は無い。

「で、どうした?何が起きた、言ってみろ」

「ぐおっ....。此処は帝国冒険者ギルドの地下3階、冒険者同士で揉めた奴の頭を冷やす反省部屋じゃ。

で、ヒナコデス。地上にある冒険者ギルドは全壊じゃ。何処かの誰かが酒を飲み過ぎてな、飲み過ぎて吐くのはまー良くない事じゃがよくある事じゃ。しかしそ奴は!飲んだ酒の代わりに火を吐きまくってな....」

「え....」

「あっちの壁に手をついては地面に向かって炎をゲー。

こっちの壁に手をついては地面に向かって炎をゲー。楽しげに笑ったと思えばいきなり真横に炎をゲー。

もちろんギルド内は大パニックじゃ。阿鼻叫喚で燃える炎の中で一人炎を吐き続けたソイツのおかげで冒険者ギルドの地上3階は消失してしもうたわ!わははははは!」

何それ面白い。

「わははははは」

「笑うなー!!!!貴様の事じゃ!!!」

だよね。何となくわかってたよ。うわぁ不味いよ賠償金とか払えないよ。これ国外逃亡確定だな。

「ウェイジェイ宰相の命令でお咎め無しにする様になってはいたが、冒険者ギルドとしての面子もある!

はいそうですかと貴様を解放する訳にはいかん!!今日は一日此処に泊まってもらうぞ!!」

うわぁー最悪!マジかよー誰だよ炎吐くまで飲ませたの!!勘弁してよ!!

「あーっ!ポカした!」

「ワシを愚弄しておるのか!?」

俺は反省の気持ちを言葉にしてマッサーへ伝えたが、俺の気持ちは全く伝わらなかった。

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