ローリングソバット
「へはぁー!へはぁー!」
俺は快調に道を走っている。
かなりのスピードで走る事が出来ている。
これはもし東京マラソンに出ればぶっちぎりの1位!そして世界新記録!
謎の超新星現る!!超高校級!!
等とマスコミが騒然とし、芸能事務所がマラソン美少女を巡って熾烈な争いを始めてしまうレベルの速さだ。
ぐふふ、そして衝撃の歌手デビュー!デビュー曲が400万枚売れて「およげ焼きそば君」を超えて伝説となってしまうのだ!!「へはぁー!へはぁー!」
しかし、この呼吸音は低すぎるな、衝撃の歌手デビューに支障が生じてしまうぞ。
等と考えていたら道の先に馬車が小さく見えて来た。
「へはぁー!へはぁー!」
よし、馬車に追いついてからの計画を立てよう。無計画は論外だ!
何事もご利用はご計画にと聞いた事あるし。
馬車の旅!おそらく碌な食事をしていないだろう。
此処で俺が「おでん」をバーン!!と振る舞う。
馬車の偉い人が「なんという美味!!是非客になってくれ!」って言う。
ここであえて「いえ、私は特定の人に従い料理をするつもりは無いのです、料理は皆に食べてもらいたいのです」って笑顔で言ったら、感動されて、実はそいつ偉い奴で、お金めっちゃくれて嬉しいですパターン!!
これだ!これで行こう!!
「へはぁー!へはぁー!」
俺は今絶好調だ!ストレスは限りなくゼロに近い!
もしやこれが噂に聞く「ランナーズハイ」って奴なのか!?
等と考えていたら馬車はどんどん近づいてくる、遅いぜ馬車!
「へはぁー!へはぁー!」
そろそろ声が届く距離だ、おでんのアピールを始めるとするか。
「へはぁー!へはぁー!」
「おでんはいかがですか?、美味しいおでんを食べてみませんか?」
完璧なスマイル0円も発動してやったぜ!!
「へはぁー!へはぁー!」
cmは繰り返しで効果を倍増させると聞いた気がする。もう一度行こう
「お客様もおでん食べてみませんか?」
「へはぁー!へはぁー!」
おかしい、反応が無い。ってか馬車スピード上げやがった、距離が離れた!
まー良いや、追いついてから.....
と思った瞬間、馬車から何か道の脇に投げられたのが見えた。
投げられた物は遠目で良くわからないが煙が出ていた。
????
なんだったんだ? 足を緩める俺。
唐突に犬の鳴き声が聞こえた。遠吠えって奴だ。
「え??」
何か道の脇からさっき投げられた物へむかって走り寄る気配を感じる。
このペースで走ると馬車から投げられた物に向かって俺と犬が鉢合わせしそうな気がする。
あーいや犬の方が早いな、ボール取り競争は負けたな。
東京マラソンなんて調子に乗ってたけど俺はまだまだだね。
俺の行き先に犬が飛び出して来た。
1~2~3,4,5,9,????増える増える。
距離が近づいて来てわかった。デカイ。
いやアレ犬って言うか狼じゃね?牙剥いてね?こっちダッシュしてね?殺意あるよね???
理解してしまった。あの馬車なんかやりやがった。あれモンスター召喚系で俺を襲わせる気だ。
舐めやがってーー!!!「へはぁー!へはぁー!」
俺は急激にストレス値が上昇するのを感じた。
「幼気なおでん屋になんと言う仕打ち!許せん!!」
俺は走るスピードを落とさないままリュックから有刺鉄線バットを取り戻した。
「へはぁー!へはぁー!喰らいやがれ!!」
俺が戦いの決意をすると、また周りの風景がゆっくりと流れていく。
(よしこれを戦いのゆっくりモードと名付けよう)
内心思いつつも狙いは一点!馬車目掛けて狼をフルスイングでぶつけてやる!!
角度良し!風向きはゆっくりモードじゃ判らん!いっけー!!!!!
俺は先頭の狼へ目掛け有刺鉄線バットをフルスイングした。
馬車に届いたか確認の余裕は無い、次々と狼が飛び掛かろうとしているのが判る。
ゆっくりモードのおかげで冷静な俺は、ここで一旦有刺鉄線バットをリュックへ戻して自転車を取り出した。
ここで自転車を使い切って新しい自転車を手に入れるんだ!!
自転車を5匹固まってる中に叩きつける。プロレスラーの腕力なのか狼が頑丈なのか、自転車は2つに千切れ飛んで行った。
まだ3匹残っている!その内の一匹が俺の喉元目掛け飛び掛かって来ている。
おれはローリングソバットで迎撃する事にした。
ジャンプと同時に1回回り、その遠心力をキックに上乗せ!
俺のローリングソバットは完璧なタイミングて狼の右頬を撃ち抜いた。首がもげた。グレイのスエットパンツが噴水の様に飛び出た血で染まった。
ローリングソバット、対人では辞めておこう。
残り2匹は毒霧で牽制だ!
俺は毒霧を吹いた。
イケメンの時と違い全力で吹いた。
狼2匹は飛び掛かろうとした空中で毒霧を喰らい「ボテッ」と地面に落ちた。
まるで蚊取り線香を喰らった蚊のようだ。
調べてみると絶命している。どうやら本気毒霧も対人禁止のようだ。
俺は狼の死体をリュックに入れながら思い出していた、馬車から何か投げられた瞬間を。
おそらく馬車に乗ってる奴のドッキリ作戦なのだろう。
しかし狼をけしかけるのはやり過ぎだ。
おれの目元がピクピクと動き始める。
「あー来てるよストレス!?きてるよー!?」
俺の叫びは誰にも届く事は無かった。




