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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
激闘フグリアン編
163/256

フグリアン退治3

「フグリアンの毒液喰らって動けるってヒナコデスって一体何者よ」

アスカが何か言ってるけどそれどころじゃ無い、臭いのだ。

「臭いんだよ!!臭い!臭い!あーーーーーーーーーー!!??!?!?!」

あまりの臭いに足踏みをしてしまう。

「あー。今、浄化魔法かけたげるから待ってなさい」

アスカが何か呪文を唱えると顔に付いていたネバネバや臭いが綺麗サッパリ消え失せる。

「ありがとーー!!」

俺は心の底から感謝する。

「ヒナコデス、色々言いたい事有るけどフグリアンはまだまだ居るし終わってからにするわ。マイケル又一匹ずつ誘導頼める?」

小学3年生位の女の子に仕切られてるのは気に食わないが、浄化してもらった恩があるので文句は言わない。

マイケルはアスカに頷くと俺に向かいお辞儀をした。俺は日本人なのでお辞儀にはお辞儀で返す。

マイケルのバイオリン演奏が始まる。物悲しくも激しいバイオリンの音色に釣られてフグリアンがふらふらと俺の前まで誘導されて来る。フグリアンの前へ立ちバイオリン演奏に合わせて体を動かし準備運動をする。目の前のフグリアン、コイツが次の獲物だ。フグリアンを指差して威嚇する、お前では俺に勝つ事は出来ない、そう解らせる為に激しくフグリアンを指した手を震わせる。そして演奏は終わった。

フグリアンの目が大きく見開き、同時に口が上下に大きく裂け乳白色の液体が俺の顔目掛けて飛び出して来る。俺は一度犯したミスを繰り返す様な事はしない。俺はゆっくりモードで乳白色の液体を左に避けて回避する。しかし俺は気付いてしまう、乳白色の液体と思い込んでいた物は液体では無く固体だという事に。

イナバウアーと違い、真横で観察する事により理解できた事実。フグリアンが吐いていたと思い込んでいた物はフグリアンの舌だった。まるでカメレオンの舌の様に獲物を狙うホーミング機能を身に付けた乳白色の舌は急カーブで俺の顔目掛け伸びて来た、そして膨らむ舌先。次の瞬間舌先から乳白色の液体が飛び出して俺の顔へ浴びせかけられる。

「ギャーーーーーーーーーーーー!!!」

顔に感じるねっとりとした液体!臭い!臭い!臭い!!

目の前のフグリアンが「ゲヘッ」と笑った気がした。

急激に冷静になって行く自分が判る、怒りがマックスを超え逆に冷静になってしまったらしい。

俺は手の平に必要以上に毒液が着かないよう気をつけながら右手人差し指で毒液を弾いていく。

突然頭の中に流れるメッセージ音。


スキル指ワイパーの使用を確認、以下の技が解禁となります。

エルボー

エルボー連打

ファイナルローリングエルボー

タイガードライバー91


そうですか、新しい技ですか。でもね、今も臭いんだよねハッキリ言って。

俺は静かな怒りを目の前のフグリアンにぶつける。

「エルボー!エルボー!エルボー!エルボー連打からのー!ファイナルローリングエルボー!!!」

よくよく考えてみたら黒い謎の甲殻生物にエルボーは距離近すぎるけど、俺のストレスゲージは多少軽減された。「臭い!!臭ーーーーい!!」

「あー、わかったから!ちょっと待ってなさい浄化魔法するから!」

アスカの魔法でスッキリ爽快に回復する。

「アンタさっきから何やってんのよ、せっかくマイケルの技で隙だらけにしてもらってるのに。マイケルの技意味無いじゃない」

アスカの言葉に俺の探偵スピリットが警報を鳴らす。

コレはもしかしてマイケルの攻撃を俺が喰らっているんじゃあー無いのか!?

マイケルはフグリアンでは無く俺を攻撃してるんじゃあ無いのか!?

マイケルを見るとマイケルは両肩を竦め『やれやれだぜ』的なジェスチャーをし笑った。

しかし俺にはその笑いが邪悪な物に感じられた。もしかしてマイケルは刺客なのではないだろうか。

ヤバい!この戦いは危険すぎる!!

「ちょっと話聞いてる?もうしょうがないわねー、こうやるのよマイケルお願い」

マイケルが三度演奏を始める。物悲しくも激しいバイオリン演奏に思わず聞き入ってしまう。

フグリアンも聞き入っている様だ、と思った瞬間アスカがフグリアンの背後に回り込み喉元へ短剣を当て、いきなり首を刈ってしまう。首を刈られたフグリアンは只のフグにしか見えない。

「ほら、簡単でしょ?」

「小学3年生位の女の子がサバイバルナイフで生き物の首を刈ったらダメだろ!!グロいよ!!」

「はっ!?意味わかんないんだけど???」

アスカの刈ったフグリアンの生首は採れたて新鮮のフグにしか見えない。

俺の口内にヨダレが溜まるのを自覚する。とりあえず異次元ポケットに保管しておいて後日刺身にしてみよう。「その生首はお姉さんが預かって然るべき機関に届けます、此方へ」

「アンタ本当何考えてるのかわかんないわねー」

アスカが投げてよこした生首を素早く異次元ポケットへ入れる。

死体をリュックに入れていた時は感じなかった背徳感を、ポケットだと凄く感じる。

「まだまだ始まったばかりなんだからね?ちゃんとやりなさいよ?」

「てかアスカ、お前魔法使いがナイフで首狩るのは辞めて。魔法使いのイメージが悪くなるから」

「はー!?そんなのアタシの勝手でしょうが!!」

「いや、イメージ大事だから」

俺とアスカが言い争いを始めた時にいきなりマイケルの演奏が始まる。

アスカも俺も物悲しくも激しいバイオリン演奏に聞き入ってしまう。

演奏が終わりマイケルのお辞儀に合わせ俺もお辞儀をしながら思った。

マイケル、犯人はお前だ!

心の中で断言した後に気付いた、何も事件が起きていない事に。








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