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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
激闘フグリアン編
160/256

帝国冒険者ギルド2

「ちょっとまちなさいよ!」

そう言ってヒナコデスを追って冒険者ギルドの外へ出て行ったヒナコデスが言う所の赤ずきんちゃん。

冒険者ギルドには俯き加減な冒険者達と唖然としたギルド職員達が残されていた。

「一体何だったんだ....」一人のギルド職員のつぶやきが皆の心を代弁していた。

太ももをむき出しの若い娘が大暴れしたインパクトが大き過ぎた為、赤ずきんちゃんによる冒険者達への挑発は勿論の事、彼女の存在そのものが忘れ去られていた。

冒険者達の心は沈んでいた。帝国内で最も強者が集まると言われる帝都の冒険者ギルドの冒険者達をたった一人で制圧された、その事を知った上位の連中に何と言われるかと考えると落ち込む事しか出来なかったのである。

ヒナコデスが冒険者ギルドで暴れ、冒険者達から持ち金を奪ったのは初めての事では無くエルビア王国でも同じ様な事を行なったが、エルビア王国では一緒に飲む等のフォローが有った為、ヒナコデスは最終的に冒険者達から迎え入れられたのだが、帝都の冒険者達は剥ぎ取られた後のフォローが無かった為に、ヒナコデスに対する印象が最悪と化していた。

「クソっ!なんだってんだ!タンテーめ!」

「タンテーめ!次に会ったら覚えてやがれ!!」

人々の中でヒナコデスとの会話を覚えている者はおらず、ヒナコデスの発した言葉「タンテーさ」のみが記憶に残ってしまい冒険者達はヒナコデスの名をタンテーと思い込んでしまう。

「けど、あんな強い奴見た事ねーよ...」

ヒナコデスの言うハゲヒゲデブの発言に皆が静まり返る。

「俺は...俺たちが悪かったと思う。だから今回は無かった事にしようと思ってる」

ヒナコデスから投げっぱなしジャーマンを喰らった冒険者が言った。彼の表情は明るかった。

「何言ってやがる!?テメーびびってんのか!?」

弓を持った冒険者が叫ぶ。すると周囲から次々と声が上がって来た。

「俺も少し調子に乗ってた気がする、今度から気をつけてみるよ」

「そうだな、俺たち調子に乗ってたもんな!無かった事にしてやるかー」

「ああ、それが一番だ!大人の解決方法って奴さ」

「お前達!?帝国冒険者の誇りを何処へやった!?」

弓を持った冒険者一人が興奮し皆を鼓舞しようとするが、誰もが目を伏せ弓使いの顔を見ようとしなかった。「そんなに誇りが大事なら、お前一人でタンテーに挑んでみろよ!」

誰かの言葉に弓使いは一瞬驚いた表情をしたが直ぐに落ち着きを取り戻し答えた。

「済まない、俺が間違えていた!悪いのは俺たちの方だった!」

弓使いの言葉に皆の表情が笑顔に変わる。

「気にするな!間違いは誰にでもある!俺たちが悪かったそうだろう?あははは」

「そうだ!俺たちが悪かったんだ!わはははは」期せずして始まる俺たちが悪かった合唱。

「いいかー!?俺たちが悪かったんだ!俺たちが悪かったから有り金取られたんだ!」

「俺たちが悪かったんだ!タンテーが悪かったなんていつまでも言わせてるんじゃねーぞ!?」

「俺たちだ!俺たちが悪かったんだ!」

「ごちゃごちゃ言わずにねー、誰が一番悪いか決めたら良いねん!」

訳の分からない盛り上がり方を見せる冒険者達を見たギルド職員達は何も言えずにただ固唾を飲んで見守るだけであった。

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