最終決戦3
おっしマールン勝った!つかカッコいいぞマールン!
仕込み剣とかってロマンじゃんよ!!つか腕も期待しちゃうぞ?仕込み剣!
俺は魔王と回転しながらゆっくりモードで戦いを観戦している。
「貴様!ふざけおって!離せ!!」
魔王がなんか言ってる。離して欲しいのか、ならば答えてあげよう!
「君が!吐くまで!回るのを!やめない!!」
オケ決まった、スゲー良い決め台詞だ。
イソギンチャク頭は倒した、次は蛇頭の番だ。
「テルー!蛇頭をラーメン頭にしてやれ!!」
俺はテルーに命じながら他のメンバーを観察する。
カシムはダメだ、なんかわからないけどマールンの戦いに大興奮だった。
腕ひしぎ逆十字を極めた瞬間のカシムの興奮には俺がドン引きした。両手振り上げて喜んでいた。
そんなにマールン好きなの??
理解出来ないのがマールンが隠し剣を出した時にカシムの表情が明らかに興ざめしていた所だ。
お前仲間勝ったんだから喜べよ。マールン好きじゃないのかよ。
この表情を見てしまった故にカシムの指名は辞めたのである。頑張れテルー!!
俺は回転を早めながらテルーを応援した。
「クボッ!貴様!いい加減にしろ!!」
魔王がなんか言ってるけど無視する事にしてラングとサムソンを観察する。
ラングは相変わらず、ぼーっとしている。ぼーっとしてんじゃねーよ!!
サムソンはなんかブツブツ不貞腐れてる。回転しながら耳をすます。
「どうせ俺のフリーズドライじゃ足留め無理っもんねー、スラハラは良いよねー。麺縛り?足留めできますもんねー。つか麺縛りって良いキャラしてるよね?どーせ俺なんか凍らすだけの男だよ、下手したら同名居てそいつの方が活躍するそんな駄目な男だよ」
聞かなきゃ良かった。サムソン腐ってる。
意識がサムソンに行っていた間にテルーの戦いは始まっていた。
テルーは大きな両手剣を背負いながら蹴りを放っている。
いやだから剣使えよ!!
俺が心の中で叫んだと同時に蛇頭の口が大きく開きテルーの首筋目掛けて伸びて行く。
喰われる!!そう思った瞬間テルーの上半身は大地へと屈み回転する様に蛇頭の足を蹴り飛ばし倒す事に成功する。
「水面蹴りキター─♪」
カシムの叫びが玉座の間に響く。駄目だカシムは使い物にならん。
倒れた蛇頭の顔面へテルーの大剣が突き刺される。
蛇頭の四肢が痙攣し、そして止まる。
だから最初から剣使えよ!!
残る敵はカブトムシ頭と鳥頭!
「クボッ!グボッ!」
魔王がなんか吐いてる、魔王のくせに。
「サムソン!!昆虫頭はお前に任せた!!お前のフリーズドライは世界を制する!!日本企業の英知を信じる俺の言葉を信じろ!!」
もう此処はサムソンに賭ける!氷結サムソンと呼ばれる男、寒さに弱い昆虫相手であれば勝てる筈だ!!
「すみませんヒナコデスさん昆虫頭、隙だらけだったので妖刀桑田の餌食にしちゃいました。
もう死んでますよ」
「!!???」
カシムの言葉に言葉を失う。
俺のゆっくりモードでもそんな動きは捉えられなかった、流石に嘘だろうと思い昆虫頭を見直すとなんら変わりは無い。「カシム、テキトー言うなよ?」回転しながらカシムへ言う。
「テキトーではありませんよ。妖刀桑田の斬撃で昆虫頭はバラバラですよ、どの位バラバラかと言えば、ちょっと聞いてみます?」
カシムは妖刀桑田を抜き取り刀に話し始める。つか妖刀桑田が最終名なの??
「どの位バラバラなの!?」
「そうね大体ねー」
うわぁ腹話術始めやがった。無視だコイツ無視。
地面を見続けながら呟くサムソンの言葉が耳に入る。
「ホラ、どうせ俺なんて使い物にならないんだよ、必要とされてないんだよ」
サムソンめんどくせー!!!!
良いやコイツら無視!!ラストは鳥頭だ!!
「ラング行ったれ!!」
「おう!!」
この時程ラングを頼もしく感じた事は無かった。
変な戦い方ばかりする奴ら、腐る奴に囲まれた俺にとって、斧一本で戦う正統派戦士なラングの戦いは癒しを感じた。
鳥頭とラングの戦いは熱戦を繰り広げ、ついにラングは鳥頭を追い詰める事に成功する。
「これでトドメだー!!」
叫びながら踏み込むラングに対し鳥頭は後方へバックステップし、俺が魔王のファイアーボールを弾いて出来た穴へと飛び込んで行った。
思考が止まった。
あれ?
しばらくしても鳥頭は戻らない。「もしかしてこれ逃げられて無いか??」
俺の言葉にラングは答えようとしない。玉座の間に響くのはサムソンの愚痴と魔王の胃液を吐く音だけであった。