最終決戦1
あけましておめでとうございます!
大きな扉を蹴り破り走り抜けて行く、よく考えたら俺のキック力は凄いのかもしれない。
気持ちが焦っているのを自覚する。敵のボスを一撃で倒して撤退キージー達と直ぐに合流が軍師である俺に課せられた作戦なのだ!
次の扉を蹴りながら思う。軍師に課せられた作戦っておかしくないか?
走りながら考える。軍師って作戦を課せる方だよね?
キージーの作戦通り警備は居ない、楽に進める。
扉を蹴りながら思う。キージーの作戦通りっておかしくないか?
走りながら考える。軍師って俺の事だったよね?
キージーの言葉が正しければ次の扉が玉座の間への扉だ!
玉座への扉を蹴破りながら思う。俺もしかして軍師してない??
玉座に座る鬼が居た、赤い鬼が真っ黒な鎧の真っ赤なマントを付けているのが目に入った瞬間、
俺の心に投げかけられていた疑問の数々、そして今に至る自分の境遇の全てが怒りへと昇華し発現する。
「全部お前の所為じゃねーかー!!!」
扉を蹴破った勢いそのままに玉座へ座る赤鬼目掛けてダッシュし、
5〜6歩踏み出した時に鬼の人差し指から巨大な炎の玉が俺目掛けて発射される。
早い!!ゆっくりモードでも少し早く感じるファイヤーボール、これ実際のスピードは超早いんじゃね??
早過ぎてペットボトルの水を口に含む余裕が無い。
だがしかし!俺は既に学んでいる!この世界のファイアーボールとは『ボール』なのだと言う事を!!
つまり耐熱スキルを持つ俺なら『打ち返せる』と言う事なのだ!!
俺は右手に気合を込める。近づいて来るファイアーボール。
「喰らいやがれ!!逆水平チョップだーー!!!」
俺の逆水平チョップでファイアーボールを迎撃、ファイアーボールに当たった瞬間まるでバレーボールをレシーブした様な感触を右手の手のひらに感じる。
ファイアーボールは逆水平チョップに弾かれ、右側の壁を突き破り空へと消え行く。
うぉ赤鬼のファイアーボールすっげー威力じゃねーかー!!
「なんと!?メガファイアー、いやギガファイアーをあの詠唱速度で唱えおった!!」
マールンの叫びが玉座に響く。
え、ファイアーボールじゃないの?ギガファイアーとか知らんよ??
「クク、今のはギガファイアーでは無い、ファイアーボールだ!!」
赤鬼がマールンに答える。
ほらファイアーボールじゃない、思った通りだ。
「なんじゃと!?そんな馬鹿な!?ファイアーボールであの威力だと!?」
マールンが叫んでるけど、馬鹿なって俺の事か!?ファイアーボールが正解って言ってんじゃんよジジイ!
「くく、その証拠にこの通り」
赤鬼の周りにファイアーボールの玉が3つ同時に浮かび上がる。
うわぁ、マジ面倒くさい3つ打ち返せってか!?袈裟斬りチョップから逆水平チョップに繋いでラストミドルキックで締めるか、ミドルシュートで鬼の顔面撃ち抜いてやれ。
「あり得ん!!」
マールンがまだ叫んでる、ファイアーボール正解の俺と不正解のマールン、ちょっと優越感。
いかんいかん、来たよ3つ!!
一個目!袈裟斬りチョップで打ち返し、玉座に座る赤鬼の側近っぽい4人のうちの一人を狙う。
2個目!逆水平チョップで打ち返し、赤鬼の右手側の側近を狙う。
ラスト3つ目!ミドルシュートで赤鬼の顔面を狙う!!
「いっけーーーー!!」
1発目のファイアーボールはイソギンチャクみたいな頭をした鎧男に回避される。
2発目のファイアーボールは蛇頭をした鎧男に直撃したがダメージが無い様だ。
ラスト3つ目のファイアーボールは赤鬼の右手で弾かれる。
クソ!ちょこまかと鬱陶しい!!
「ちょこまかと鬱陶しい奴め!」
「うおーーーー!!!赤鬼それは俺のセリフだー!!!テメーの方がちょこまか鬱陶しいんだよーー!!」
俺は赤鬼目掛けて一気にダッシュで接近し必殺のヒナコデスニーを発動する。
俺のヒナコデスニーが赤鬼に当たる寸前に赤鬼は両腕をクロスし顔面をガードする。
俺の膝に衝撃が走るが、完全にガードされた事を理解出来る感触だった。
着地しながら考える。イソギンチャク男も蛇男もファイアーボールに全く動じてなかった事からかなりの強者に思える。このまま赤鬼と連携されたら不利になる、なら赤鬼を俺が抑えて側近はカシム達に任せよう。
カシム達が危なくなったら横から不意打ち仕掛ければ良いし。
俺の両足が大地に着いた、それをそのまま屈む。屈んだ事で蓄えた両足のバネで赤鬼の右足目掛けて飛びつきそして抱える。飛びついた勢いで尻餅をつく赤鬼、勝った、計画通りだ!
「ローリングクレイドル!!!」
俺の両足を赤鬼の左足に絡ませて回転を始める。
回転しながら玉座の間を大きく回る、敵の側近も赤鬼を人質に回っているので手を出せないでいる。
俺と赤鬼の回転は玉座の間に丸い円を描いている。即ち土俵だ!!
「オイ!赤鬼は俺が抑えとく!!あとの雑魚はお前らに任せた!!やったれー!!!」