突入
魔都への侵入は容易かった。
遠くで爆発音が続いている、ロウジー達が頑張っているんだろう。
流石に正面から街へは入らずマールンのフライとか言う飛行魔法で城壁の上まで行ってもらい縄ばしごを下ろしてもらい街へ侵入した。
街の中は人の気配が無く、中央に高く聳える城の付近までは簡単にたどり着いた。
だがおれの心はかなり疲弊してしまった。街の情景がホラー過ぎたのである。
辺りに散らばった人骨、飛び散った血の跡、漂う腐敗臭。
グロいよ!窓が風で開く度にビクっとしたわ!
洒落にならんよ魔族、酷い、マジで許せん。
歩きながら俺の目が据わっていくのを自覚していたが、城の前に門番の様に立つ2体の虫型魔族を見た瞬間、溜め込んでいた感情が爆発する。
「テンメー!!!!!!」
ダッシュで一気に距離を縮め、ヒナコデスニーを眉間に叩き込む。
「ヒナコデスさん!!」
誰かの叫びとグシャリと卵の殻が割れた様な音が響く。倒れようとする虫型の首を土台にしもう一度ジャンプしもう一体の首元へ延髄斬りを放つ。
枝を折る様な音と明らかにズレた虫型の首を見てソイツが絶命した事を確信する。
「人間なめんなよ!?」
「ヒナコデスさん敵にバレますよ!」
「知るか!!片っ端から潰してやれば良いんだよ!!」
スラハラに八つ当たりしてしまった。自己嫌悪だ。
「フォンフォンフォン、最早覚悟を決めて正面から行くしかなかろう。ワシは一度この城へ来た事がある。
玉座は正面から直進で4つの扉をくぐれば直ぐじゃ。まぁ玉座に居ればだがな」
マールンの言葉に落ち着いて来る。
「大丈夫だ、玉座に魔王は居る。俺の気配察知で確認した。但しその周りに4体ばかりデカイ気配も有る。
あと扉が有ると思われる間隔毎に10体ずつ待ち構えているな」
キージー使えるな〜。
「この門を潜り右手の方で隠れていてくれ、扉を守る40体は俺が街の方へ誘導してみせる」
キージーが2本の剣を頭上で叩き合わせ音を発し始める。
なんと雨乞いの儀式じゃなかったのか!!
「って40体も相手出来る訳ないだろ!?キージー!!」
思わず叫んでしまう。
「大丈夫だスラハラの麺縛りで動きを止めてもらう、いけるな?スラハラ」
「任せてくれキージー、此処が僕達の見せ場だね」
明るく返すスラハラが逆に俺を不安にさせる。
「ヒナコデスさん、彼らに任せましょう」
「カシム、大丈夫だと思うか?」
「大丈夫です、私達が玉座に辿り着くにはこれしか手は有りません」
クソ!カシムが本気顔なのが不安なんだよ!
「キージー!スラハラ頼む!!」
俺達は城門を潜り右手に隠れて機会を伺う。
しばらくするとゾロゾロと虫型魔族が城の外へと誘導されて行く。
キージー!スラハラ!頼む!無事に逃げ切ってくれよな!!
今年は私のふざけた小説を読んで下さってありがとうございました。
皆さん良いお年を!!