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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
はじまり
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B級北斗のキージー

B級冒険者キージーが彼率いるパーティ「北斗」として護衛依頼を受けたのは、依頼者であるマガナ商会の会長でもあるマガナ氏に恩義を感じているからである。


マガナ氏はカミルの街にある中堅商会の会長で、今年丁度50歳になる目が細く常に笑顔を絶やさないのだが、何故か何かを企んでいるのではと思わせる雰囲気を持つ事で有名な男だ。


マガナ氏は元B級冒険者で、あるダンジョンで手に入れた秘宝を国王に献上する事で多額の報酬と国内での「自由移動の権利」を受け取った。

彼が望んだ「自由移動の権利」とは国内で有れば領地間を自由に行き来出来ると言う物で、街に入る際の税や等を免除するものであった。

当初、国内を制限無しで冒険する為に望んだものと思われていたが、彼は「自由移動の権利」を受け取ると冒険者を引退。パーティメンバーと共に王都から離れたハルバット領に移住。

受け取った報酬を元手にマガナ商会を立ち上げ、冒険者の仲間たちと協力しつつ一代で現在の地位を手に入れた。

「自由移動の権利」を行使する事で領地間交易を成功させたのであった。

彼の「自由移動の権利」が有ればマガナ商会はすぐにハルバット領地最大の商会になる筈だった。

だが彼は商会がある程度軌道に乗ると、孤児院の運営を始めた。

商会の利益を孤児院に吸い取られていく為に、マガナ商会はそれ以上大きくなる事は無くなった。周囲の人々は無駄な事は辞めた方が良いと忠告するが、彼は聞き入れる事は無かった。


あるパーティで酒を飲んだ帰りに部下に「何故無駄な出費をするのか」と尋ねられるとマガナ氏はこう答えた。

「俺のマガナ商会は自由移動の権利で成り立っているが、これはイカサマみたいなもんだ。大きくなり過ぎると目を付けられ没収されかねん。マガナ商会には真っ当な商会としての武器が無いんだ。

だから利益を吐き出して上の連中のお目こぼしをもらわないとならんのよ。

もっと言えば孤児院はマガナ商会の武器を作っているとも言える。ガキ共にいい思いさせて、マガナ様の為なら!なんて奴らが増えて行けば商会の武器になるってもんだろ?その為の孤児院って訳だな」

部下は納得したが翌日マガナ氏から「昨日のあの話は忘れろ、誰にも漏らすな」と言われた為に周囲に弁明する訳にもいかず、マガナ商会の評価は「良い権利を持っているのに使い方をわからない商会」のまま変わる事は無かった。


B級冒険者キージーはそんなマガナ商会が運営する孤児院出身だった。

週に一度必ず顔を出す「糸目の悪い顔」の男が話す若い頃の冒険談は孤児院の子供達を夢中にさせた。

そんな「糸目」が孤児院の経営者でありマガナ商会の会長だと知ったのは、孤児院を出て冒険となり、

D級からC級となった際に孤児院の院長がお祝いに来た際にこう教えられたからである。

「お前は見込みがありそうだから言っておく。私達の孤児院はマガナ商会に養ってもらっている。毎週話しに来ているあのお方こそマガナ商会会長のマガナ様だ。もし次にお会いしたら決して失礼の無いようにな」と。


キージーは衝撃を受けた。

冒険者として低位の頃に「安くで雇えるから」と度々マガナ商会から護衛依頼が指名で入っていた。

思い返してみると必ず依頼を失敗した後に指名されていなかったか?

キージーは目元が熱くなるのを感じた。

「俺は糸目の為に強くなってみせる!」

C級になってしばらくするとキージーは2本の剣を使うようになる。

元々キージーには「二刀流」と「気配察知」のスキルを持ってはいたが、二刀流を使う気は無かった。

使い捨てなら可能ではあるが、まともに使える剣を2本も持つ事は、よほど生活を切り詰めなければ不可能だったからである。

だがキージーは自身が強くなる為に「二刀流」を使う決心をしたのである。


元々「気配察知」により敵へ先制し、近距離でも「攻撃の気配」を察知する事での回避能力の高さが彼の戦い方だったが、「二刀流」を駆使する事で攻撃力も守備力も大きく上昇したのである。

強さを求めるキージーには鬼気迫るものがあり、モンスターの生息地へ向かい両手の武器を頭上でぶつけ合わせ音を発して、モンスターを誘き寄せる事を繰り返した。

彼の努力はスキル「音波誘導」とし昇華し、B級となった今では意図的に対象を引き寄せる事も退ける事も

可能となっていた。

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