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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
開戦
138/256

敗走

「先行していた部隊が奇襲を受け壊滅した!!此処も危険だ!引くぞ!!」

ロビンソンの声が辺りに響く。

だから言ったじゃないよ、そんなに急いで攻めてどうするよと、観光しようよと。

軍師の意見は聞かないとダメだよ?

つか壊滅って....。

「なーラング、これって結構ヤバイ感じ?」

俺は近くに居たラングに聞く。コイツはアホだけど社交的だから情報には詳しい。

「ハッキリ言ってマズイ。先行していた部隊はリーチ男爵の所の奴らだったが統率の取れた良い軍だった。

それを壊滅させるなんて普通は無い、撤退させられたなら理解できるが壊滅は....。それに此処まで逃げ延びた奴の話だと敵の数は数十。数十で先行部隊の1000人を壊滅はヤバすぎる」

ヤバイな、気分が暗くなる。とりあえず撤退に向けて皆の士気を上げとこう。

俺は周囲へ向け支援スキルを使いまくる。

「元気デスカー!!!」

まずは体力回復で。

「ショア!!」

一応防御力も上げとこう。でもホントに効果あるのコレ?

周囲から変な目で見られたが気にしない!

とりあえず撤退戦に関する知識チート思い出そう。

うーん、覚えているのって三国志の張飛が細い道で一人残って通せんぼしてた奴かな〜、アレ?橋だったっけ?あー後、秀吉が浅井から信長守るのに残って頑張ってた様な。

うーん応用するなら細い道で俺残って熱線レーザー?有刺鉄線電流爆破装置で道狭めてやるか。

ん?何だこの不快な音...。

俺の耳に入る不快な音、蚊とかハエとかが飛ぶ音が遠くから近づいて来る気がする。

「空だ!!空から魔物だ!!」

誰かの声に空を見上げる。見た瞬間に鳥肌が立つ、此方へ高速で飛来する人間サイズのカマキリが目に入ったからだ。

「何だあの化け物は!!」

いやカマキリでしょあれ?つか人間サイズのカマキリに勝てる気がしない、つか無理!虫系は無理!!

撤退しようとしていた部隊の前に着地するカマキリ、近くで見て恐怖に震える。

体はカマキリなのに顔が人間っぽい。人間っぽいって言うのはソイツの顔は包帯でぐるぐる巻きで目しか見えないからだ。包帯は血に汚れていて、ハッキリ言ってしまえばソイツの存在はホラー映画の敵でしか無かった。

イヤ無理無理、アイツと関わりあうの無理!グロい!存在がグロい!

つかプロレス技は虫には効かないと思う、羽あるし。フランケンシュタイナーしようとしたら、そのまま俺ごと空に飛ばれてしまいそう。

「プシュー!!」

喋ってよ!怖いから!!喋ってくれればまだ恐怖薄まるのに!!「みなさんこんばんは」とか言えよ!!

あーでも実は友好的なカマキリさんだったりしないかな?

「アイツらだ!!アイツらにみんな殺されたんだ!!!」

一人の兵士の声が俺の耳に入った。

「そうなんだ...みんな殺されたんだ....」


俺の目元が痙攣しているのを感じる....頬も痙攣している....。

「おま!!なんばしよっとかー!!なめとっとかー!!!」

虫へ向かって走る、虫が鎌を振りかぶっている、切れ味が良さそうだ、血が出るかもしれない。

関係ない!!俺が配下にした俺の配下をコイツは!!!!

テメーの武器がその鎌なら!!俺はその鎌を!!!


袈裟斬りチョップ発動!!!

緩やかに流れる時間の中、虫の鎌が何かの光に反射し輝いて見えた。

対する俺の右手は只の手だ。けど!けど!!けどなーーー!!そんなの関係無い!!!


「ハイ!オッバッビー!!!!!!」


空に飛ぶ鎌、その鎌を視線で追う虫、俺の右手は無事!そして俺から視線外してんじゃねーよ!!

包帯の目元へ毒霧噴射!!

後ろへ一歩下がる虫の顔面へゼロ距離からのヒナコデスニー発動!

硬い!足りない!!ふざけんな!!!その首へし折ってやる!!

ヒナコデスニーを喰らって後ろに下がった虫との距離は充分!

フランケンシュタイナー発動!!

俺の両足が虫の首を挟む、挟む勢いだけで絶命させる気でやる。

俺の体が一瞬だけ虫より高位に立った時に睨み叫ぶ。

「人間舐めんなよ!?」

一気に後方へバク転、後は!!

「マーワーレーー!!!!」

大地へ響く会心の一撃、本気フランケンシュタイナーで虫の脳天は砕け散っていた。

「全員直ちに撤退!!上空への警戒を怠るな!!」

ロビンソンの声が遠くに聞こえる、俺の頬はまだ痙攣している。

「オー!!」

自己回復スキルを使う、力が湧いてくる、俺の頬の痙攣は抑えられない。

「ロビンソン、ちょっと行って来る」

俺は一人撤退する味方と逆方向へ向かう。

上空を飛ぶ虫はレーザーで堕とす!

地を這う虫は片っ端から潰す!!

「ヒナコデスさん、パーティメンバーを置いていくのは無しですよ」

「師匠!ラーメン道を極める為、我々三剣士もついていきます!」

「フォンフォンフォン!この老体もついて行くぞ!」

カシム!マールン!ラーメン三剣士のキージー!テルー!サムソン!スラハラ!

「ヒナコデスはアホだからちゃんと監視しとかないとな」

ラング!

「あーやっと追いつきましたよヒナコデスさん、カミルポーションを大量に用意して来ましたよ?」

ウェックス!!とあとこの太った人誰?

「ああ、此方は私の護衛でセイゴードンさんです」

「ヒナコデスさー!おつかれさげもうした!」

うぉ!?すっげー訛ってるよこの人!!

何だよ!みんなついて来てくれるの!?

気づいたら俺の痙攣は収まっていた。

何だよ!!なんか嬉しいぞ!!

「よーし!行っちゃうぞーー!!」

「ガガガ、ギギギ」

「ロウジー!!お前はダメだろ!!お前が旗印なんだから!!」

「ガガガー!!!ガガガ!!!!ガガガ!!!!!」

「何?ロウジーじゃ無い?マシンレディだ?、イヤダメだろう!!」

「ガガガガガガガガガガガガ!!ギギギギギギギギギギギギ!!!」

なんか泣けて来た、良いやロウジーは絶対守ってみせる!

「おけ!マシンレディ!!行こう!!赤毛連盟出撃だ!!目的は追撃部隊の壊滅!味方の撤退支援!!

みんな行くぞ!!!」

「ショア!!」

こうして俺達の戦いが始まった。


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