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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
動乱
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ウェックスの旅立ち

ヒナコデス達がカミルの街を発って10日程、ウェックス商会の会長ウェックスは自身が落ち込んでる事に気付いた。カミルポーションはサボテンの栽培に成功し安定して生産、メヒコの塩の生産は止まっているがウェックス商会としての利益は順当に上がっていた。しかしウェックス個人の心は沈むばかりである。

「どうしたの?あなた、ため息ばかりついちゃって」

ウェックスが自宅でため息をついていると心配した新妻のミユがウェックスに声をかけた。

「どうしたもこうしたも無いよミユー、カミルポーションも安定、ウェックス商会も安定、

けどね何かが足りないだよ!やりきった気がしないんだよ!!」

「あなたの自分では判らないモヤモヤした気持ち、それは何か教えてあげましょうか?」

「ミユ!君には僕のこの気持ちが解ると言うのかい!?」

この時、新妻ミユに対して甘えの出るウェックスの一人称は僕になっていた。

「ええ、あなたのその気持ちの答え、それはヒナコデスさんです」

「え!?ヒナコデスさん!?」

「あなたは胸を張ってヒナコデスさんを骨の髄までしゃぶりきったと言えますか?

まだまだ搾り取れたのでは有りませんか?あなたは心の底で理解しているのです、

『まだまだ搾り取れたのに』と。それが後悔の念としてあなたを悩ませているのです」

ウェックスは新妻ミユの言葉に、胸に空いていた穴が塞がるのを感じる。

「そうか....僕はまだまだ搾り取れたのに!!!逃げられてしまったのか!!」

「あなた、逃げられたのであればもう一度捕まえれば良いんですよ」

優しく微笑みながらウェックスの頭を撫でる新妻ミユ、見た目だけで言えば夫思いの優しい良妻であったが言っている事は酷かった。

「しかしヒナコデスは最前線に向かっている、でも僕ちゃん戦いとかダメだよー」

この時、新妻ミユに対して甘えの気持ちが高まったウェックスの一人称は僕ちゃんへと進化する。

「私に任せて!同じ孤児院の幼馴染で冒険者になった子が修行の旅から丁度今戻っているの、

あなたの護衛を任せられる人よ!」

「私を無事にヒナコデスの元まで連れて行けるのかな?」

新妻ミユの幼馴染発言にイラっとしたウェックスの一人称は私に戻ってしまう。2ランクダウンであった。

「大丈夫よあなた!カミルポーションを大量に持って行って一儲けしつつヒナコデスさんをもう一絞りしてあげて!」

優しく微笑みながら酷い事を言うミユの熱い気持ちにウェックスはくちづけで答えるのであった。


翌日ウェックス商会に一人の大男が現れる。青いローブを着た短髪の大男である。

「セイゴードンと申します!ウェックスさーはおられますか?」

セイゴードンと名乗る大男の大きな声と酷い地方訛りにウェックス商会の人間は驚くが、主人より来客がある事は聞いていた為混乱も無くウェックスの元へとセイゴードンは案内される。

「君がセイゴードンか」

「おいがセイゴードンでごわす!おやっとさーです!」

ウェックスは『おやっとさー』が何か理解出来なかったが無視する事にする。

「私を無事ゼブル侯爵領へ連れて行けるかい?」

ウェックスは右手を差し出しながらセイゴードンに尋ねる。

セイゴードンはその右手を力強く握り答えた。

「シェイクハンド!!おいに任せといてくだされ!!」

ウェックスの直感が囁く、セイゴードン、コイツもしゃぶり甲斐がありそうな男だ!!

英雄商人ウェックスとそれを支えた英雄セイゴードン、二人の冒険が今始まる!

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