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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
動乱
124/256

護衛者として

リーチ男爵を武力を持って配下に加える事を提案したのは軍師ヒナコデスであった。

軍師として雪だるま式に配下を増やしていく策を提案したものの「力」によって強引に配下に加える事しか思いつかなかったからである。皆は内心ヒナコデスがやるならなんとでもなると投げやりに賛同していたが、カシムだけはヒナコデスに条件を突きつける。毒や炎、爆薬等の使用を禁止したのである。

これから配下に加える兵士を毒や怪我で減らす訳にはいかないと言うカシムの言葉には説得力がありヒナコデスもそれに従う事にしたが、真実はカシムがプロレス技を見たいだけの提案であった。

(ウォーー!!鎧の上から逆水平チョップ行ったーーー!!!)

内心は興奮するカシムだったが他人からは隙も無く佇んでいる様にしか見えない。

守備隊長へ突進するなり逆水平チョップを放つヒナコデス、守備隊長は壁へ吹き飛び意識を失う、守備隊長の鎧は手形に凹んでいた。

(おおー!スゲー!!スゲー!!)

心の中では拍手喝さいのカシムだが、他人からは前髪を右手で掻き分けた姿しか見えない。

吹き飛んだ守備隊長に一瞬怯む兵士達へリーチ男爵が檄を飛ばす。

「何をしている!!全員でかかれ!!」

一斉に剣を抜きヒナコデスへ襲いかかる兵士達、しかしヒナコデスは一人の兵士にミドルキックを放ち兵士達の集団に弾き飛ばす事で牽制すると広間に有ったテーブルに駆け上がり右手を突き上げ叫ぶ「ショアー!」その声に反応してロウジー、ロビンソン、カシムが同時に叫ぶ「ショアー!」ヒナコデスの範囲防御力上昇スキルである。しかしその事がわからないリーチ男爵や兵士達にとっては4人は人外だったのではと思える程異様な光景だった。

ヒナコデスはテーブルの上から兵士達へ背を向けるとバク宙を敢行し兵士達の中へ飛び込む、ムーンサルトアタックである。ムーンサルトアタックにより5人の兵士が後頭部を床に叩きつけられ意識を失う。

(ムーンサルトきたーーー!!!)

心の中で重低音ストンピングと言う所謂足踏みをするカシムであったが、他人からは右手で口元を隠し左手で胸を押さえ爪先で立つ危ない男にしか見えなかった。

「ロウジーだ!ロウジーを狙え!」

リーチ男爵がロウジーを指差して叫ぶとロウジーは静かに懐から仮面を取り出して装備する。

「ガガガ、ギギギ」

次の瞬間、ロウジーの革命ラリアットで兵士達がまとめて壁へと弾き飛ばされる。

(ロウジーが行ったーーー!!!)

心の中で大興奮のカシムだったが、カシムの足元にはロビンソンとカシムを襲おうとした兵士達が転がっていた。戦いを観戦する傍らで兵士達を圧倒するカシムであった。

(コイツら化け物か!?何という力!!)

リーチ男爵は理解する、ヒナコデスの強気が何に因るものだったのかを。

50人は居た筈の兵士達で未だ立っている者は10人と居ない。

「そろそろ本気出しちゃっていいかなー?」

ヒナコデスは兵士の一人の足に自分の足を絡ませ、相手の脇から自分の左腕を伸ばし頭を固定するコブラツイストを極める。「コブラツイストでおわると思ったか???」

ヒナコデスはコブラツイストの体勢のまま兵士の頭を押し始める。拷問コブラツイストである。

ヒナコデスの身長は160cm対する兵士は180cm20cmの身長差をコブラツイストで押し潰す為、鎧はへし曲がり腰は有り得ない角度に曲がっていた。

リーチ男爵に「コブラツイスト」は初めて聞く単語であり、それを「終わると思った」も何も無いのだが、

カシムは一人興奮していた。(拷問コブラツイストに移行だーーーー!!!)

嫌な音をたててへし曲がる同僚をまだ立っている兵士達は救う事も出来ずに見守っていた。

皆が次は自分の番だと絶望していた。

「ロウジー様!!話し合いを!!」

自ら先に手を出したリーチ男爵はその事すら忘れ涙目でロウジーに救いを求める。

「ガガガ、ギギギ」

ロウジーへの救いを意味不明な言葉で無視されたリーチ男爵が絶望感で両膝を床についてしまう。

「おうオッさん!やっとひざまずいたな!!配下に加えてやるから感謝しろよ?」

リーチ男爵は自分の頬に涙が流れた事を感じつつ床に両手をつく。

「ありがとうございます」

リーチ男爵の兵力が決起軍に加わる事になった瞬間であった。


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