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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
動乱
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軍師2

広場に集まったカミルの街の人々は、ロビンソンの発言に驚きつつも亡き全王弟のご息女が生きていた事、

そのご息女が街の者であれば誰もが知るロウジーであった事、そしてそのロウジーが決意を持って王国を守る為に立ち上がった事に感動し感謝する。

悲劇の姫君が国民の為に立ち上がるという、物語のような出来事に自分達も参加する事が出来るのかと言う期待、姫君ではあるが反逆者の汚名を着せられた王弟の娘に協力する事への不安、その二つの感情が交わり広場には「おおお」と言う肯定とも否定とも言えないどよめきが起こった。

その不安を感じとったのかロビンソンは発言する。天才軍師が居ると。

その天才軍師の力で先日のドラゴンゾンビは討伐されたと。人々は思った、そんな凄い人が居たのかと。

「天才軍師!ヒナコデスどうぞ此方へ!」

ロビンソンが叫んだ名前を聞き、人々は皆思った。「無い無い、それは無いな」と。


ヒナコデスこと相良日菜子の見た目を問われた人は大抵が「可愛い」と答える。

そして特徴はと問われると「大きな口と笑顔」と答える。

相良日菜子の父親は人を威圧する様な鋭い大きな目をしており、

相良日菜子の母親は人を笑わせる大きな口と出っ歯を持っていた。

二人の間に生まれた日菜子は、鋭い眼光の大きな口をした少し歯が出た女性だった。

歯が出ている為に常に口が半開きな為、笑っても居ないのに笑って見える女性だった。

24時間寝ている間も笑顔な女性であった。

もし前歯が出て居なければ、鋭い眼光の美人であったであろう日菜子は、

前歯が出ているが故に残念な美人になっていた。

お気楽笑顔な美人に見えるのである。

しかし天才軍師と呼ばれたヒナコデスがまず行った事は、その24時間笑顔をフライパンで隠す事であった。

ヒナコデスが口元をフライパンで隠すと、残った物は父親譲りの鋭い眼光のみとなる。

人々は思った、怖いヒナコデスが帰ってきた、血塗れフランケンがフライパン持って帰って来たと。

人々は左右に分かれ道を作る。フライパンで殴られるかもと考えた為である。

人々は壇上に上がったヒナコデスの言葉に困惑する。

「皆さんこんばんは、ヒナコデス」

人々はヒナコデスの声が叫んでもいないのに広場全体に広がる事に驚く。

静かに喋っていた筈であるのにも関わらず、そこに居た全ての人々の耳元で話をする様な語り口に驚いてしまったのである。

そして更に魔王軍と人類との戦いが始まった中の決起集会に場違いな挨拶、自分の名前を語る意味、

人々はヒナコデスの挨拶一つに困惑してしまう。

返事をすべきなのか、今後は挨拶の後にヒナコデスと付けるべきなのか、

答えも分からないまま人々が沈黙を続けていると、ヒナコデスが話し始める。

「元気デスカー!!」

人々は思った、魔王軍との戦いが始まろうとしている時に元気な訳あるかと。

やはりヒナコデスはアホなのではと。

しかし次の言葉で人々は押し黙る。

「カミルの街の諸君!敢えて聞こう!王国軍は何故負けたのか?そう!坊やだからさ!」

人々は口を開く事が出来無い。

何故ならばヒナコデスの発言は明らかに亡きゴールズ・フォン・エルビアの後継となるであろう、

オーガス・フォン・エルビア5歳の事を言っており、5歳の子供に王国を継がせようとするから負けたのだと

王族批判を、更にはそれを後押しする公爵批判を堂々と大衆の前で言ってのけたからであり、

下手に賛同すれば命が無い、そう人々は考えたのである。

静まる広場を鋭い眼光で見つめるヒナコデス、人々はその眼光に恐れを抱く。

まるで、この程度の事で押し黙るとは!と睨まれている様な錯覚に陥ったのである。

更に発言を続けるヒナコデス。

「元気デスカー!!」

人々は思った、王族批判を目の前でやられて元気な訳あるかと。

「カミルの街の諸君!敢えて聞こう!王国軍は何故負けたのか?」

人々は皆思った、もう辞めてくれと。これ以上の過激な発言だけは辞めてくれと。

「そう!上層部の作戦指揮が無能だったからさ!」

人々は思った、直球すぎるだろ!!と。

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