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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
動乱
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軍師

なんか朝から御触れが出て、夕方広場で演説聞かせるから集まれだとか。

冒険者は強制参加だって、だるい。

夕方になり広場へ向かう。

俺卒業式とか成人式とか嫌いなタイプなんだよねー、つか好きなタイプいるの??

「卒業生の」「お兄さん」「お姉さん」「ご卒業おめでとうございます」ってひとりで言えって思う。

魔術師マールンの冒険者卒業式だったらどうしよう。

「マルーンの」「お爺さん」「ご卒業」「おめでとうございます」で句切れば良いのか?

「マルーンの」を言う役は嫌だな。

「おーいヒナコデス!なんか大変な事になったな」

お、ラングだ。確かにコイツも「おめでとうございます」ってちゃんと言えるか心配だわ。

「お前ちゃんとご卒業おめでとうございますって言えんのか?」

「は?ゴソヅギョウ?」

ダメだコイツ。

「お前はホントダメだな〜ご卒業くらい言えないと卒業できんぞ?」

「お前何言ってんの?魔王だよ?魔王でたのよ?」

「え!?魔王!?魔王居るの!?」

怖っ!!魔王怖っ!!いや、落ち着け!まだ大魔王じゃなくて良かったと思おう。

大魔王なら死ねるが、魔王なら助かるかもしれん。

「ヒナコデス、お前なんも知らないのね?、ほらそろそろ始まるぞ?」

広場の中央に舞台がセッティングしてあり、一回会った偉い人がそこに立ち話し始めた。

「諸君!マリーンドルフ領が魔都と化し、王国軍が敗れた事は知っていよう!」

うぉ!?そうなの!?ヤバイじゃないの魔王!魔王怖っ!

「だが案ずるな!!我らには希望がある!!全王弟であるシールズ・フォン・エルビア様のご息女、

ロウジー・フォン・エルビアが我らエルビア国民を救う為に立ち上がって下されたのだ!

ロウジー様!此方へ!」

一回会った偉い人の案内で王様の娘が登場、ってロウジーじゃん!!ロウジー女王なの!?

俺女王にラリアットしちゃったよ!?俺ギロチンされない!?

「皆様!私はエルビア王国を魔族の手から救う為、戦いに出る事を決意しました!

どうか私にお力添えを!」

うぉー!!ってスッゴイ盛り上がってるけど、何ロウジー人気者だったの??

ロウジーを自転車で引いた俺、ファンから刺されたりしない!?

「皆!不安もある中、ロウジー様への協力を感謝する!」

又偉い人来た、名前なんだっけか...ロビンソンだ!おおナイス記憶力。

「だが皆安心してほしい!この街には天才軍師が居るのだ!

先日のドラゴンゾンビもその天才軍師の力で撃退したのだ!」

え?ほとんど俺だよ?軍師なんて居なかったろーが、ロビンソンもムカつくリストに入れるぞ?

「天才軍師!ヒナコデスどうぞこちらへ!!」

ええええええーーー!!!おれーーーー!??

何という無茶振り!!軍師って何よ!?

思い出せ俺の灰色の脳細胞!!軍師とはアレだ孔雀っぽい羽根の団扇で口元隠して難しい事喋る奴だ!

団扇なんて持ってねーよ!!ああああーー?どうしよう?どうしよう?

ああ!無限リュックの中にフライパンあった!あれ団扇って事にしよう!

俺はフライパンで口元を隠しながら壇上へと向かう、俺の前の人々は左右に分かれ道を作る。

早くもフライパン効果ありだ!

俺は壇上に上がって気付いた、何を言えば良いのか分からない事に。

マズイ!マズイ!いや落ち着け、こういう時は知識チートって奴だ!

偉人の言葉を丸パクリで「おお凄い、最高!」ってなる筈だ!!

俺は右手のフライパンはそのままに左手で無限リュックからマイクを取り出し、

フライパンとマイクの二刀流になる。偉人の言葉!偉人の言葉!

「皆さんこんばんは、日菜子です」

まずは挨拶してからの、範囲回復で皆の気分を盛り上げていこう。

その後は偉人の言葉で頭いい軍師っぽいのを!

「元気デスカー!!

.......カミルの街の諸君!敢えて聞こう!王国軍は何故負けたのか!?

その答えは、.....そう!!坊やだからさ!」

ん?言ってて文面おかしいぞ??軍師の頭良い台詞ぽかった筈なのに??

なんか間違えて覚えたか??最初からやり直そう。

「元気デスカー!!

.......カミルの街の諸君!敢えて聞こう!王国軍は何故負けたのか!?

その答えは、......そう!!上層部の作戦指揮が無能だったからさ!!」

ん?頭はいい感じになったけど俺めっちゃ王国ディスってないかコレ?

ヤバイかも、これはアレだ周りを巻き込もう!そして有耶無耶にしよう!!

「おい!B級冒険者!全員上がって来い!!」


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