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異世界フランケンシュタイナー  作者: 雪村宗夫
カミルの街・激闘編
101/256

ラングの戦い2

フェールズ公爵の強者を排除せよとの命を受けた暗黒騎士団のモスは冒険者としてカミルの街に到着すると

2人の部下に命じた。

「冒険者ギルドで冒険者達を挑発し対戦で叩きのめせ、殺しても構わん。C級までなら貴様達で充分だ。

残りの9名は3人1組で行動し、冒険者達を潰していけ!俺は冒険者ギルドでB級を相手にする」

指示に従って3方向へ別れる部下達を見つめながらモスは呟く「さて、当たりを引くのは誰かな?」

その顔は残酷な笑みを浮かべていた。


ホールに連れられ冒険者ギルドに到着したラングにギルド職員のヒルダが訴えてきた。

「ラングさん助けて下さい!皆が対戦場で!!」

返事もせず対戦練習場へ走るラング、目に飛び込んで来たのは傷付き倒れたカミルの冒険者達とそれを見下ろす漆黒のフルプレートを装備した3人組だった。

「お前達!何のつもりだ!!」

怒りに震えつつ尋ねるラング、倒れた冒険者の中にはまだ少年と呼んでもおかしくない年齢の者も居た。

「カミルの冒険者がどの程度か試してみたが、大した事無かったぜ。B級がこの街の最高位らしいがC級がこの程度ならB級もたかが知れてるな!」

3人組の一人の言葉により逆に冷静になるラング。

(なんかコイツら、ムカつきますってヒナコデスにやられる絵が見えた。可哀想に。なら俺が無理する事無いか...)そう考えた次の瞬間ラングの脳裏に閃く一つの考え。

「良いだろう、B級!B級のラングが相手をしよう!!」

B級を強くアピールするラング。

意気消沈していた冒険者達が一気に盛り上がる。

「ラングさん!お願いします!!」

ラングへ送られる声援、この声援をクレイモアの一振りで黙らせるモス。

「ならば俺が相手をしよう」

モスの一振りを見たラングは、相手がA級クラスの実力を持つ事を理解出来た。

ヒナコデスに会う前は相手の力量等を感じる事が出来なかったが、ヒナコデスと行動を共にした結果、それが出来る様になっていた事を知りラングは嬉しく思った。

(やれるか不明だがやってやるって!)

「ホール、開始の合図を頼む」

「良いのか!?ラング!?」

「あぁ、考えがあるんだ、此処は俺を信じろって!」

「話し合いの所悪いがこっちも暇では無いのだ、さっさと始めて欲しいものだな」

二人の会話に割り込むモスにラングはニヤリと笑った。

「済まなかったな、ホール頼む」

「ではこの銀貨を空へ投げて、地に落ちた瞬間を開始とする!いざ!!」

ホールが銀貨を空へ弾く。ホールは驚く、ラングが銀貨を見ずに胸元を触っていたからである。

(何を!?)

銀貨が地に落ちた瞬間に斬り込むモス、フルプレートとは思えない異常な速さでラングへ接近しそして

一閃。ラングの胸元から大量の血が吹き出す。

「ぐほぉーーー!!む!!無念!!!」

叫びと共にホールの足元へと倒れるラングに対し違和感を覚える二人、対戦したモスと間近で見ているホールである。

(俺の一閃を躱しただと!?)

(おいラングこの血糊でこの後どうする気だよ!?)

「そ!そんな!!ラングさーん!!」

「ラングさんがー!!!」

絶望する冒険者達、中には泣き崩れる者も居た。

「ラーーーーング!!!」

そんな中ラングに駆け寄る者が居た、ラングのサボリを聞いて連れ戻しに来たヒナコデスである。

「お前!なんて無茶を!!今すぐ回復してやるからな!!元気デスカー!元気デスカー!!」

冒険者達は泣きながら思った。元気な訳あるかと。

「ヒナコデス、聞いてくれ....」

「馬鹿!喋るな!!元気デスカー!!元気デスカー!!」

暗黒騎士モスは思った、そいつ元気だぞと。

「ヒナコデス!良いから聞くんだ!奴の剣は内部を破壊する...傷は塞がっても内部がボロボロになってしまうんだ、ゴホ!」

暗黒騎士モスは思った、そんな技知らねーと。

「いいかヒナコデス!奴の剣には気をつけろ!!」

「元気デスカー!!元気デスカー!!」

「安心してくれ、お前のお陰で命だけは助かりそうだ、だがすまん繁忙期には間に合いそうも無い...

グボ!俺の抜けた穴はホールが埋めてくれる、頼んだぞホール!」

「な!?」

突然の振りに驚くホール、しかしホールの中で全てが繋がる。

(罠だったんだ!全てが俺を陥れる罠だったんだ!言え!言うんだお前嘘ついてんじゃねーと!)

「お、まえ」

「てめーよくもラングを許さない!!」

ホールのスキル大根役者の効果によりヒナコデスに無視されるホール、ヒナコデスの怒りは頂点に達していた。

「ショア!」

「ショア!」「ショア!」「ショア!」

ヒナコデスの声に合わせ一斉に「ショア」と合唱する冒険者達。

モスは暗黒騎士になって初めて恐怖を感じる。

(なんなんだコレは!?なんなんだ!?)

恐怖のあまり開始の合図等も関係無く横一線に斬り込むモス、しかしヒナコデスは剣の軌道を超えモスの顎へローリングソバットを叩き込む。

「ウゴ!?」

思わずたたらを踏んで仰け反るモスの背後にヒナコデスは一瞬で回り込む。

「カミルの冒険者を舐めるなよ!?ジャーマンスープレックスホールド発動!!」

耳元で囁かれた次の瞬間凄まじいスピードで流れる風景、天井が見えたと思った次には後頭部に走る激しい痛みと衝撃、投げられた事に気付いたのは痛みの後であった。

(つ、強い!!)

後頭部へのダメージで動く事が出来無いモス、横に倒れ込もうとして動けない事に気付く。

(動けないだと!?首が苦しい!!固定されているのか!?苦しい!!)

団長がやられているのに助けに入る事が出来無い部下の二人、何故ならばヒナコデスがブリッジの状態から二人に睨みを利かせていたからである。ヒナコデス激オコであった。

ヒナコデスのジャーマンスープレックスホールドはモスが泡を吹いて失神するまで続けられ、部下2人組はその直後ラリアットで失神させられる。

そしてラングは見事に休みを勝ち取りホールは6番レーンを担当する事になった。


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