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第39話『宵闇ナイトメア』


「カズキくん、1日魔王をやりなさい」


「なんだってぇぇええ!?」


 こんちには!レヴィアです♪

 魔王様がいつものようにカズキさんに、仕事の指示を出しています。

 どうやら本日腕試しにいらっしゃる、いつもの勇者様の対応をカズキさんにお願いするようです。

 しかし、さすがにこの仕事は難しいのではないでしょうか?

 どうやら魔王様もそう思っておられるようでして、何かの薬品をカズキさんに渡しました。

 カズキさんはそれを受け取ると、怪しげな目でその薬品を眺めております。


「魔王様、これはなんですか?」


「1日だけ潜在意識を解放する薬よ」


「なんでそんな怪しげなもの、飲まなくちゃいけないんですか?」


「イシぽよも飲んでるわよ」


「飲みます!」


 カズキさんはそう言うと、その薬を飲み始めてしまいました。

 ちなみに、イシスさんがそのようなものを飲んでいるという話は聞いた事がありません。

 おそらく、魔王様の"でまかせ"です。


 あのように言いますと、カズキさんは何でも言う事を聞いちゃうそうです。

 わたしも今度試してみましょう♪


 どうやら、カズキさんがお薬を飲み終えたそうです。

 そして、わたしの方へと歩み寄って来ました。


(変な症状が出てなければ、よろしいのですが……)


「レヴィア」


「は、はい!」


「俺と共に終焉の楽園へ」


「え、あの……は、はい?」


「時の狭間はざまは待ってはくれない。一刻を争うのだ」


「あのあの……ふぇ? あの、カズキさ、ん?」


「俺はカズキではない」


「えっ?でも、カズキさんですよね?」


「俺は、宵闇よいやみの魔王だ」



 カズキさんはわたしには難しい言葉を使っています。

意味が分からなく悩んでいますと、カズキさんはわたしの手をとり勇者様を撃退するため、魔王様のお部屋に向かって歩き出しました。


(手……握られてる)


(ふふっ、ちょっと嬉しいなぁ)


(……って!わたしは何を考えているんですかっ!)




 *




 カズキさんは、魔王様の椅子に座り「トマトジュース」を飲んでおられます。

 あ、現在魔王様のお部屋…勇者の方をお出迎えする部屋ですね。そこで、勇者様がいらすのを待っています。

 今回の、勇者様のご来場はネットで生中継されるらしく、何人かのスタッフがカメラを構えスタンバイされてます。


 それと、カズキさんの目が赤く輝いております。カラーコンタクト?と呼ばれているものを装備しているようです。おまけに手には黒いマニキュアを塗ってらっしゃいます。


(何かの魔法効果があるのでしょうか?)


 カズキさんの方を見ていますと、勢いよく扉が開きました。

 勇者様がいらしたようです。


(仕事、頑張らなくっちゃっ)






ゆうしゃが あらわれた! ▼



「よくぞ、参った勇者よ」


「魔王様!久々に挑戦しに……って!カズキじゃない!何やってるのよ!」


「小娘、我への口の聞き方を知らぬのか? の身を持って報いを受けるがいい」


「よく分からないけど、あんたを倒せば魔王様が出てくるのね!」



 勇者様は勘違いをなされていますが、どうやら戦闘が始まるようです。

 カズキさんがこちらに視線を送っていらっしゃいます。合図でしょうか?


「鳴れ。宵闇のレクイエム」


 カズキさんの、合図と共にわたしはBGMの再生ボタンを押します。

 このBGMは魔王様がボツにしたものだそうでして、理由は「厨二病ぽいから」だそうです。

 ちなみに曲名は「ナイトメア・トワイライトゾーン」といいます。

 本来は「BGM17」という名前でしたが、先程カズキさんが命名し、この名前になりました。


 BGMが鳴り出し、勇者様が武器を構えます。カズキさんはというと、武器も構えずに立ったままです。


(大丈夫なのでしょうか…?)



「いくわよ!」


ゆうしゃは じゅもんを となえた! ▼


ミス! じゅもんが はねかえされた! ▼



「無駄だ、俺に魔法攻撃は通用しない」


「少しはやるみたいね!」


 カズキさんは片手を前に突き出していますが、魔法を跳ね返したのは装備してらっしゃる「前魔王のローブ」でして、別に片手を前に突き出す必要はありません。

 魔法を弾いたのを確認すると、カズキさんはゆったりとした口調で喋り始めます。


「オーダー、無限アンリミテッド時間タイムワークス



ゆうしゃに 160のダメージ! ▼



「ぐっ!……でもこの程度のダメージなら!」



 カズキさんは一歩も動いてませんのに、勇者様にダメージを与えています。


(すごい!どうやったのでしょうか?)



 しかし、勇者様もダメージは浅いようでして、すぐに体制を立て直しました。

 勇者様は「バトルヒーリング」によって1ターンにHPが50000程回復するそうでして、160程度のダメージなら、全く効きません。

 どうするのかと、考えているとカズキさんは一歩前に踏み出しながら、やたらとカッコいい声で喋りだしました。




「青いな。何故もがき、苦しむのか。天に立つ我からしたら理解出来ぬことわりよ。」


「されど、知れ。己の無力さを。思い知れ。絶対的な力の差を」


「これで終局だ」



「エターナル・フォース・Я」



なんと ゆうしゃの HPが 1になってしまった!▼


「な、なぁぁぁぁぁあ!お、おお覚えてなさいよ!!」



ゆうしゃは にげだした! ▼



「ふっ、やはりこの程度か」






 *





ーー翌日



 カズキさんはあの後、「闇それもまた友とするか」とよく分からない事を言いながら、早めに寝てしまわれました。


 そして、朝食の際に様子を伺ったところ元に戻っていました。


 あ、現在魔王城オフィスにて、デスクワーク中です♪

 わたしは仕事をするため、モニターの画面を注視していると勢いよくオフィスの扉が開き……



モンスターが あらわれた! ▼



「おい、カズキ! iBouがバカ売れしちまったぜ!」


「なんでだよ!?」


「この新聞を見ろ!」


 カズキさんはヨッホイさんが持って来られた、新聞に目を通しています。

 一体どのような記事なのでしょうか?ちょっと覗いてみましょう。



【次期魔王は「黒の剣士カズキか!?」】


大陸最強の勇者を一瞬にして葬りさったその男。

手に持つ2つの黒い武器は「ヨップル社」の新製品、iBou。


片手1つで、勇者の上級魔法を跳ね返したその強さはまさに魔王。

今回は1日だけ魔王、ということだがこの強さなら、彼が魔王になっても問題はないだろう。



「な、なんじゃこりゃぁぁぁあ!!」


「やっぱり、お前をiBouのイメージキャラクターにして正解だったぜ!」


 どうやら、カズキさんがiBouを使い勇者様を撃退したのが、iBouの宣伝にもなったようです。


(さて、こんな感じで大丈夫でしょうか……)


「さっそくこの活動日誌を、魔王様に見せに行きましょう♪」



セーブしますか? ▼


▶︎はい

 いいえ


▷はい

 いいえ


セーブがかんりょうしました! ▼









〜登場人物〜




【宵闇の魔王】


本人が勝手に名乗っただけで、そのような魔王は実在しない。

カズキの中に眠る母親から受け継がれし「厨二病」が表に出た状態。

無限アンリミテッド時間タイムワークスを自在に操る。しかし、HPは24。

与えたダメージが16から160になっているのは、レベルアップしたのではなく、iBouの性能のおかげ。



【レヴィアさん】


今日も賢い、可愛い、レヴィーチカ!

すぐにレヴィーチカおうちかえるっ!ってなっちゃう。




【エターナル・フォース・Я】


やたらとカッコいい名前の技。魔法全書に新しく乗った魔法でランクはSSS。

対象のHPを1にする。

しかし、実際は時を止めて相手のHPが1になるまで、ゴブバしただけ。

Яの読み方はリバース。





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