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第34話『相棒ラック』




「カズキはん、あと1時間くらいで到着するさかい、ほな、起きて〜」


「あぅ……」


「ふふっ、こうして寝てはるとほんにややこのようどすな〜」


 小春ちゃんに起こされ、目を覚ました俺はシャワールームで汗を流す。飛行機の中とはいえ、こうやってシャワーが出来るのがこんなにも素晴らしい事だとは思わなかった。

 ちなみにお湯を出せる時間は、積水量の関係で1人5分らしい。


 フライトは順調であり、9時間にも及ぶ楽しい飛行機旅は間も無く終わろうとしていた。

 あの後魔王様は「お昼休みが終わったわ」とかで、すぐに戻ってしまわれた。本当に何をしに来たのだろうか?

 しかし、ここである1つの疑問が浮かぶ。


「ジパングに空港ってあるのか?」


「もうすぐ建設出来はる〜って先程勇者はんから連絡があったさかい」


「現在進行形なの!?」


「ふふっ、何か食べはったらどうどす〜?」


「機内食ってやつか」


「ちゃうで〜?うちがこしらえるんよ〜」


 小春ちゃんはそう言うとシャワーを終えまだ体の熱い俺にソフトクリームをくれると、どこかへ行ってしまった。


(あ、このソフトクリーム美味しい)



 ソフトクリームを食べ終わり、3分程たっただろうか?お皿を持った小春ちゃんが戻ってきた。


「お待ちどーさん、ほなたんとおあがり〜」


 そう言って小春ちゃんが出したのは「カップラーメン」であった。それも高そうなお皿にあけてある。


「い、いただきます」


「飛行機の中は気流の関係でこないなもんの方が美味しく食べれるんよ〜」


 その通りで確かに食べやすい。「カップラーメン」を食べ終わると、ちょうど着陸態勢に入るようであった。


 俺と小春ちゃんは座席に座りシートベルトを締める。少しの弾みと共に飛行機は着陸し、窓からは立派なターミナルが視界に入ってくる。


(本当にこれ1日で作ったのかよ……)



 シートベルトを外し、飛行機のタラップを降りる。小春ちゃんが転ばないように再び手を取りながら。


 飛行機を降りると車が停まっておりそれに小春ちゃんとヨッホイと共に乗り込む。

 空港としてまだ機能していないため、直接車でオフィスへと向かうからだそうだ。







 *







「ここが、小春ちゃんのオフィスか。すごいな」


「ふふっ、そないに大した事あらへんって」


 小春ちゃんは謙遜しているが、窓からはジパングのビジネス街が一望出来た。

 何故、仕事の出来る人は高いところにオフィスを構えるのが疑問に思っていたが、なるほど……これは確かに仕事のモチベーションが上がる。


 仕事への意欲の湧いた俺は、小春ちゃんに今回のプレゼンが何なのか聞いてみることにした。


「小春ちゃん、今回のプレゼンって……」


「それは俺から説明するぜ!」



モンスターがなんと スーツを きている! ▼



 ヨッホイはいつものゴブリンっぽい服ではなくスーツを着用していた。正直似合ってない。


「お前その格好……」


「それはいい。まずはこのヒノキのぼう受け取れ」


「何だこれ?」



カズキは iBouを 手に入れた! ▼



 ヨッホイから受け取った2対の黒い棒には白い文字で『iBou』と刻まれていた。


「アイ?棒?」


「そう、それが我がヨップル社の新製品!相棒シリーズの『iBou』だ!!」


「起業すんのってお前かよぉぉぉぉぉおお!?」


「おーっと、ダンジョン担当は続けるぜ!いつかはジパングにオフィスを構えたいが、今はまだ魔王城勤務さ」


 そう述べる"ヨッホイCEO"から受け取ったiBouことヒノキのぼうをもう一度眺めてみる。そもそもヒノキのぼうなのか?

 そんな事を考えているとヨッホイが説明を始めた。


「iBouを構えて『ゴ・イクリプス』を音声認識してみろ」


「音せ?えっ?」


「いいからやってみろ」


 俺は言われた通りにiBouを構え、まだ練習中の「ゴ・イクリプス」と発言する。すると……



「おお?おおおおおお!?」


「なっ?すげーだろ!?オートアシストで技が出せるのよ!」


 なんとiBouが勝手に動き出し、その場で27連撃を繰り出した。


「実際の『ゴ・イクリプス』よりは速度は落ちるが使いやすいはずだ」


「すげーな!これ!!」


「『ゴブバ』の方は音声認識では発動しないようにセットしてあるぜ」



 その他にも、防水だとか、ラジオも付いてるだとか、大量生産で価格は「12万G」にまで抑えたとか色々聞いたが、ヨッホイのヒノキのぼうに対する情熱がここまで来たのかと素直に感心してしまった。


 それとiBouは相変わらずヒノキのいい匂いがする。


「一応防水だが、生活防水程度だ。湯船には浮かべるなよ?」


「分かった」


 話がひと段落したところでニコニコと微笑む小春ちゃんに話かけられる。


「カズキはんにはその「iBou」のイメージキャラクターをお願いしてもえぇやろか〜?」


「俺なんかでいいのだろうか?」


「何言ってるんだ、ヒノキ王子」


「は、はぁ!?ヒ、ヒノ?なんだって!?」


「ヒノキのぼうと言ったらお前だろう。この前の映画の効果でほら」


 ヨッホイはタブレットPCの画面を俺に見せてきた。そこには、ヒノキのぼうを構えた俺がやたらと話題になっていた。


「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁあ!?」


「頼むぞヒノキ王子」


「よろしゅう頼んますえ〜ヒノキの王子はん♪」


(どうやらやるしかないようだ……)







 *








「おい、カズキビンゴ大会やるってよ」


「なんでビンゴ大会なんか」


「プレゼン前の決起会みたいなもんだ、当たりは『ラックの種』だ! しかも3粒も貰えるぞ!」


「なんだそれ?」


「食べると1日だけ、運が最大まであがるのさ。ほら、ビンゴカード」


「そんなもん、あてになるわけないだろ」


(そもそも、運を使ってラックの種を当てる事がおかしいだろ)


(あっ)



「ビンゴ!!」





カズキは ラックのたねを てにいれた! ▼






セーブしはります〜? ▼


▶︎しはる

 しない



▷しはる

 しない



セーブがかんりょうしたどすえ〜 ▼





「おい、だれだ!湯船にiBou浮かべたやつ!これ個人認証できるんだからな!」


「……って調べなくても分かるわ!カズキだろ!!」









〜アイテム〜



【iBou】


ヨップル社のフラッグシップモデル。音声認識のオートスキル、防水ラジオ付き。充電式。

相棒=iBou=私の棒

元ネタはアップ○とかiPh○neとか。色は現在黒のみだが、後日ゴールド、ホワイト、ピンク、レッド、ジェットブラックなどもリリース予定。


オートアシストは斬撃の速度が抑えられており、ヨッホイやカズキが普通に放つより遅い。



【ラックの種】


食べると1日限定だが、運が最大まで上がる。食べると24時間はスロットへの出入りは禁止。超レアアイテム。

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