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第29話『牧場グラビティ』




「魔王様、コーヒーをどうぞ」


「ありがとう、レヴィア」


 こんにちは、レヴィアです♪

 今回はカズキさんがご自宅に帰省されているとの事で、僭越せんえつながらこのレヴィアがお送りしますね!


 さて、お仕事のお話にまいりましょうか。現在このオフィスにはわたしレヴィアと、魔王様、それから小春さんがいらっしゃいます。

 魔王様が先程、コピーしたばかりの資料をわたしと小春さんに手渡してくださいました。

 一体どの様な事が書かれているのでしょうか?



『魔王城B級グルメフェア』



「あ、あの。魔王様?これは一体……」


「先日の花火大会で出店した屋台がほとんど盛況だったのよ」


「せや〜、屋台の売り上げだけで予算もあんじょうに回収出来たさかい。」


「1店舗売れ行きの悪い屋台があったけどね……」


「わたしも、あのラーメンはちょっと……」


「まぁ、その話は置いといて。B級グルメ、即ちちょっとした屋台でも食べられる様な軽い食べ物が、前回の花火大会で売れる事が判明したのよ」


「せやから、うちと魔王はんで何かいいもんを作ろう〜って話になったんや」


「なるほど、それは興味深いですね」


「じゃあ、今から作るわよ」


「え……」


「ほな、いこか〜」


 魔王様と小春さんはそう言うと、そそくさとデスクを立ちオフィスから出ていかれてしまいました。

 おそらく、食堂のキッチンに行かれたのでしょうか?

 わたしもカズキさんのお母様にお料理を教わっておりますので、ある程度お料理には自信があります。


(カズキさんはどんな料理なら喜んでくれるかな……)


(いけないっ。わたしも早く行かないと!)







 *






「さぁ、作るわよ」


 魔王様がカズキさんの着用されていた「前魔王のローブ」を装備して腕まくりをされています。何やら全てを弾き返すローブだそうで油跳ねや、ソースが付かないそうです。


(いいな、わたしもそれが着たかったなぁ)


(……って!わたしは何を考えているんですか!)


 小春さんはというと、白い割烹着かっぽうぎをお召しになっておられます。エプロンにくらべ袖までありますし、冬場は温かいのでオススメですよ♪

 あ、わたしは紺色のエプロンです。先日カズキさんにこの色の浴衣を褒めていただいたので……思い切って新調しちゃいました!


 さて、皆様は何をお作りになるのでしょうか?


「うちはソフトクリームを作りやす」


「ソ、ソフトクリームですか?」


「せや〜、素材にこだわったソフトクリームやさかい。レヴィアさんもどうどす〜?」


 小春さんは、そう言うと冷蔵庫から素材を出し、マシーンにセットすると器用に渦を巻きあっという間にコーンに入ったソフトクリームを作ってしまいました。


「ほな、たんとおあがり〜」


「では、いただきますね。………おいしいっ」


「ふふっ、おおきに〜」


「これはとても濃厚で、口溶けも滑らかですね。一体どの様にお作りになったんですか?」


「まず、牧場をこうたんや〜」


「は、はい?」


「それから子牛を一頭一頭、丁寧に育て上げたんよ〜」


 どうやら、小春さんは牛を育てるところから料理を始めたそうです。わたしにはちょっと理解できない領域です……!

 ですが、とても美味しいです♪これはそうとうなヒット商品になるのではないでしょうか?


 わたしがソフトクリームを食べていると、魔王様のお料理も完成したようです。一体どの様な食べ物なのでしょうか?


「コーヒーよ」


 食べ物ではありませんでした。しかし、コーヒーのとてもいい香りが漂います。これは期待できるのではないでしょうか?


「いただきますね、魔王様」


「熱いから気を付けてね」


「ん、おいしっ……これはどこの豆を使っているのですか?」


「豆はあなたがいつも淹れてくれているコーヒー豆と一緒よ」


「ですが、わたしのコーヒーよりも少し香りが豊かですよ」


「コーヒー豆を挽く際にわたしの重力魔法で圧縮して挽いたわ」


「それはズルいですよ、魔王様!」


「今回は粗挽きだけどエスプレッソや、ウォータードリップに応じて細挽きや、さらに細かい極細挽きを使い分け出来るわ」


「むぅ……これは好みに合わせて色々調整できますね」


「水はもちろんあなたの『レヴィア水』よ」


 どうやら、魔王様専用ドリップコーヒーの作り方だったようです。わたしもコーヒーには自信がありますが、人の好みに合わせては出せません。

 これでは、わたしのコーヒー係としての面目丸つぶれです……


「でも、カズキくんはあなたの淹れたコーヒーが好きって言っていたわね」


「本当ですかっ?」


「えぇ、わたしもあなたのコーヒーが好きよ」


「ふふっ、ありがとうございます♪」


 実はカズキさんや皆様の体調に合わせてコーヒーの濃さを変えたりしています。

 眠そうでしたら少し濃いめのコーヒーをお出ししたり、ケーキなどの甘いものをいただく際は、甘いものの味を邪魔しないように少し薄めに作ったりしているんですよ。


 ソフトクリームとコーヒーをいただきましたが、お二人ともとても個性的な品でとてもレベルが高いですね。どちらもヒット商品となりそうです。

 さて、わたしは何を作りましょうか……








ーー後日



「レヴィアさん、この一口唐揚げ美味しいですね!」


「ふふっ、ありがとうございます♪」


「結局レヴィアの唐揚げが1番人気ね」


「5個セットで手頃に食べれるのがよろしおすな〜」








〜食べ物おまけ〜


【ソフトクリーム】


こはるん経営の牧場から直輸入した牛乳を使ったソフトクリーム。濃厚でまろやかな口溶け。お値段は少し高め。



【コーヒー】


魔王様の重力魔法でコーヒー豆を自由な大きさに挽く事が出来る。



【一口唐揚げ】


レヴィアさんが作った唐揚げ。5個セットの一口で食べれる唐揚げ。味の種類も豊富でチーズ味が美味しい。


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