第18話『ファッションパーティー』
「勇者よ! 何故もがき……えーと、生きるのか!滅びこそ、我が喜び!死に行くものこそ………ねぇ?本当にこれがセリフなの?」
魔王様が疑問をいだいてらっしゃるが、これこそ大魔王のセリフである。その腕のなかで息絶えたい。
現在、オフィスで魔王様のセリフ練習中である。
「魔王様、新しい戦闘BGMが完成したようですよ」
先ほどからキーボードを叩いていたレヴィアさんが資料を魔王様に提出する。ストッキングが眩しい。
「どの様なBGMなんですか?」
「今回は敵が特定のアイテムを使用するとBGMが変わる……といった感じになります」
「それは、盛り上がりますね」
今回は魔王様が闇のベールを纏っている。という設定で、実際はただ防御力が高過ぎるだけなのだが……
特定のアイテムを使用すると、魔王様の闇のベールを剥がして攻撃が通る。といった感じだ。
そのアイテムを手に入れなければ魔王様は倒せない。
実際は手に入れも倒せないだろうが……イヤホンを外し、BGMを聴き終えた魔王様が何かを思い立ったように喋りだす。
「このBGMを、お披露目するわよ」
「なぜですか?」
「冒険者を志望する人が増えるかもしれないわ」
確かに、程よく戦闘を盛り上げてくれるBGMとあれば冒険の意欲も湧くだろう。
しかし、どのようにして宣伝するのだろうか?
「レヴィア、インターネットラジオの準備よ」
「かしこまりました魔王様。」
あぁ、なるほどな。
ハリセンと、のど飴を準備しておこう……
*
ーーON AIRーー
魔王「魔王様のオールナイト超時空ラジオ〜!」
カズキ「いえええええ〜い!!」
レヴィア「カズキさん。もう少しお静かに願えますか?」
カズキ「すいません」
魔王「新メンバー紹介!」
カズキ「唐突ですね!」
魔王「新メンバーのオロチ!」
カズキ「違うでしょ!?」
レヴィア「小春さん、お願いします」
小春「ようこそおこしやす。このラジオを聴いてくれはってほんまおおきに〜。うちは小春いいはります。どうぞ、よしなに〜」
魔王「と、いうわけでこはるんよ」
マリア「わたくしもいますわよ!」
神様「あーしもね☆」
カズキ「だからなんでいるんだよ!?」
神様「めんご、めんご〜!ほんじゃね〜!」
小春「えろう忙しないお方どすな〜」
魔王「彼女に空間という概念は存在しないわ」
カズキ「今、サラッと重要な事言いましたよね?」
マリア「それでは最初の曲行きますわよ!」
カズキ「このラジオってそういうのあるの!?」
マリア「曲はカズキ様で、『ユリユリユカイ!』勿論踊っていただきますわよ!」
カズキ「俺が歌うの!?しかも踊るの!?ラジオなのに!?」
レヴィア「カズキさん、お早く」
カズキ「やるよ!!」
BGM再生中♪
魔王「もういいわよ」
カズキ「まだ始まってもいねぇぇぇえ!!」
レヴィア「カズキさん、声が大きいですよ」
カズキ「…今日のレヴィアさんちょっと怒ってます?」
レヴィア「怒ってません」
カズキ「(おい、マリアどうなってるんだよ?)」
マリア「(急に大きくなったので、どう接していいか忘れてしまったそうですわよ)」
カズキ「(どうすりゃいいんだよ?)」
マリア「(ご自身でお考えになったら、どうかしら?)」
カズキ「(なんでお前まで……
レヴィア「そこ、放送中ですよ」
カズキ「すいません…」
魔王「この企画なんだけど……」
小春「そなら、うちが見積もり立てるさかい。せやから魔王はんが……」
カズキ「そこ、ビジネスの話をしない」
魔王「それじゃあ、おハガキを読むわよ」
カズキ「どうぞ」
魔王「ペンネームま〜ちゃん様から」
カズキ「それ、魔王様でしょ!?」
魔王「ふふっ、冗談よ。あら?ドラゴンからお便りが来ているわよ」
カズキ「ドラゴンには嫌な思い出がありますね……」
魔王「読むわね。『チース!元気シテルー?アーシ、ドラゴン!ミタイナッ☆』
カズキ「毒されてるぅぅぅぅう!!神様に毒されてる!」
魔王「ちょっとまだ読んでるのよ?続き読むわね。『テカサー今度、マタバトラナイ? ボーリング行クッショ?』だそうよ」
カズキ「行かねーから!ボーリングとかピン全部焼き付くす気だろ!?」
魔王「はーい次のお便りでーす」
カズキ「……どうぞ」
魔王「ペンネームは……ドラゴンガールさんね。え〜と『最近お父さんが、百合漫画ばっかり書いていて困っています』だそうよ」
カズキ「それ神龍様の事だよね!?娘居たのかよ!」
レヴィア「わたしと同級生なんですよ」
カズキ「この世界って同級生とかあるの!?」
魔王「当時はまだポケベルだったわね〜」
カズキ「ポケベル分かる人どのくらいいるんですかね?」
魔王「はい、じゃあこの辺で次の曲に行きます」
カズキ「ついにあのBGMが…!」
魔王「iPhoneの目覚ましの音です。」
iPhoneの目覚ましの音♪
カズキ「毎朝の苦痛を思い出しますね」
レヴィア「カズキさん。ツッコミを忘れていますよ」
カズキ「俺やっぱりそういうポジションなの!?」
小春「カズキはん、おぶどうどす〜?」
カズキ「あ、いただきます」
小春「ほな、たんとおあがり〜」
カズキ「………けほっ…けほっ!これデスソース入ってますよね!?」
カズキ以外の全員『ドッキリ大成功〜!』
カズキ「そういうの要らないですから!」
魔王「じゃあどういうものが必要なのよ?」
カズキ「ほらせっかく、こうして綺麗な女性の方が多いことですし、最近買ったファッションの話なんてどうですか?」
魔王「オリハルコン10㌧」
レヴィア「ほしふる腕輪です。」
マリア「ひかりのドレス」
小春「街」
神様「あぶない水着」
カズキ「なんか危ない発言の人が数人いるんだけど!?それになんで神様いるの!?」
神様「あーしの水着姿見たくないの〜?」
カズキ「……見たいです」
魔王「ふ〜ん? 減給ね」
レヴィア「ですね」
マリア「仕方ありませんわね」
小春「しょうもないお人やさかい」
神様「うふふっ、ほんじゃね〜!」
カズキ「……マリア、ひかりのドレスは着ないのか?」
レヴィア「話をそらしましたね」
カズキ「だってマリア常にジャージじゃないですか」
マリア「今着ているのが、ひかりのドレスですわ」
カズキ「それどう見たってジャージだから!」
マリア「ほら、ここにひかりのドレスって書いてありますわよ」
カズキ「それ『ひかりのドレス』って文字が書かれてるTシャツだから!」
魔王「さて、そろそろお別れの時間となりました」
カズキ「魔王様!BGM!」
魔王「そうだったわね。続きはドラ○エ3 ボス戦で検索!」
カズキ「そういう系なの!?」
全員『ありがとうございました〜!』
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マリア「ちなみに今回の提供はハーメ○ンですわ!」
カズキ「そこは小説家になろうでしょ!てか勝手に書いてるだけだけど!!」