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第17話『レジェンドスティック』




 身体が元のサイズに戻ってから1週間ほどたつ。特に違和感はない。

 レヴィアさんは少し残念そうな顔をしていたが……


 仕事も通常営業で、今日も俺はオフィスでパソコン画面とにらめっこをしている。

 隣のデスクでは魔王様と小春ちゃんが、何やら商談の話をしているようだ。


 ちなみに小春ちゃんという呼び名だが、背の小さい彼女をつい子供扱いしてそう呼んでしまって以来、定着してしまった。

 この呼び名は本人も気に入っているようだ。

 そんな事を考えていると、オフィスの扉が勢いよく開き……


モンスターがあらわれた! ▼


 ではなくダンジョン担当のゴブリンこと、ヨッホイが鬼のような形相で入って来た。


「おい、カズキ! 魔王様はいるか!? てえへんだ!!」


「なんだヨッホイ。新しいヒノキのぼうでも買ったのか?」


「おぉう、そうなんだよ! このヒノキのぼうmark2がな……じゃなくて!」


 中々冗談の通じる、新しいヒノキのぼうを携えたヨッホイはかなり慌てた様子だ。

 騒ぎを聞きつけたのか、魔王様と小春ちゃんがこちらにやって来た。


「どうしたのかしら? 朝から騒がしいわよ」


「おお! 魔王様これを見てくだせぇ!」


 そう言ってヨッホイはスマホの画面を差し出した。その画面には……


『新施設! その名もバンク! バンクにGを預けておけば全滅してもお金が半分にならない!』


「これは……」


「なぁ! やべえだろ!?」


 確かにこれはまずい。これでは俺たちの大事な収入源の1つでもある『パーティーが全滅した場合所持金の半分を失う』の金額が大幅に減ってしまう。

 さて、どうしたものかと考えていると魔王様が平然とした表情で話し出す。


「それ、わたしが作ったのよ」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」


「ね? こはるん?」


「せや〜、うちと魔王はんで共同でな〜」


「ど、どうするんですか? 収入源が減るんですよ!?」


 自ら収入源の1つを断つとは魔王様何を考えておいでなのだろうか?

 俺の疑問顔察したのか、魔王様はスマホの画面をスクロールする。そこには……


『引き出しには100Gが必要です』と書かれていた。


「これは上手いですね。魔王様」


「でしょ? こはるんとこの『100G』って額に決めるのに半年もかかったのよ。」


「うちは最初強気の『50G』でどうどす〜?言うたら魔王はんは『500G』って言うはるんやから大変やったさかい」


「だって、どのくらいの利益があるか分からなかったんですもの」


 なるほど、このバンクのシステムは非常に賢い。

『所持金が半分になる』というのを避けるため多くの勇者や、冒険者はこのバンクを利用するだろう。

 それにより、俺たちの『所持金が半分になる』からの収入は減る。


 しかし、毎回引き出す際に『100G』が発生する事によって、新しい収入源が生まれる。

 全ての勇者のパーティーが全滅するとは限らない。

 この方法なら確実に、定期的にGを得ることが出来る。引き出す時にしかGがかからないというのもミソだ。


 100Gという金額もお手軽で、ある程度冒険をこなしたものにとっては痛くない額になるだろう。


「魔王様、これは素晴らしいシステムですね」


「ありがとう。ジパングからこはるんに出向をお願いしたのも、このバンクの為なのよ」


「せや〜、初めて話をしはった時にはけったいな話やなぁ思うたけど、あんじょうに行って良かったどす〜」


「なんだ、魔王様の新しいやつだったのか!驚いて損したぜ……」


「全く朝からびっくりさせるなよ、ヨッホイ」


「悪かったて。そうだ! カズキ! こいつをやるぜ!」


 そう言ってヨッホイが手渡してきたものは……


ヒノキのぼうmark2を てにいれた! ▼


「いらねーよ!」


「何言ってんだ! 俺の手作りだぞ!」


「手作りだったの!?」


「おうよ! 俺はヒノキのぼうにはこだわりがあるのよ!」


「5Gだろう? ヒノキのぼうって?」


「ばか言うんじゃねぇ! それは量産型だろ?俺のは最高級ヒノキから削って作ってんだぞ!」


 ヒノキのぼうをよく見てみると、きめ細かな質感、ツルツルとした肌触り、それにヒノキのいい香りがする。お風呂にでも入れたらリラックス出来そうだ。


「お前に前にあげたやつだって、ドラゴンと戦った時に折れなかったろ!」


「確かに少し曲がってはいたが折れてはいないな」


「ヨッホイは昔、鍛治師をしていたのよ」


「はぁぁぁあ!? ヨッホイが?」


「そうだ! ダンジョンに落ちている剣とか、鎧も俺が作ってるんだぜ!」


「伝説の剣を作ってるのもヨッホイよ」


「はぁぁぁああ!? それって作れんの!?」


 どうやらヨッホイは俺が思っていた以上に出来るやつだった。なら、ドラゴンの時に伝説の剣を用意しといてほしいものだ。

 伝説の剣を作った鍛治師のヒノキのぼうか。悪くないかもしれないな……。







––––後日



「おい! だれだよ、俺の作ったヒノキのぼうをお風呂に入れたやつ!?」







セーブしますか? ▼


▶︎はい

 いいえ


▷はい

 いいえ


セーブがかんりょうしました! ▼






登場キャラ! おまけ!


【ヨッホイ】


職業、鍛治師→ダンジョン担当

ヒノキのぼうにこだわりのあるゴブリン!

必殺技はヒノキのぼう二刀流によるゴブリンバーストストリームの16連撃だ!



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