第117話『大喜利アンブレラ』
これはとある会議での目次録である––––
「じゃあ、『お鍋の蓋』にかわる新しい最弱盾の名前を決める会議を始めるわよ」
「ダンボールの盾でいんじゃないですか?」
「カズキくん、発言は挙手してね」
「はい、ダンボールの盾がいいと思います!」
「安直ですわねー」
「じゃあ、マリアは何かあるのか?」
「ティッシュの箱なんて––––」
「マリア、挙手してね」
「はい! 魔王様、ティッシュの箱がいいと思いますわ!」
「マリアはん、そらぁ、面積が小さいと思いやす」
「確かにティッシュの箱ですと、どこを持っていいか困っちゃいますよね」
「ボツだな」
「そうね」
「仕方ありませんわねー」
「はい、他に意見がある人」
「そういう魔王様はどうなんですか?」
「ゼ○シィ」
「総合結婚情報誌!?」
「あら、結構重いのよ、ゼク○ィ」
「なんで知ってるんですか!」
「毎月買ってるからよ!」
「あ、わたしも買いましたよ♪」
「レヴィアさんも!?」
「今月の付録が可愛らしい鍋つかみと、鍋しきでして、付録に釣られてつい……」
「あ、付録目当てだったんですね」
「それでどう? ゼクシ○」
「保留で」
「魔王はん」
「はい、こはるん」
「折り畳み傘なんてどやろか?」
「悪くないわね」
「俺、なんか大喜利をしている気分になってきた」
「わたくしもですわ」
「そこ、会議中に私語はしない」
『はーい』
「ところで折り畳み傘って耐久性はどうなんだ?」
「そこがいいんじゃない。適度に壊れやすいから良いのよ」
「うちも絶妙な所を突けたと思いやす」
「折り畳み傘なら、カラーバリエーションもありますし、わたしもいいと思います♪」
「○クシィと折り畳み傘の一騎打ちか」
「まだ、レヴィアが意見を出してないわ」
「えっ、わたしですか?」
「別に無いならないで良いわよ」
「えっと、そうですね…………じゃあ、扇風機の羽とかどうでしょうか」
「なぁ、これ大喜利だよな」
「お題は『こんな盾はいやだ』ですわね」
「そこ、私語をしない」
「魔王はん、扇風機の羽は量産化が難しいと思うで〜」
「そうね」
「そこまで考えていませんでした……」
「まぁ、レヴィアの案も悪くなかったわよ」
「魔王様」
「はい、カズキくん」
「座布団を盾にするのはどうでしょうか?」
「『とりあえず大喜利しとけ〜』感が見え見えよ」
「くっ…………やはり、ギターとアンプを繋ぐコードの方にしておけば良かった」
「シールドケーブルってわけ? 中々上手いじゃない」
「うちも上手いと思いやす」
「やったぜ」
「次はわたくしの番ですわ!」
「じゃあ、折り畳み傘とゼクシ○で多数決しましょうか」
「無視ですの!?」
「折り畳み傘の人〜」
「もう折り畳み傘でいいや」
「はいな」
「はいですわ!」
「3人って事は––––」
「折り畳み傘ですね」
「まだよ、ゼ○シィはその重さから、物理攻撃にも使えるわ」
「魔王様のアピールタイム始まっちゃった」
「しかも毎月発売ですので、こう、スマホケースを変えるような感覚で、盾の見た目を変更出来ますよっ」
「レヴィアさんも加勢してきましたわ!」
「盾なんて、防げればよくないですかね……」
「甘いわよ、カズキくん。今の盾業界は、見た目もスタイリッシュである事が求められるの」
「な、なんだってー」
「最近の盾はなぁ、全て一流デザイナーが、デザインしたものなんよ〜」
「盾なんて、昔タブレットPCを盾がわりに装備したことぐらいしかないからなぁ……」
「ある意味、スタイリッシュだと思うわ」
「そもそも最近は、誰かさんのせいで盾が流行っていないと思いますの」
「誰かさんって誰だ?」
『………………』
「自覚ないんやろか……」
「両手にヒノキのぼう持ってる人よ」
「あぁ、宵闇の魔王だな」
「確かに宵闇の魔王とiBouのヒット以降、盾の売り上げは減少していますね……」
「レヴィアの言う通りよ」
「いや、なんで俺が悪い流れになってるんですか!」
「あなたが両手にヒノキのぼう持って振りますから、みんなソレの真似をして、盾が売れないのよ」
「ズッキーなんだかんだで、センスありますものね」
「太鼓の達○で鍛えた」
「リズムは大事ですよね♪」
「うちも太鼓の○人は結構好きなんよ〜」
「話が脱線してるわよ」
「しばらくiBou使うなって事ですか?」
「いっそ、折り畳み傘と○クシィをしばらく使ってみたらどうかしら?」
「確かに折り畳み傘は開かなければ、形はヒノキのぼうに似てるな……」
「ちょっとやってみなさい」
「いや、そもそも折り畳み傘なんてない––––」
まおうは おりたたみがさを とりだした! ▼
「マオえもん!」
「はい、とにかく持ってね」
「………………どうですかね?」
「とりあえず持ち手の部分を伸ばしてみたらどうですの?」
「しゃきんっ」
「効果音はいらないと思いやす」
「どうですか?」
「なんかトロール感あるわ」
「あんな常時舌だしてたら、口の中カラカラになりますよ!」
「冗談に決まってるでしょ」
「今、会議中ですよね!?」
「とりあえず、振り回してみて」
「………………分かりました」
「少し離れた方が良さそうですわね」
「せやな」
「カズキさんっ、頑張ってくださいっ」
「ちょー頑張る」
「早くやりなさい」
「行きますよ………………ほわちゃあ! あちょー!」
「それ、カンフーじゃない」
「掛け声大事かなって……」
「こはるんどう?」
「妥協点」
「厳しいですわね」
「開けば盾になる可変武器ですねこれ」
『!』
「どうして、みんな『ソレだ!』みたいな顔してるんですか!?」
こうして、折り畳み傘は世界初の武器と盾を両立した可変武器として、発売されたとかなんとか。
そして数ヶ月に発売された、持ち手の部分にヒノキ素材を使用した『iBrella』はとても売れたらしい。
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