表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/160

第105話『可愛いダンシング』


「カズキくん、今日ラジオの日だから」


 昼食を取っていると、魔王様が正面の席に座りながら話かけてきた。

 ラジオ放送はもう慣れたものであり、俺のポジションはツッコミだ。

 最初は不満を持ってはいたが、これが慣れてくると結構楽しかったりもする。

 しかし、今日はちょっと違うらしい。


「今日はいつもと違うメンバーでやるわ」


「誰が出るんですか?」


「わたしとカズキくん、それからあっちゃんと、プラム」


「4人ですか?」


 魔王様はすこーしムッとした表情をしてから「それと」と話を続ける。


「イシぽよ」


「よーし、頑張っちゃうぞー!」


 張り切る俺に対して、魔王様は溜息をつくと何かの飲み物を俺に差し出した。


「何ですか、これ?」


「イシぽよも毎日飲んで––––」


「いただきます」


 俺は魔王様の言葉を最後まで聞かずに"ソレ"を飲み干した。




 *




––––ON AIR––––


神様「どもどもっ、あっちゃんだよ〜!」


イシス「こんにちはっ、イシぽよですっ」


プラム「みんなぁ〜! プラムだよぉ〜!」


魔王「魔王のま〜ちゃんでーす」


イシス「あら、ま〜ちゃん、元気がありませんわね」


魔王「いつもこんなものよ。ほら、そこの黒いのも挨拶して」


宵闇「………………」


魔王「何よ、その目は……」


宵闇「………………我は」


イシス「………………」


宵闇「宵闇の」


神様「……ふぁ〜」


宵闇「………………」


魔王「………………」


宵闇「魔王」


イシス「………………」


宵闇「刻の––––」


魔王「尺使い過ぎよ!」


プラム「宵闇の魔王様ぁ…………ステキっ♡」


イシス「あらあら、梅ちゃ––––」


プラム「あたいをその名で呼ぶっ!………………こほんっ、プラムだよっ♡」


神様「忙しいねぇ」


魔王「そうよ、いいじゃない、可愛いわよ」


プラム「えっ、でもっ……」


イシス「カズくんもそう思いますわよねー?」


宵闇「………………ふむ」


魔王「………………」


神様「………………」


プラム「ドキドキ……」


イシス「………………」


宵闇「……めんこいな」


プラム「きゃー! プラム、可愛いって! 可愛いって言われちゃった! 」


魔王「だから、尺使い過ぎなのよ! 何なのよ、あの間は!?」


神様「……めんこいな」


イシス「結構似ていますわね♪」


神様「……めんこいな」


魔王「続けて言うのはやめなさい」


神様「カズぽよくんは、センスの塊だねぇ」


プラム「プラムもう、宵闇の魔王様のモノになるぅ〜♡」


魔王「そんなことしたら、あなたファンが離れるわよ」


神様「ここで、プラムファン一同からのメッセージが」


魔王「唐突ね」


イシス「あっ、では、わたしが読みますわね。えっと……『宵闇の魔王になら任せられる』だ、そうですわ」


プラム「プラム…………プラムは幸せになりますっ」


魔王「本人の意見も聞いたらどうかしら?」


宵闇「………………」


魔王「ちょっと」


宵闇「…………先日、静かなる水面の小々波に、波紋を広げし、少女を見た」


魔王「ちょっと、通訳呼んできて」


イシス「略『この前、俺っち、海に行ったんだけどぉ、その時、泳いでる女の人がいてさぁ』」


魔王「イシぽよ分かるの!?」


神様「大体合ってるね、うん」


魔王「あっちゃんも分かるの!?」


プラム「宵闇の魔王様…………はやくプラムを食べてぇ……♡」


魔王「こっちはほっときましょう……。それで、どうしたの?」


宵闇「……我が領土にてその少女は、雫となりて、美しき人魚の舞い散るとき、我が心は、純白の彼方へと飛び立った」


魔王「はい、イシぽよ、通訳!」


イシス「略『この前、俺っちの島に、レヴィアさんと行ったんだけど、泳いでる姿、まじぱなかった、まじで』」


プラム「レヴィと行ったの!?」


魔王「ちょっと、そんなの聞いてないわよ!?」


神様「だれもイシぽよの訳し方に、突っ込まないよね」


イシス「あ、ちなみに、わたしも一緒に行きましたわ」


プラム「ぐぬぬぬぬぬっ」


魔王「……で、でもっ、ま〜ちゃんが1番最初に連れてってもらったんだもんっ」


神様「はいはい、ま〜ちゃんがいつも1番だもんねー、えらいねー」


イシス「ま〜ちゃんえらい、えらい♪」


魔王「なーんか、バカにされてる気がするわね」


プラム「大丈夫、プラムとっても可愛い…………1番可愛い」


神様「こっちは、自己暗示をしているねぇ」


イシス「何もしなくても、十分に可愛いと思いますわ」


プラム「ふ、ふんっ、ライバルの施しなんて受けないもんっ」


魔王「そっ、そうよ、そうよ! イシぽよなんて、ちょっと綺麗なだけじゃない!」


神様「ま〜ちゃんも加勢してるし」


魔王「ところで……」


イシス「なんでしょうか?」


魔王「彼は天井を見て、何をしているのかしら?」


宵闇「………………」


イシス「お腹が減ったのでは、ないでしょうか」


神様「チョコとか食べるかな……」


宵闇「いただこう」


魔王「食べるの!?」


宵闇「この辺で、小話でもひとつ」


魔王「小話するの!? そもそも出来るの!?」


宵闇「レモンのいれもん」


魔王「ダジャレ!?」


プラム「宵闇の魔王様…………なんて知的なジョーク、ステキっ♡」


神様「あはっははははっ! カズぽよくん、レモンのいれもんって! レモンのいれ……いれもんって!!」


イシス「レモンのいれもん」


魔王「あなたまで、言わなくてもいいわよ!」


イシス「次はお便りのコーナーですわ」


魔王「展開早すぎるわよ!」


神様「本日募集した題材は『宵闇の魔王に質問したいこと!』」


魔王「タイムリーね」


イシス「では早速1枚目……えっと、魔王城近隣の街にお住まいの村娘さんからですわ。『宵闇の魔王様の好きな食べ物は何ですか?』」


魔王「ほら、答えなさい」


宵闇「漆黒の甘美」


魔王「チョコって言いなさい、チョコって」


神様「それは分かるのね」


プラム「プラム、チョコになりたぁい……」


イシス「それでは次は…………あっ、これは、レヴィアの字ね」


魔王「可愛い字だから、分かっちゃうのよねぇ」


神様「丸くてコロコロとしてるねぇ」


プラム「プラムも可愛いもんっ」


イシス「はいはい、可愛い、可愛い」


神様「世界一可愛いねぇ」


魔王「わたしの次くらいね」


イシス「ま〜ちゃんは負けず嫌いですわね」


神様「本当にねぇ〜」


魔王「ま〜ちゃん1番じゃなきゃ、嫌だもんっ」


神様「カズぽよくん、ま〜ちゃんはどう?」


宵闇「……ふむ」


魔王「ちょっと! 何聞いてるのよ」


イシス「まぁまぁ……」


宵闇「………………」


魔王「ほら、これ1時間くらいかかるわよ」


神様「あーし結構期待してる」


イシス「あら、わたしもよ」


宵闇「……めごいな」


神様「ぷっ……」


イシス「…………ふふふっ」


プラム「ねえっ! めごいってなんなの!? ちょっと、プラムにも教えてよっ!?」


神様「めごいな」


イシス「似てる、似てる♪」


魔王「いっ、いちいち真似しなくていいわよっ」


神様「あ〜っ! ま〜ちゃん照れてる〜!」


イシス「ま〜ちゃん、可愛い♪」


魔王「照れてないっ、はやく次の質問を読みなさいよ!」


プラム「ねっ、ねぇ! だからめごいって何なの!?」


イシス「それでは、先程の質問を読みますわね」


プラム「プラムを無視しないでよぉ!」


イシス「魔王城お住まいのレヴィアさんからの質問です。『宵闇の魔王様の髪型は、ご自身でセットされているのですか?』」


神様「あ、それ、あーしがやってる」


魔王「通りでイケてると思ったわ」


宵闇「………………」


魔王「そこ、急に立たない」


宵闇「I can Give You GATSBY〜♪」


魔王「そこ、急に歌いながら踊り出さない」


宵闇「GATSBY〜♪ GATSBY〜♪」


プラム「…………上手い、しかも重心がブレてないし、何よりステップが軽い」


神様「好きにやっちゃってー」


イシス「なんですの、それ?」


神様「ん〜? なんでもないよー」


魔王「そこの黒いの。いい加減、踊るのやめなさい」


プラム「あ、あのっ、よ、宵闇の魔王様!」


宵闇「……なんだ」


プラム「プラムに、その、プラムに…………ダンスを教えてくださいっ!」


魔王「教えるの!? そもそも、教わるの!?」


プラム「プラムね、見た目も、歌も、ダンスも……それから見た目も、すごい自信あったんだけど……」


神様「あーしは突っ込まないからね」


プラム「まだまだなの……プラムはアイドルとして、まだまだなの!」


イシス「アイドル魂というものなのでしょうか……」


プラム「だからね、プラムを宵闇の魔王様に相応しいアイドルになるように、鍛えてほしいのっ!」


魔王「ほら、何とか言いなさい」


宵闇「……灼熱の炎に向かいし魂」


魔王「はい、イシぽよ」


イシス「略『俺っちと、あの太陽に向かって、走っぺさ』」


プラム「はいっ、プラムは、プラムはどこまでも付いていきますっ」


宵闇「刻の狭間は待ってはくれない」


プラム「宵闇の魔王様ぁ〜♡」


神様「………………」


魔王「………………」


イシス「………………」


神様「…………行っちゃたし」


魔王「行っちゃったわね」


イシス「行っちゃいましたわね」


神様「お茶でもいくっ?」


魔王「いいわよ」


イシス「わたしも構いませんわ」


魔王「じゃあ、あっちゃん締めて」


神様「レモンのいれもん!」


魔王「イシぽよ、お願い」


イシス「ふふっ、また次回、お会いいたしましょう♪」





 *




 後日テレビ画面に映るプラムさんは、キレッキレのダンスを披露していた。

 なんでも、新しいダンスコーチとやらの教えが良かったらしい。

 それと俺の腰がやたらと痛いのは、何故なのだろうか?



セーブしますか? ▼


▶︎はい

 いいえ


▷はい

 いいえ


セーブがかんりょうしました! ▼


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ