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第11話『防具スーツ』

「それじゃあ行ってくるわ」


 いつものカジュアルスーツではなく、白のワンピースをまとった魔王様が、スマホ片手に自撮りをしている。

 どうやら、ギャル神様のお誘いで現実世界の遊園地に行くらしい。

 本人的には「神龍の原稿を持って行くついでよ!」と言ってはいるが、明らかに楽しみにしていたようだ。

 そんな魔王様を心配するかのようにレヴィアさんが話しかける。


「魔王様、くれぐれもハメを外し過ぎないようにお願いしますね」


「分かってるわよ」


 サングラスが眩しい魔王様。そんなバケーションモード魔王様に俺はかねてから思っていた疑問を口にする。


「この世界から魔王様と神様の2人が同時にいなくなっても大丈夫なんですか?」


「大丈夫よ、レヴィアがいるわ」


「一応魔王代理ということになっています」


 レヴィアさんが伏目がちに答える。確かにレヴィアさんなら充分にその業務を遂行出来るだろう。


「それで、マリアのやつは? まだ寝てるんですかね?」


「彼女なら1度、国に帰ったわよ」


「人質なのに?」


「形式上はね」


 まったくフリータイムワークも良いところだ。そもそもマリアは毎日お茶を飲んでいるだけで何もしていない。


「それじゃあ、そろそろ行くわ。2人とも仲良くね♪」






 *






 気まずい。

 今までもレヴィアさんと2人きりということはあったが、洞窟だったり、死んでしまったり。そもそもあれは神龍様が悪い。

 そんな雰囲気に耐えられなくなった俺は、彼女に話題を提供してみる。


「あの、レヴィアさん。魔王様の留守中に勇者一行が来たらどうします?」


「事前に確認しましたが、この期間中にこの城に到達出来そうなパーティーはありません」


 どうやらこの前買った装備に着替える必要はないようだ。


 現在の俺の装備は武器はボールペンであり、盾なんてタブレットPCだ。おまけに防具はスーツでアクセサリーは腕時計といったところだろう。

 ビジネスマンの基本装備だ。


 本当にこの世界が平和だというのを実感する。多少の問題はあるが人々がこの生活を楽しみ、謳歌しているのが分かる気もする。

 誰だって争いは好きじゃない。魔王と勇者が争っていた頃からスライムのぬいぐるみが街や村では販売されていたという。

 本当のところは誰だって戦いは望んでいないのだ。

『鋼の剣』や『ミスリルの鎧』なんて代物は椅子に座ってデスクワークをするのには不要だ。


 そんなシーンとした2人きりの時間を切り裂くようにオフィスの扉が開く。


「魔王様!……あの魔王様はどちらに?」


モンスターがあらわれた! ▼


 ではなく緑色のモンスターこと、スタッフの1人だ。レヴィアさんが落ち着いた様子で対応する。


「魔王様は現在、現実世界に行ってらっしゃいます。どうかしましたか?」


「四天王のドラゴンがこちらに向かっておるようです!20分後には到着するかと!」


「……分かりましたお出迎えの準備を」


「はっ!」


 緑色のスタッフは急ぎ足でオフィスを後にした。神妙な面持ちのレヴィアさんが気になる。


「何かあるんですか? そのドラゴンに」


「実は以前もこうしてこの城にドラゴンがやって来た事があるのです。その時に魔王様に勝負を……」


「挑んだんですか!? あの魔王様に?」


 魔王様はステータスに見切れるほど9が並んでいるようなお方だ。とうぜん返り討ちにあったのだろう。

 その仕返しにでも来たのだろうか。


「ドラゴンは、前魔王様の頃より四天王のしておりまして、最近戦いの回数が減ったのが不満のようなんです」


「四天王の元へ訪れる冒険者の数は減っていますからね」


「その通りです。今回もその件に関してかと……」


 レヴィアさんの顔つきが険しくなる。その整った顔の眉間にはシワが寄っていた。何か問題でもあるのだろうか?


「ドラゴンとは話し合いで解決しないような仲なのですか?」


「分かりません。ただ……」


「ただ?」


「ドラゴンはわたしよりも強いと思われます」




To Be Continued






「ところでなんで最後セーブじゃないんだ?」


「セーブ出来る人が近くに居ないから。だそうです」


「そういえば、どうして魔王様はセーブが出来るんですかね?」


「魔”王様”だからだそうですよ?」









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