第91話『露天風呂』
「いいお湯ね、やっぱり露天風呂は最高よ」
「魔王はん、もう1時間くらい入ってるんとちゃいます〜?」
「そうですわね、わたくしたちが身体を洗ってる頃から浸かってますものね」
「鍛え方が違うのよ」
「お風呂で汗を流す……いうんは、ダイエット効果も期待できるさかい、せやから浸かってはるん?」
「まぁ、概ねそうね」
「魔王様、お水を飲みながらの方がダイエット効果があるそうですわよ」
「大丈夫よ、これで3本目だから」
「つまり、このお湯には魔王様の出汁が出てるってことですわね」
「これが本当の魔王風呂!」
「ふふふっ、そんなこと言われたらうちかて、わろてまうわ〜」
「そういえば、レヴィアさんが居ませんわね」
「あぁ…………レヴィアなら、30分前に上がったわよ」
「ずっと入っていましたの!?」
「白い肌が真っ赤になってたわね」
「レヴィアはんは、ほんに色白やさかい、まるで雪のようやわ〜」
「あら、こはるんだって負けてないわよ」
「おべっかなんて使いはっても、何もでーへんよ〜」
「そう言う魔王様だって、すべすべ肌ですわ〜」
「こら、すべすべしない」
「うちも、うちも〜」
「こはるんまでやらない、まったく両手を掴まれて動けないじゃない」
「ところで、魔王様」
「何かしら?」
「その…………どうしたら大きくなりますの?」
「身長? 大丈夫よ、まだまだ伸びるわよ」
「違いますわよ!」
「魔王はん、きっと、"それ"やと思いやす」
「あぁ、"これ"?」
「どうしたらこんなに大きく育ちますの……?」
「意外と毎日のケアが大切なのよ」
「やっぱり、そうでしたのね……」
「あとはやっぱり、見た目よね」
「大きさがすべてではありませんものね……」
「形や、全体のバランスも大事よね」
「せやなぁ、せやけど、やっぱり大きいと思いやす」
「カズキくんも喜んでたわよ」
「それは、喜ぶと思いますわ」
「カズキはんは、ほんに好きやからなぁ〜」
「本当にね、わたしもビックリしたわよ」
「毎日、毎日、飽きもせずに、『魔王様、お風呂行きましょう!』ですものね〜」
「ほんに、仕事中でも見境なしやもんなぁ〜」
「それにしても、まさかね……」
「せやなぁ〜」
「ですわねー」
「まさか、ヒノキの木を露天風呂に植えて欲しいだなんて……」
「本当に大きなヒノキの木ですわよね、首が痛いですわ!」
「カズキはん、ヒノキ風呂大好きやからな〜」
「いつも『iBou』を湯船に浮かべて怒られているそうですわよ」
「ヨッホイはんは、ヒノキ花粉やのうて、ほんに良かったと思いやす」
「そういえば、新しい空気清浄機はどう?」
「先日部屋に届きましたわね」
「うちも使うてるよ〜」
「マイナスイオンって、本当にあるのかしら?」
「魔王はん、滝の近くとか行った事あらへん?」
「あるわね」
「わたくしもありますわ」
「滝の近くはマイナスイオン仰山出とるらしいんよ〜」
「確かに、涼しい感じはしたわね」
「魔王様、涼しいのがマイナスイオンじゃありませんわよ」
「知ってるわよ、そのくらい」
「でも、何となく感じは掴めたんとちゃいます〜?」
「つまり……」
「何ですの、魔王様?」
「滝を作ればいいのね!!」
「…………せやなぁ〜」
「…………良いと思いますわ」
「何よ、その反応……」
「魔王様、そろそろ上がった方がいいと思いますわ」
「確かに目眩がしてきたわね、浸かり過ぎたのかしら」
「うちもそろそろ上がろうと思いやす」
「魔王様、急に出ると立ちくらみをする可能性がありますわよ」
「そうね、ゆっくりと……………………よいしょっ」
「問題あらへん?」
「大丈夫よ、ほら、身体を冷やしてしまうわよ、早く行きましょう」
「あっ、待ってくださいな!」
*
「やっと、出たか…………まったく、お隣は騒がしいようで」
「おめぇ、まだ入ってたのかぁ!?」
「ヨッホイか、かれこれ4時間は入ってるぞ」
「よくのぼせないな」
「ふっ……鍛え方が違うのさ」
「しかし、見事なヒノキの木だよなぁ」
「やはり、ヒノキの香りはいい」
「おっ、分かってるじゃねーか…………って、お風呂に浮かべてる"ソレ"はなんだ!?」
「お風呂の"相棒"だ」
「またかよ!? やめろっていつも言ってるだろ––––––––!?」
「いい湯だな、やっぱり露天風呂は最高だ」
「いいかげんにしろ、この風呂バカ!」
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〜登場人物〜
【魔王様】
入浴時間は1時間半くらい。髪の毛はレヴィアさんに洗ってもらったらしい。
【マリア】
大体小春ちゃんと一緒に入ってる。髪は小春ちゃんに結んでもらった。
【小春ちゃん】
今日は風呂上がりに、フルーツ牛乳を飲むらしい。
【レヴィアさん】
熱いお湯は苦手。血行がよく、お風呂上がりはほっぺたが赤くなる。りんごちゃん。
【カズキ】
温泉の魔王、風呂の支配者。