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ラブサーフィン  始の章  作者: エムト
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続 続 喫茶ラーニン

続 続 喫茶ラーニン



「エミ(アイ)にも、なにか美味しいものを作ってくれ。俺は夜には帰る。それまで頼む。

残業代は、倍払うよ。ちょっと、エミに変わってくれないか。」


もう、ラーニンに帰っていたウエイター兼店長のヤスカに、電話をかけていた」


「わかりました。結構、ショック大きかったみたいですよ。早く帰ってくださいよ。じゃ変わります。」


「大丈夫、トイ(ジェイ)。」

「ああ、大丈夫だ。もう少しかかるみたいだ。

それと、サトルくんのこと、心配するな。俺がなんとかする。弁護士に頼んでおいたから、俺にも非があるからね。」


「なに、弁護士に知り合いがいるの、すごいわね。

そう、わたしもサトルには悪いと思ってる。あんな時にくるなんてね。ああ、なるわよ。」


「弁護士は、専属なんだ。じゃ、そっちに行ってから話そう。」


日が暮れた頃、やっと病院から、ジェイは帰ることを許され、すぐに、すぐに、ラーニンへの帰途についた。


店に入ると、ヤスカがとんで来て、

「ご苦労様でした、マスター。キズは大丈夫ですか。」


「ああ、大丈夫だと。こんなもの大したものじゃない。俺の回復力は、普通じゃない。何百年も鍛えているからな。」


「それは、面白いですね。何百年もですか。」


これは冗談ではなく、ジェイは思っていた、自分自身に問いかけた言葉だと。


「エミは、どこにいる?」


「食事しないで、裏で待ってます。ベッドも綺麗にしておきましたから、休むんだったら、休んでいってください。」


「ありがとう。明日は、休みにしよう。ゆっくり休んでくれ。」


「じゃ、そうさせて頂きます。食事、とっておきのを作っておきましたから、では、お先に失礼します。」



『アイ、着いたから、こっちに来いよ。最初座っってた席に、食事もあるから。お腹すいただろう。』

『店長のヤスカは、もう帰った。』


『すぐいく。』


最初に、この世界で初めて会ったときに座った席に、ふたりは、向かい合って座り、どちらからともともなく、唇を重ねあっていた。


『考えると、わたしたちのこの口は、本当は、この時と、食事の時のためだけにあるみたいね。』

唇を、お互い離して、見つめ合いながら、

『そうだね。』

『このまま、こころで話していこう。』


窓の外は、もう夜の佇まいであった。


『明日は、どうする?

あした、この店は休みにしたから。』


『当然、わたしも、休むわ。

あなたの今を知りたいの。それに、今までのことも。

いますぐ、あなたのこころのなかに入りたい。

でもその力は、わたしにはないから、悔しいわ。』


『アイは、今日の成り行きの意味は、分かってるのかい?』


『分かってるわ。ばかじゃない。ジェイのやる事は、大体わかる。わたしも、これしか無かったと思う。

少しでも早く、このようなことには、対処しないとね。わたしの過激な行動もあるしね。でも、あっちの世界では、やさしい方よ』


アイは、もう完全に、あちらの世界の人間になっているみたいであった。


『でも、あの時のキスは、いま考えると本気がなかったわ。このせかいでの初めてのキスは、いまのキスということにしましょうね。』


『ああ、分かった。』


サトルには、悪いことをしたと、ふたりとも思っていた。

サトルに、アイを諦めさせるための、ジェイにとっては、仕方ない行動だった。

アイとは、前世からなどと言えることでもないし、言っても、信じるわけもないし、ということだ。


サトルは、別人になったアイを知らない。それにアイの前世での、強さと、激しさを知らない。


サトルは悪い男ではない。何とか最悪の事態になる前に、早くこの状態を変えなければと、ジェイは思っていた。


早い時期に、今しかない時だった。

あの時キスをすれば、サトルは行動に出ると、ジェイは思った。

そして、そのとおりになったのだが、サトルのジェイへの恐怖と、妹の姉への不信が残ったのであった。


ジェイへの恐怖は、ナイフを持った腕を握られた時、全然動けなくなり、声も出なかった。そして、ジェイの目を見た時、殺される恐怖を感じたのだった。

サトルは、取り調べの時、そのことは、絶対に言えなかった。ジェイへの恐怖が残っていたのだ。


『アイ、明日は、僕の家に行こう。僕の全てを教えるよ。』

『絶対よ。わたしの、ジェイ』






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