刑事 織田
刑事 織田
ジェイは、病院で事情の聴取を刑事から受けた。
「たいした体をしてますね。傷は、今日にも帰れる程度らしい。
わたしは、刑事の織田といいます。よろしく。
なぜ、こうなったのか、順序良く聞いて行きますから、宜しくお願いします。」
次々と、要領良く刑事は、聞いていった。
事件の経緯が、ほぼ解り、刑事はほぼ理解したところで、織田は、尋ねた。
ジェイとアイは、いつから付き合い始めたのか、と、
「ですね、一応理解してもらっていた方がいいですね。
じつは、ぼくが20才になった頃、ぼくのあの店で知り合って、付き合い始めたんです。でも、その時は、ラーニンは、ぼくの店ではなかったんです。
1年ほど付き合って、些細なことで喧嘩して別れてしまいました。でも、お互い、別れたけど、まだ愛し合っていました。
若かったんですね、お互い、気持ちを切り替えることができなくて、完全に別れました。
でも、ぼくは、彼女が忘れられなくて、思い出だけでも残すつもりで、ラーニンを、2年前に買いました。
それで、1年前に、この店に彼女が来たんです。彼女は、まさか僕がこの店のオーナーになっているとは思ってもいませんでしたからね。
それから、また彼女と付き合い始めました。
彼女が、その時付き合っているサトルというひとがいる事は聞いていました。
サトルくんと別れるけど、それは、自分の問題だというので、サトルくんの事は、彼女に任せました。」
病院に入る前に、ジェイはアイに、こころで会話をしていた。
『アイ!』
『ジェイ、今どこ?』
『病院に入るところだ。いろいろ聞かれると思うから、面倒な事になる前に、話を合わせておくべきことは合わせておこう。絶対合わせておくべき部分は、アイとのなれそめだな。
それと、妹さんの事は、伏せておこう。たぶん彼も言わないだろう。』
いろいろ合わせるべきことを話し合った。
『あと、何かあったらまた連絡する。じゃ、ラーニンで会おう。』
病院での聴取、ひととおり終わったところで、最後に織田が言った。
「君みたいなひとが、あのような店に興味があるとは、君の履歴を見て驚いたよ。まあ、これも何かの縁だな、何かあったら、電話くれ。これ名刺だ。協力ありがとう。」
「刑事さん、サトルくんのこと、よろしくお願いします。僕にも非があると思うので、もしこれが逆の立場だったら、わからないですよね。」
織田刑事は、おでこに、ポンと指を当てて、出ていった。
織田は、前もって、関係者の履歴を見ていて、ジェイ(トイ)の履歴に興味を抱いていた。
何か引っかかるものを感じたのだ。このような事件と不釣合いだという事を感じた。そして、その履歴そのものに興味がわいたのだ。これは、刑事としてではなく、こいつとは仲良くして行こうと決めたのだ。
そして、、ジェイも、この刑事に興味を持っていた。
何気なく、織田の心に入ってみたのだが、ジェイの興味をそそる何かを持っている事を確信した。この男は使えると思った。
今後の自分たちが、アイとジェイが、生き残るために、必要だと。そして、これは必然だと。