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ラブサーフィン  始の章  作者: エムト
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1年前のアイ

1年前のアイ



1年前に、アイは、前の世のことを思い出した。映画の中に入り込んだみたいな自分が居た。

それは最後の瞬間からだった。


鎧をつけたジェイとアイが剣を持って、ふたりの鎧をつけた者達と争っている。

相手のふたりも、男と女であった。


相手の女が、ジェイに向かって、剣を突き刺そうとした時、女の口から口矢が吹き出て、ジェイの首に突き刺さった。当たったのを確認したと同時に、体をアイに向け、口矢を放ったのが、アイの首に刺さった。


もう、その時には、女の剣がアイの心の臓を突き刺していた。


ジェイの心臓には、相手の男の剣が突き刺さっていた。

男はジェイに何かひと言ささやいた。


そして、ジェイとアイは、重なるように、地面に倒れおちて、ふたりは見つめ合い、お互い一言いって生き絶えた。


『###次の世で逢おう、男として。』

『###わたしは、女として。』


アイは、最後の死の時の痛さは、全然感じていなかった。これは、前世のシーンの最後まで肉体の痛みを感じることなかった。しかし、悲しみ、よろこび、さみしさ等は、心で感じていた。それは、切ないくらいに、弾けるくらいに、体でも感じていた。


次々と過去と思われるシーンが続くにつれて、ジェイとの出会い、恋人同士のとき、そして、けんかの時、結ばれた時、楽しかった一緒のとき、戦いの日々など、ジェイとの短かくも長いふたりで歩んできた道のりを経験することで、ジェイへの親しみ、両思いへの確信が生まれてきた。


この世での全ての前に存在したアイとっての事実を、受け入れたのは、現実の母、父、妹、付き合っている彼氏と話した際、彼等の心の声が、はっきりと聞こえてきた時だった。

この能力は前の世界で、使っていた力だったのだ。


それと、今までと違い、自分の筋肉が躍動し、前の世界で培ったであろう肉体などの変化、知識の大幅な増加

等々が、今までの自分を吸い取ってしまっていた。

性格等も、完全に変わっていた。


最初は戸惑っていたが、だんだんと、前に愛し合っていたジェイに会いたいという思いが、日々強くなっていた。


毎日、夜に、みんなが寝静まった後、前世でやっていたように、ジェイをこころで呼びかけることが、日課となっていた。そんなある日、付き合っている彼氏と別れることを決心した。もう、ジェイのことしか考えられなくなったアイは、別れることを決めた。


決心した翌日から彼の誘いを断り続けた。それから二ヶ月ほど経ったとき、彼と直接会って、別れようと告げた。しかし、彼氏はそれに応じなかった。それは当然だと思えた。

アイが前世を知るまでは、ふつうの恋いびと同士だったのだから、納得出来なかったのだ。


ところが、アイは、もう彼の知っているアイではなく、別人となっていた。


アイは、前に愛していた人が現れたことを話し、辛いと思うけど、私の気持ちを理解してくれるように頼んだが、彼はわかってくれなかった。

アイは、何を言っても駄目だと思い、その場を離れ、それから彼との連絡を完全に絶ってしまった。










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