第三十三話 借金と決闘
「てめぇらふざけたことぬかしてんじゃねぇぇぞーーーー!」
とその場を轟かすほどの怒声がジョニーの耳を貫いた。
声を荒げていたのはダニエル。
そしてその相手は先程ダニエルの家までの案内を頼まれたジムである。
その様子を、成り行きで案内に付き合うことになったジョニーが耳をふさぎながら聞いていた。
「あ、あの、何かの間違いじゃないんですか? 父さんが借金をだなんて……」
「おいサニー! まともに聞くこたぁ無いぞ! こいつら親父が死んだことに付け込んで適当な事を言ってるに違いないんだからなぁ!」
「しかしねぇダニエル、ほらこれ、この字読めないのかなぁ? 確かにここに借用書ってかいてあるだろ?」
ジムはダニエルの面前に借用書と書かれた紙を突きつけ指差しながら堂々とした態度を崩すことなく述べた。
「うぐっ、だ、だからそんなもんは偽物にきまってんだろ!」
借用書を見せられダニエルは一瞬喉に異物でも引っ掛かったが如く声を詰まらす、が、すぐにそれを取り除くかのように声を張り上げ借用書の存在を否定した。
だがダニエルの言葉はシェリフの、
「……いやダニエル、これは恐らく本物だ……」
と至極まじめな表情で語られた一言によって崩れ去った。
「シェリフ! 貴方までなにを!」
思わずサニーが身を乗り出してシェリフに向かって声を荒げる。
「ごめんよサニーちゃん、でも私は君たちが小さい頃から親父さんの事は良く知っている。だからこの筆跡には見覚えがあるんだよ。ごめん仕事柄どうしても嘘は……」
そういって頭のハットで瞳を隠すようにしながら、申し訳なさそうに言葉を連ねるシェリフ。
「あっはっは! どうやら決まりだね。こうやってこの街のシェリフがしっかり証明してくれてるんだからな」
ジムは笑い声を響かせながら自信満々に言い放った。
その言葉を聞き、ダニエルが、くそ! と悔しそうに一言つぶやくが、顔を俯かせ観念したように、
「……わかった、シェリフがこう言っている以上仕方がない……だが少しだけまってくれ! 借金は少しずつでも返していくから……」
と懇願するように言った。
「おいおい何をいってるんだ。この借用書を良く見て下さいよ。もうとっくに返済期限はすぎてるのですよ? 只でさえ利息も含めて百万ドルもの金額に膨れ上がってるんだ。これ以上待てといわれてもねぇ」
ジムはよりいっそう態度をふてぶてしくさせダニエルに詰め寄る。
シェリフが借用書が本物である事を認めたことで、正に鬼に金棒といった様子だ。
しかしダニエルはそれでもなおジムに頼み込もうと、
「そういっても今すぐ払える金額じゃないんだ、頼む! 少しだけ……」
と今までみたことが無いぐらい深々と頭を下げながら言葉を述べた。
そんなダニエルを、口元を緩ませながら腹黒い表情で見つめたのち、
「だったら鉱山があるじゃないですか」
とジムが淡々とした口調で告げた。
その言葉にダニエルは思わず怪訝な顔をしながら、何? と返す。
「だから、借金が今すぐ払えないというのなら鉱山と……そうですね、それでもまだ足りないでしょうから、ここの土地を貰いましょうかね」
「貴様ふざけたことを!」
ダニエルが思わずジムの胸ぐらを掴み再び声を荒げた。
それを見た取り巻きたちがダニエルを引き剥がそうとするが、ジムが構うなという感じに制しそのままの体制で口を開く。
「何をいってるんですか? 借金を返すことが出来ないのであればその代わりの物を頂く……それが当然の権利でしょう。貴方がどういう気持ちで私にこのような事をしてるのかわかりませんが、この借用書がある以上正義はこちらにあるのですよ」
「くっ……」
ダニエルは返す言葉もなく、ジムの襟首を掴んでいた手を離す。
するとジムは、口角を歪ませ、嫌らしい笑みを浮かべながらダニエルを見下した。
借用書という武器が彼にある以上、ダニエルも強くは出れない。
「なぁジム、一つだけ聞いていいかい?」
そんな二人のやり取りを見ていたジョニーが、ふとジムに声をかけた。
「何でしょうか?」
「いやぁ大したことではないんだがねぇ、どうして借金の返済期限が切れる今の今まで一度も取り立てにこなかったんだい? それがどうにも腑に落ちなくてねぇ」
「……私たちはダニエルのお父様の事を心から信じていたんですよ。だからきっといつか返してくれると信じお待ちしていたのです。まぁまさかもう死んでしまっているとは思いもよらなかったですがね」
「ふ~ん、信用ねぇ……そのわりに随分と物々しい取り巻きを引き連れてやってくるんだなぁアンタは」
「……私は慎重なんですよ。何をするにしてもね。彼らを連れてきたのは念には念をと思っての事です」
「念には念を……ねぇ」
ジョニーは、ジムの言葉を自らの口で反復させながら彼の表情を窺うようにみやる。
そんな二人の間に入り込むようにシェリフが口を挟んだ。
「ジムさん、何とか借金を待って頂くことはできないですか? この町の者にとってこの土地も鉱山もとても愛着があって大切なものなんです……だから何とか……」
その言葉により、ジムは再び目線をダニエルの方へ戻し、そうですねぇ……と呟くように言い、一拍おいた後、
「わかりました。私も鬼ではないし、ここは貴方にチャンスを与えましょう」
と唐突に言い出した。
「チャンスだと?」
ジムの言葉に思わずダニエルが反応を返す。
「えぇ……そうですね。では貴方と私とでそれぞれ代表を一人ずつ選び決闘を行うというのはどうでしょうか? それでもし貴方がたの代表が勝つことが出来たなら借金を帳消しにしてあげてもいい」
「決闘だと? それに勝てれば借金をなしにするっていうのか!」
突如出されたジムの提案に、ダニエルは興奮気味に相手の言葉を復唱した。
「おいおいダニエルの旦那、とりあえず相手の話はよく確認した方がいいぜ」
「そうよダニエル。こちらが勝ったら、と言う事は当然負けたときの条件もあるんだろうし……」
このままでは単純なダニエルは相手の条件も聞かず話を進めてしまう、そんな雰囲気を察しジョニーとサニーが口を挟む。
「あはは……察しが良いですねおふたりさん。まぁ勿論その時は当初の予定通りここの土地と鉱山の権利を全て頂きますし、それと……そうですね貴方も頂きましょうか」
そういってジムは嫌らしそうな目つきでサニーを指差した。
「え!? わ……私?」
そう言いながらサニーは明らかに嫌悪感を表わにした表情で身をよじらせる。
「てめぇ! ふざけるな! そんな話、最初はなかったじゃねぇか!」
「何をいってるんですか? 本来なら別に私はこんなチャンスを与える必要なんてないのですよ? それをそちらのシェリフの頼みもあってこうやって譲歩して上げてるんです。それが嫌なら別にかまいませんよ? そのかわり今すぐにでもこの土地と鉱山を頂いても構わないんだ」
「なんだと? やれるもんならやってみやがれ!」
「ほぉ? 本当にいいのですか? 私はこう見えても紳士的な態度で接しているつもりだ。出来ればあまり無粋なまねはしたくないのですがね……」
ジムはそういいながら、またもや片眼鏡に指を掛け、位置を修正しながら更に言葉を紡げる。
「ダニエル、先ほども話したとおりこの借用書がある限り正義はこちらにあるんだ。それをどうしても拒むというなら……まぁ私はあまり手荒な真似はしたくないのですが、まわりの連中は少々血の気が多いものでしてね……」
すると、ジムが取り巻きに目配せをした直後、男たちが一斉に腰のガンベルトに手をかけ始めた。
「てめぇ!」
そう言うと同時に、ダニエルも愛用のコルトSAAに手を掛け睨みをきかす。
一瞬即発――双方が共に硬直状態に陥った。
「おい! いい加減にしろ!」
そんな緊張の糸を切り裂くはシェリフの一声だった。
「……君たち銃をしまいなさい」
そしてビルがそう命じると、取り巻き達は一斉に銃から手を放す。
「ほら、ダニエルも銃を放せ」
「チッ!」
シェリフの言葉にダニエルが舌打ちしつつ銃から手を退けた。
「ジムさん、いくらなんでもこんなのは横暴すぎる! 第一こちらには決闘に参加できる人間なんて……」
「だったら貴方が直接挑めばいい」
シェリフの言葉に被せ、ジムはダニエルを指差した。
「なんだと?」
「今の拳銃に手を掛ける反応の良さといい、恐らく腕に自身がおありなんでしょう? それとも……その腰の拳銃は飾り物なんでしょうか?」
「あっはっは、ジムの旦那も人がわりぃや。こんな奴見た目だけで実際は大した事ないに決まってるぜ、なぁみんな?」
取り巻きの一人がそんな台詞を吐くと、それに合わせるように他の連中からも一斉に嘲笑とも取れる笑いが沸き起こる。
それは……あまりにわかりやすい挑発であった。
しかし根が単純なダニエルには、こういった挑発が一番効果がある。
それを察したジョニーが、ダニエル! と声を上げるが時すでに遅し……
「上等だ! そこまで言われてこっちも黙っていられねぇ! この決闘受けてやる!」
そう街中に響くような大声でダニエルが言い放ったのだった……
◇◆◇
その日の夜、酒場の店内には客が溢れかえっていた。町中の老若男女がこぞって押しかけてきていたからだ。
勿論これは、全員で酒場にお酒を楽しみに……きてるわけではなく、ダニエルが乗ってしまった決闘の件を聞きつけてのことだ。
決闘を持ちかけたジム・クリムトン。
この男はここ、ロック・シティから馬で三時間ほど走った先にある【サウザンド・シティ】という大きな町に屋敷を構え、そこの土地の大部分を所有する大地主であった。
更にダニエル家の主であるジムは、羽振りの良さが有名でもあるがそれと同時にかなり強引な手段で金儲けに走っているという事でも噂が立つほどであった。
そんなクリムトン家に目をつけられてしまったということで、町のみんなが心配そうにダニエルへ事の真意を確認するのだが……
ダニエルは飲めない酒のかわりにミルクを呷りながら、任せとけ、や、大丈夫だ! という言葉だけを繰り返していた。
ちなみに酒場にサニーの姿は無い。
例の出来事で疲れが出たのだというが、これは無理のないことであろう。
ダニエルも町の人々にはサニーも賭けの対象になってしまった事は告げなかった。
それもサニーが、町の皆に余計な心配をかけたくないから、とダニエルたちに口止めをお願いしたからである。
そんなダニエルと住人との話をジョニーは愛するバーボンを片手に呑気そうに聞いていた。
そんな折、唐突に店のスイング・ドアが開かれ、スイング・ドアの揺れ動く音と共に一人の男が店内に入ってきた。
店に姿を現したのは見慣れない男であった。
ダニエルとの話の最中に突如乱入してきた客人に、その場にいた全員が一斉に注目する。
男は全体的に細めの長身であり、面長の顔と肩まで掛かる金髪の長髪、そしてその開かれた両目は大半が白で占められており、黒目は申し訳無い程度にポツンと添えられているだけであった。
そんな男の身なりは、この暑さにも関わらずロングコートをウェスタンシャツの上から羽織り、下はジーンズという出で立ち。
だがその色はシェリフが着ているような、いや、それよりももっと濃厚な黒で包まれていた。
その様相は男の風貌もあってより不気味に映る。
唐突の客人の登場によって、店内の空気が一瞬にして重苦しいものに変わっていた。
それだけ彼の存在が異質なのである。
「い……いらっしゃい」
マスターが戸惑ったような口ぶりで客人に挨拶を交わした。
しかし男はそれには返答もせず、一直線に歩みをすすめる。
「あんたがダニエルか?」
男はダニエルの前で歩みを止め、確認するように言った。
「あぁ? 誰だてめぇは?」
ダニエルは男へと振り返り、片方の眉尻を上げながら男に問い返した。
「……俺の名はバレット。今度あんたの相手をすることになった」
バレットと名乗る男は淡々とした口調でそう述べた。
その様子をジョニーが窺うように見ているが、その視線はバレットの方に多く注がてるようにも思える。
そんなジョニーの視線に気づいたのか、バレットも彼に一瞬目をやるが、すぐに視線をダニエルに戻した。
「バレット……もしかしてあんた! あの死神バレットか!」
店にいる男の一人がそう述べると店内にざわめきが起こる。
「はは、俺も随分と有名になったものだ」
バレットは静かな口調で呟くようにそう述べた。
「おいおい、死神バレットといやぁブラッディ・マリーと並ぶ最悪の賞金首じゃねぇか……」
更に店内の一人が言葉を続ける。
客達のざわめきが激しくなった。
「ブラッディー・マリーか、懐かしい名前だな。あれは……いい女だったぜ。全く女だてらに俺とタメをはる賞金首だって言うのだからな」
「へぇ~、あんたブラッディー・マリーの事を知ってるのかい?」
バレットの発言に、ジョニーはいつも通りの軽い口調で質問する。
しかし眼は決して笑っていない。
「……一度だけ仕事を共にしたのさ。まぁ俺はついでにやってしまおうと思ったんだが結局仕留めそこなってな……」
「へっ、ブラッディー・マリーだかなんだか知らないが、女にやられるようじゃたいしたことねぇなぁ」
ダニエルが挑発混じりの言葉をバレットにぶつけた。
するとバレットの表情が険しくなり、
「やられたとはいってねぇ……仕留めそこなったといってるんだ」
とダニエルを睨みつける。
「ケッ、似たようなものだろう。口でならなんとでも言える。てめぇなんざ大したことねぇぜ」
「だったら試してみるか……」
その言葉をバレットが述べた瞬間だった。
瞬時にしてバレットがガンベルトの拳銃に手を伸ばす。
その動きに反応し、ダニエルも腰の愛銃に指をかけた。
刹那、お互いの眼前に突きつけられる銃と銃。
「ほぉ……反応は中々だ……」
「てめぇ……」
銃口を突きつけながらそんな言葉を放つバレットに対し、ダニエルは額に血管を浮き上がらせながら怒りの形相で睨みつける。
「お……おい何だよあの銃……」
すると、誰かの放ったその言葉を皮切りに、店内の男たちが一斉にバレットの拳銃に着目し始める。
それも当然であった。
バレットとダニエル、お互いに突き合わせられている拳銃、しかしその状況は明らかに違う。
ダニエルが抜いたコルトSAAはバレットの顔からおよそ拳一つ分ぐらい離れているのに対し――
バレットの抜いた拳銃は、ダニエルの額ギリギリまで肉薄していた。
ダニエルに突きつけられた拳銃は誰から見ても明らかなほど、銃身が長く、ダニエルの持つコルトSAAと比べるとその長さが倍近くある。
さらに目を引くのはバレットを包み込む格好と同じく、銃全体がドス黒く染め上げられている事と――そのグリップに施されたドクロのマークである。
「銃にドクロのマーク……間違いねぇ! こいつは死神バレットだ! バレットの銃にはドクロのマークが刻まれている……まさしく噂通りだ」
先ほど死神バレットについて触れた男が確信したようにその言葉を述べた。
すると再び店内がざわめき始める。
それだけこの死神バレットという男は有名なのであろう。
勿論、決していい意味ではないであろうが。
「……なぁ、バレットとか言ったかい? あんた決闘を行うにしても、申し送りも無くいきなり始めるのはちょっと礼儀にかけてるんじゃないのかい?」
すると喧騒の広がる最中、ジョニーが一瞬真顔でバレットにそう告げた。
するとバレットが片眉をピクリと動かし、その言葉に応じる様にダニエルの額に突きつけていた拳銃を離した。
そして指に掛かった得物をクルクルと器用に回した後、腰のガンベルトに収める。
その様子を認めダニエルも銃をしまった。
しばしの沈黙……
「……安心しな、今日は対戦相手がどんな男か様子を見に来ただけだ」
そういいながらバレットが唇を大きく歪ませた。
「ふん! そんな事をいって本当はこのまま勝負を続けるのが怖いだけじゃないのか?」
ダニエルがバレットに向けて強気な台詞を吐く……しかし、その額に滲みでている汗から心中はかなり穏やかでない事が窺えた。
「……その台詞を来週もきいていられるか楽しみだねぇ」
バレットはその不気味な白い瞳でダニエルを見下ろし、更に言葉を続ける。
「……勝負は来週末この町で行う。夕日が落ち始める時にな。いっておくが条件の変更は応じられない。これが飲めないならこの取引はなしだとジムからの伝言だ」
「……わかった」
「くくっ……素直で嬉しいねぇ、それじゃあ来週の決闘……楽しみに待ってるよ」
バレットは不気味な笑いを残しつつ、ダニエルに用件を告げると踵を返し店を去っていった。
すると、再び店内に静寂が訪れた。
町をかけての大勝負、その勝負に挑まなければいけないのが名うての賞金首であること……その事が店内の皆の空気を重くしていた。
しかし、その空気を変えるように、
「あっはっは! 全くみたかよあいつの顔! すっかり俺にびびっちまってたぜ!」
と大声で笑いながらダニエルが言い放った。
「全く死神だか幽霊だかしんねぇが、あんなやつ俺にかかりゃ楽勝だぜ! なぁ?」
「くっ……くく……あっはっは! こりゃいいやぁ幽霊とは上手いこというぜぇダニエルの旦那。確かにあんな幽霊みたいな男に旦那がまけるわけないってなもんさぁ」
ジョニーがダニエルにあわせるように笑いながら冗談交じりの言葉を重ねた。
「は……はは! 確かに幽霊とはいい例えだ! まったく既に死んでるような顔つきだったしな! ありゃぁ楽勝だぜ!」
「確かにな! 顔の迫力だったら明らかにダニエルの勝ちだぜ! やつが幽霊ならダニエルは悪魔みたいなもんだ!」
「全くこうなっちゃったら、もう頼れるのはダニエルだけだしね! 死神だかなんだかしんないけどもうこの際、本当の死神にしてやんなよ!」
ダニエルとジョニーの言葉で店内の重苦しい空気はすっかり解消され、皆の顔に笑顔が戻っていく。
「さてと、それじゃあ俺はそろそろもどるぜサニーの事も心配だしな」
「なんだいダニエル、そういえばサニーちゃん来てないようだったけど調子でも悪いのかい?」
「あぁ別に大した事ではないんだ、今日の事でちょっと疲れたでたみたいでな。まぁちょっと休めばすぐにでも良くなるだろう」
客の一人の質問にダニエルはそう返答する。
勿論賭けの詳細は答えない。
そして、じゃあな、と片手を挙げてダニエルは一足早く店を出ようとした。
そんなダニエルを目で追うようにジョニーが眺めていると、シェリフがダニエルを呼び止めているのが目に入った。
ダニエルはシェリフと何度か言葉を交わすと、愛用のコルトSAAを手渡し店を後にする。
そしてそのままシェリフも店を出て行ったようである。
その一部始終を見ていたジョニーであったが、マスターのお代わりはいるかい? の一言に反応しまた視線を愛するバーボンのグラスへと戻すのであった――