プロローグ
新連載です連休中は毎日更新。
ストックはそれなりにあるので切れるまでは毎日更新します。
「――全く! なんだってんだこりゃあ!」
そう叫びながら辺り一面砂で覆われた砂漠を併走する二人の男がいた。
男の一人は薄汚れた着物と腰に二本の刀を差したサムライ。
もう一人はウェスタンシャツとジーンズ姿で腰のガンベルトに砲金色の眩しい拳銃を収納したガンマン。
「だからいっただろう! 余計な事に首突っ込むなって!」
「そんな事、今更いったってどうしようもねぇだろが! いっちょやってやるしかよう!」
砂漠を併走しながら啀み合うサムライとガンマン。
しかしそんな二人の視線の先で急に砂が盛り上がり、まわりの砂を巻き込むように一気に巨大な何かが上昇する。
「グォォォオン!」
二人の面前に現れたのはまるで巨大化した芋虫のような化け物であった。
その化物の皮膚は砂漠と同じ黄金色に包まれ更に上昇したその身の天辺から見下ろすような姿勢で巨大な口を開き大量の唾液を砂漠にボタボタと垂れ流している。
どうやら二人を餌と認識してるらしい。
「おいおい、こりゃあちょっとしたピンチだぜぇ。こんな化け物相手にどうしろっていうんだい」
「へっ! 相手にとって不足なし! だろ?」
「だろ? じゃあねぇだろ。全く……」
またまた啀み合いそうな雰囲気を醸し出す二人。
しかしその二人めがけ、その巨大な体ごと化物の口が急降下を始める。
そして激しい轟音と共に辺りの砂を撒き散らす。
その場に巻き上がる砂塵。
その砂塵が消え始め……開けた視界の先には刀に手をやり構えを取るサムライの姿。
そしてサムライの男からカシャンという鞘に刀身の収まる音が鳴り響いたとき。
上空から二人に襲いかかってきていた化物の身と思われし物が両断され落ちてきた。
その身が完全に落下すると同時に再び激しい轟音が砂漠に鳴り響く。
「全くやれやれだぜ」
サムライから少し離れた位置でガンマンが拳銃を二つ構えながらそう述べた。
ガンマンの構える銃身の先には、化物の上半分が横向きに転がっている。
そしてその身には貫ぬかれたような銃痕が何個も刻まれいた。
「全く余計なことをしやがって。こんなのは俺一人で充分なのによぉ」
サムライの男がそんな強気なセリフを吐いた。
「へいへい、わかりましたよ。次がでた時には全て旦那にまかせるさぁ」
頭のハットに手をかけながらヤレヤレといった感じで言葉を述べるガンマン。
その時、二人を中心に周りの砂が何個も盛り上がりはじめる。
「おいおい、おらぁ何だか嫌~な予感がしてきたぜ」
その嫌な予感が的中するがごとく、砂の中から先ほどの化物が何体も姿を現した。
「あはは……おらぁ約束は守るたちでさぁ、ここは旦那一人に任せるよ」
「ちっ! 上等だ! 最高じゃねぇかこの緊張感はよぉ!」
困り果てたように呟くガンマンに強気な台詞を吐くサムライ。
一見、全くこの場にそぐわない二人が……
何故、今このようなピンチに陥っているのか……
その理由を探るには、少し時を遡る必要があるようである……
もし気に入って頂けたならブクマや評価、感想など頂けると嬉しく思います。