♥ 提案 6 / 瀬戸瀬 克慈
克慈
「 惠美、楽しそうだね。
何の話で盛り上がってるの? 」
智沙から離れたのか、克慈から離れたのかは分からないけれど、背後から克慈に話し掛けられた。
惠美
「 わっ?!
吃驚した〜!
もうっ、驚かさないでよ〜!
──克ちゃん、聞いてよ〜。
蓉子と朋ちゃんがね、2人して酷いんだよ〜! 」
克慈
「 ふぅん?
何が酷いの? 」
私は、蓉子と善朋が、お腹を抱えて笑っている理由を真剣な表情で、克慈に話した。
克慈
「 惠美……、話題がズレてるよね 」
惠美
「 はぁ?
何処が?
別にズレてないと思うけど?
それより、克ちゃんも蓉子と朋ちゃんに言ってあげてよ! 」
克慈
「 2人に何を言うの? 」
惠美
「 んもう、惚けちゃって!
決まってるじゃんか。
『 糸なし糸電話ごっこしてたよ 』って事だよ!
ねぇ、言ってよ。
いいでしょ? 」
克慈
「 …………。
じゃあね、惠美 」
克慈は無防備な私の頭に右手を乗せて来た。
私が20分も時間を掛けて試行錯誤しながらセットした髪をクシャクシャにすると、笑いながら智沙の元へ戻って行ってしまった。
惠美
「 克ちゃん……。
言ってくれてもいいのに……!! 」
なんなのさ、克慈のケチケチ男!!
今から克慈の事はケチ男って呼んでやるんだからね!!
何ですか?
私のお願いを聞くよりも、智沙の隣に居る方がいいって事なの?
私のお願いを聞くよりも、智沙の胸の方がいいって?
私にだって──智沙程ではないけど、ちゃんと胸は有るんだからね!
………………蓉子のぽよよんなお胸たんには敵わないですけど!!
智沙の胸にも敵いませんけどねっ!!!!
ちくしょう!
…………、何か智沙に負けてるみたいでムカつく〜〜〜!
智沙だって持っていない良さが、私には有るんだからね!!
……………………なぁんて、大声で言えないの。
それにしても、何で此方に来たんだろう??
克慈は時々──、本当にわけが分からない事をする。
あっちに居ると思ったら、隣に居たりとかね!
来たなら「 来たよー 」って声を掛けてくれればいいのに、克慈ったら私が気付くまで、黙ったまま待ってるとかするんだよ!
克慈が何を考えていて、何がしたいのか意味不明過ぎる。