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昭和一桁生まれの勇者

作者: 漣 時雨

時は昭和の20年代、女子は囲われたように育っていた。

男女の関わりの例はあまり聞かされず、お互いによくわからないままなにが許されるのか手探りのようだったと聞く。

そして、女学校に通うある娘を通りがかりに見かけてしまったがばかりに色恋沙汰の右も左もわからぬアル大学のある学生は伝説を残す。


相手の学校は男子禁制。どうやってお近づきになろうかさっぱりと見当がつかん。

あれくらいの美女だきっと厳しいご家庭のご息女に違いない。

しかし家を調べようにも方法がない。

仕方がないのでとりあえず手紙を書いてみた。

しかしやっぱりその手紙を渡す方法が思いつかん。

どうしようか悩みに悩んで、やっと思い立った手段を友人に相談した。

「女学校が終わるのを待って、出てきたところに手紙を渡す。ついてこい」

言われた友人もそりゃまずいだろうと頭では思うが、必死に頼む姿を見ておもしろ半分ついていくことにした。

二人して女学校の校門前まできてみたのだが、学校が終わる時間なんぞ知るわけがない。

ぼうっと突っ立ってるところ、不審に思った守衛さんにお前等は何だ、何の用件だと連れていかれた。

いつの間にやら噂が広まっていたらしい、校門の方を向いて校舎の中から可愛らしい年頃の娘さんの首が鈴なりになってこちらを向いている。

はたして、かつてこんなに注目を集めたか。

内心びくびくしながらも、ここまできては仕方がない。

ここに通う可愛い娘さんに一目惚れしたのでお手紙を渡したいと伝えてみると、困った顔で一応娘さんを呼びにいってくれた。


一方困っていたのは娘さんも同じだった。

噂を聞いてクラスメイトと一緒に窓から覗いていた相手が私を捜しているらしい。

困りますよと先生に言ったところで、彼は帰らないだろう。

そこでみんなが空から見ている中、ちょこちょこと進み出るなんざ顔から火が吹きそうだ。

それでなんとかお断りをして、やっとのことで事件は解決となった。


娘の結婚相手が後々同学校の夜学に入るのはまた別の話である。

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