『2』囚人はスタンド使い
申し込んでるやつは、俺のほかにもいた。
「えー、みなさんお集まりですか?」
黒いスーツを着た男が口を開いた。結局“必要な物リスト”が全部そろわないまま約束の日なっていた。
「それではみなさんの仕事内容を簡単に説明させていただきます。まずは刑務所の設備、特色などから。」
紀幸は集まった人々と一列に並んで話を聞いていた。
「みなさまに勤務して頂く刑務所はこの島全体を丸々改造して作られたものであり、脱走は不可能です。」
黒いスーツの男は大きく広げた地図の一角を指して話している。
「えー、しかしながらですね、いや、安全な事に変わりはないんですが、収容されている囚人達はみな様々な“特技”と言いますか、とにかく“特異”なものばかりでして。」
一呼吸おいて、
「“超能力”のようなものを持つものばかりです。」
集まった人々は互いに顔を見合わせている。誰かが、
「で、その超能力ってのはどんなんだい?」
と質問した。
「私の知る限りでは、どんな傷を負っても平気だったり、他人と意識だけを瞬時に入れ替えたりできるものがいます。」
「なんだ、再生能力や意識変換が収容されてんのか。」
「簡単に言うとそういうことです。もし仮にこの話を聞いて職務をまっとうする気が萎えた方はどうぞ、今のうちにお引取り下さい。」
初めのうちはみな動かなかったが、“バカバカしい”と1人、また1人と帰っていく者が出てきた。
「それでは次に特色を・・・」
と黒いスーツの男が話し始めたときには、最初の人数の半分以下になっていた。
「・・・以上で説明を終わります。何か質問のある方は?」
黒いスーツの男の話をまとめると、
・刑務所の中の囚人は全員“超能力者”である。
・紀幸達の仕事は“ただ料理を作り、食わせる”だけ。
という非常にシンプルなものだったが、3時間近く話していた。黒いスーツの男の話すスピードが遅かったわけではない。実際に“超能力者”の資料や映像を見ていたからである。そのため、ここに残った者のほとんどがその存在を信じていた。
「それでは今現在8人の方が残っていますので、3人、3人、2人のグループに分かれてください。」
どうやら島に向かうための船は“職務をまっとうする気が萎えた方”が帰って行くにつれて、俺の仕事はもう終わった、と言わんばかりに引き返していったようである。そのため現在残っている船は、職員用が1台と、3人乗りの船が3台という状況であった。
「それではここと、ここと、ここで分かれてください。」
紀幸は3人グループだった。
「同じグループだね、よろしく〜。」
お、この娘胸デケェじゃん。
「お、おう。よろしく。」
さて、もう1人は・・・?
「・・・よろしく。」
男だった。それもかなり大柄な。
「う、うん。よろしく・・・」
紀幸はちょっとブルーになりながら船へと乗り込んでいった。
んー、書いてて思いましたが、まだ本編に入った気がしませんね。もう少しかな?