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 やけに気分がいい。昨日とは大違いだ。昨日のあの調子だと数日は体調が悪いのが続くだろうと思っていたのだが。

 記憶が少し霞んでいる気がする。しかし、思い出そうとしてまた頭が痛くなるのが怖い。

 アイはガラス管の中で退屈そうにしている。……昨日は私の傍ら、今日はガラス管の中。そしてガラス管に、一筋の濡れた後。

 アイ……ガラス管から自力で這い出る事ができるようになったのか。

 とは言っても、ガラス管の蓋に鍵がない事は知っているのだが。これは研究であって研究ではないから。暴れようが何をしようがいいのだ。彼女が死ぬ事なく成長し、私を喰らってくれたら、それでいい。

 それだけで。

 実際の所、こんな研究まがいな事、しなくてもいいのかもしれない。彼女の自由にさせてもいいのかもしれない。だが、もしそれで彼女が死んでしまったら。それを考えると……いや、考えたくない。過保護には育てたくはないのだが、万が一の出来事が頭をよぎると、ダメだ。

 私はガラス管のアイを見る。体長はそろそろ150センチに達するだろう。彼女が生まれ変わって2週間。2週間で生まれた時の倍以上。純粋に驚きと恐怖とを感じる。

 もっとアイを知りたい。アイの本質を、綺麗な部分も汚い部分も、全て受け止めてやりたい。拒絶されても構わない。私にはアイしかいないのだから。

 金も仲間も、捨てたんだ。お前がどんな姿になろうとも、私にはお前しかいないんだ、アイ。

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