表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/56

崩壊:2

「目ぇ覚ませよ、響」

 こつ、と私と同じ靴を鳴らし、研究室に1歩を踏み入れた優。私と同じ白衣を着ていた。

「響、お前はこんな所にいるべき奴じゃねえんだよ。帰って、また研究を続けて、医療の発展に貢献しようぜ。俺達の本来の目的はそれだったろ?」

「なぜ私が人類の発展にしないといけない?」

「響にはその才能と力があるからだよ」

「だから、私を連れ戻す為に……彼女を殺すと?」

 重量感のあるショットガンを彼女に向けたまま、続ける。

「普通に考えてみろよ、そいつはただの化け物じゃねえか。……俺もあの事件に立ち合ってたんだ。もう、そいつは“亜依”じゃない」

「彼女は“アイ”だ」

「おい、響」

 苛立ちを抑えるようにしながら優は私に近付いてくる。

「響、こいつがこの研究室から出てしまったらどうなるか、分かるか?」

「ああ」

「こいつのせいでいくつの命が失われるか、分かるか?」

「ああ、大体な」

 優は私の胸ぐらを掴んだ。

「……下手すりゃ人類の危機だぞ」

「それが何か不都合か?」

 突き放すように言うと、優は信じられないという風な顔をした。

「響……お前、何を」

「お前はどうせ命の尊さを私に説くんだろう? どんな命も、かけがえがないんだとな。私は、彼女を愛している。同じ1つの命としてな。なあ優……命の価値は計れるか? 計れないだろう? 無限大なんだ。命の価値はいくつあろうと、1億だろうと1つだろうと、無限大だ。変わらないんだ。だから私は彼女の命が守られるのなら、何人死のうが構わない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ