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大切な人へのプレゼント

タマザラシさん、リクエストありがとうございました!!

午後一時

とある宝飾品店に、鬼龍涼悟の姿があった

かれこれ1時間はウインドウに張り付いている

ある意味、不審者だ


「……どれがいいんだ?」


この事をひたすら呟き、右往左往している

視界の先には沢山のアクセサリー

それも、女性用


「こっちもいいけど……、美斬にはこっちの色のほうが……」


どうやら本日は、婚約者であり彼女である美斬へのプレゼントを購入するらしい

それにしても、ものすごい悩みようである

即断即決の彼とは思えない


「指輪はもう渡したし…」


そう、指輪はすでに先日の学園祭のイベント、『告白大会』にてプロポーズの言葉と共に渡していた

故に、指輪は却下である


「……ん?この色はどうだ……?」


そう言い、涼悟が手を伸ばすと、丁度同じ商品に手を伸ばしていた人の手とぶつかった


「っ!あ、すいません」


「いえ、僕の方こそ…」


その人は、黒髪の少年だった




「へぇ、お前もプレゼント探してるのか」


あの後、同年代だったこともあり二人はすぐに息統合

さらに、お互い彼女もいるので親近感があった


涼悟が『お前』と言った少年、『黒夜満』はうなずいた

どうやら、同じ目的であの宝飾品店を訪れていたらしい


「お前もってことは、涼悟君も?」


「まあな」


涼悟は返事をすると、またウインドウを睨み始める

満もそれに習い、きらきらと光るアクセサリーを眺める

二人の視線の先には、指輪、ネックレス、イヤリング、ブレスレット、アンクレット……などが等間隔に並べられている


「……ところで、涼悟君は何をプレゼントするの?」


「ん?あぁ……」


満の質問に、涼悟は顎に手をあてて首を捻った


「うーん……。ブレスレットにしようとは思ってる」


「へえ」


「そういうお前は何にするんだ?」


「僕は…指輪かな」


満は頬をわずかに染め、銀色の指輪を見ながら呟いた

涼悟も、ブレスレットを見る


『う―――ん……』


宝飾品店に、少年二人の唸り声が響いた




その頃、宝飾品店の斜め向かいの喫茶店

そこに美斬はいた

なにやら、少しご機嫌斜めである


(もぉ、『待ってろ』って……いつまで待たせるの!)


どうやら、涼悟とデートの途中だったらしい

そうだとしたら、かれこれ一時間以上は待っていることになる

機嫌が悪いのも頷ける


「―――っ!ちょっと、離してくださいっ!」


美斬が不機嫌に紅茶を啜っていると、入り口から非難の声が聞こえた

美斬がその方向を見ると、桜色の髪の少女が男に腕を捕まれていた


「いいじゃねえか。一緒にお茶でもしようぜ?」


「結構です!私、彼氏と来てるので!」


「まあまあ、ちょっとぐらい良いじゃねえか」


なにやら、少女と男は揉め、さらに男の仲間らしい人間が少女の反対側の腕を握った

少女はその美しい顔を嫌悪に歪め、抵抗を激しくする

美斬は立ち上がり男達に接近、少女を掴んでいる腕を握った


「ちょっと、いい加減離しなさいよ」


「なんだあ?…お、あんたも可愛いじゃねえか」


男達は美斬の顔を見ると、にやりと笑った

そして、先ほどの少女と同じようにしつこく話しかけてきた

その度に美斬の不機嫌指数が上昇する


「いいじゃねえか。彼氏なんかほっといて、俺らと遊ぼうぜ」


「うるさいわね。離せって言ったら離しなさいよ」


「いいから大人しくついてこい!」


そう言い、男が強く手を引き、美斬の怒りが頂点に達した瞬間、男達が吹き飛んだ


『―――人の彼女になに手出してんだよ(ですか)』


声の持ち主――涼悟と満――は、男達を蹴り飛ばした姿勢のまま言い放った




「桜、大丈夫?」


「うん、その子が助けてくれて…」


満は桜に駆け寄り、彼女の安否を確かめた

桜と呼ばれた少女はそれに答え、美斬を指した

美斬は涼悟と男達を警察に突き出していた


「お前、すぐに俺を呼べよ!」


「だって、涼どこにいるのかわかんないんだもん!デートの途中だったのにどっか行っちゃうし…」


美斬が恨み言をぶつぶつと言っていると、満と桜が近づいて来た

そして桜が美斬の手を握り、礼を述べた


「さっきはありがとう。手、大丈夫?」


「ううん!こっちは大丈夫!あなたこそ、腕大丈夫?」


桜も笑顔で平気、と言った


「まあ、二人とも無事で良かった。桜、彼は鬼龍涼悟君。さっき偶然一緒になったんだ。涼悟君、彼女は『春風桜』……僕の彼女だよ」


「春風桜です。さっきはありがとうございました」


「無事で何よりだ。俺は鬼龍涼悟。んで、こっちが美斬」


「『火刀美斬』です」


四人は自己紹介を終え、談笑を始めた

やはり同年代、したも互いに好きな相手といることもあって話は弾んだ


「―――ところで、涼悟君と満君はどうして一緒にいたの?」


「あーそうそう。なんで?」


彼女達の同然の疑問に、二人は焦った


―――どうしよう、まだバレる訳にはいかない


―――ああ、なんとか誤魔化すぞ


刹那の内に目で会話すると、すぐに美斬達に答えた


「ちょっと、そこのトイレでな」


「行き先が同じだったから一緒に歩いてたんだ。そしたら、二人の叫び声が聞こえたから……」


美斬達はこの説明に納得したらしく、これ以上追及することはなかった




「じゃあ、僕達はそろそろ行くね」


満がそう言い桜と立ち上がるのを合図に、涼悟と美斬も立ち上がった

同時に喫茶店を出た


「じゃあね、美斬ちゃん」


「また会おうね!」


「またどっかで会いそうだな」


「そうだね」


満と桜は手を繋ぎ、寄り添いながら去って行った

二言三言話し、時おり微笑み合っている


「ふふ、すごく仲良いね」


「そうだな」


涼悟は同意し、美斬の手を握った

そして、じっと美斬の瞳を見つめる


「え、ど、どうしたの……?」


「……お前に、渡したいものがある」


そう言いポケットを探り、取り出したそれを美斬の腕に着けた

銀色のそれはきらきらと夕日に反射し金色になり、ところどころにあしらった小粒のルビーが深みを増した


「ブレスレット…?」


美斬は腕をかざし、まじまじと見つめた

その様子に、涼悟は優しく微笑んだ


「ありがとう。でも、なんでブレスレット?」


嬉しそうに涼悟の腕に飛び付き、何となく尋ねた

すると涼悟はにやりと笑い、美斬に顔を寄せた


「『お前は俺のものだ』っていう証。手錠、じゃないけど……離さないってことだ」


今日みたいな事があったら困るからな、と耳元で囁いた

その言葉に美斬は顔を真っ赤に染め、もう一度ブレスレットを見た

きらりと光り、腕にぶら下がっている


「あぅ、ありがとう……。……じゃあ、私もお返ししなきゃねっ」


顔を真っ赤にしながら言い、利用の袖を引いた

それにつられて顔を美斬に寄せると、頬に柔らかな感触が当たった


「……ずりーぞ、お前……。俺も、お返ししてやるよ」


真正面から美斬を見つめ、その柔らかな頬に手を

当て、ぐっと顔を近づけた

美斬も始めは慌てたが、すぐに力を抜き、瞳を閉じて涼悟に身を任せた


数秒後、二人の唇は重なり、ブレスレットが煌めいた

はい、外伝始めました

基本的に、本編の小噺やリクエストなどの短編集になります

リクエスト等がありましたら、感想・メッセージなどにどうぞ!


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