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I am not Alice.  作者: 氷雨
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Ⅳ話 ~猫の証言~

なんか、アルト最強になりそうです

違います。最強は(ネタバレ)さんです








俺はローティシャス=ヴォルトーネ。

チェイサーという位の中でも特に王族と親しいという、大きな権力を持つ家の名を背負うものだ。

まぁ、俺は生来の猫性格で奔放的な所があるから、家を継ぐのは義弟(おとうと)のロレイザだ。

アイツは頭もいいし性格も真面目で、何をさせても完璧やろうだから...まぁ、大丈夫だろう


それよりも、最近(ラ・ルー)の出現率が異様に高い。

もしかしたらアリス来訪の危機ではないか、と国中が戦いに備えて武器やら食糧やらを補充しつつあるのもその所為だ。

俺達チェイサーも、その原因や現アリスについて色々調べにとりかかっている最中であった。

飲まず喰わずで働いていた所為か、空腹を感じなくなって来た。

ちょっとやばいんじゃないだろうか、主にまわりの奴の目の虚ろさが。



ふと現実逃避をしてみれば、目の前を通りかかった鷹が何かを加えていたので反射的にそれを奪う

...臭い的に、どうやら食べ物のようだ。

一口かじれば止まらなくなる。栄養価も高いようで、それ一食で腹が満たされた。



まぁ、その後見ていた仲間に「俺にもくれええええええええっ」と群がれたが。

あれは...致死状態に陥ってたな。思い出しただけでも悪寒がする。






そんな混沌とした状態の中、俺は1人の女に出会う。







黒髪で、アリスとは似ても似つかない柘榴色の瞳。

(ラ・ルー)から現れた、見た事も無い衣装を纏った、感じた事も無い気配をもつ、女。

その女は、この国に住むにはあまりに無知で、あまりに純粋だった。

普段日の光りが差す事の無い沈黙の森が、まるで神を迎え入れる様にそよそよと祝福の風を送っている

アリスが渡ってくるかもしれないというのに、道を攻撃する大木の根や(エントマ)達は見当たらない。



これほどまでに、この世界への干渉を喜ばれた者がいただろうか。

神の兄妹である者以上に敬い、慈しみ、歓喜を表すだなんて、これを仕事仲間がみたらなんというだろう。

おそらく親友はぶっ倒れてなくだろうな、だってアイツ(エントマ)にトコトン嫌われてるし。

思い出したら可哀想になって来た....。



ま、とりあえず。






異物は取り除かなきゃな。


すっと、チェシャー猫に元々備わっている瞬間移動の能力(ヴォワール)を使って傍に近寄る。

そして、冷たい銃口を米神に穿って、問うた。





「この道はどこに繋がっているか、知っているか?」


と。








その、柘榴色の目が俺の目をじっとみつめる。

瞬間、こいつはとんでもない奴なんだと思わざるを得なかった。

無、だ。

こいつの瞳の中には、嘘も真実も何も無い

あるのはただの闇。

蝕むような、包み込むような、浸食するような暗い闇に引きずり込まれそうになる

銃を握る手が、柄にも無く震えて止まらない。

本能が警報を鳴らす中、少女はゆっくりと視線をずらして何かを探すかの様に目を泳がせた


とたん、先程までは機嫌良さげだった蟲が、俺の足の裏に齧り付いた。

そういえば蟲は、慕っている者の敵となりそうなものは必ず排除するんだったか?

これを狙っていたのか、この目の前にいる女は。

無知に見え、朧げで儚い印象は今はナリを潜め、かわりに獰猛な捕食者のような(オーラ)が漂う


大きく聞こえる様に舌打ちすると、再度念を押す様に問うた。





すると、何かの怒りに触れたのか。

女の瞳は、燃え盛る炎の様にゆるりと動いた。

その表情はまさに鬼のような形相で、思わず冷や汗が背を伝う。

怒りを隠し、沈めようとしているのか...女は再び視線を泳がせて、大きく深呼吸するように息を吐いた。

しかし伝わる苛立ちは一向に止まず、寧ろ抑えようとすればする程ふくれあがって来るようだ。



そして、それはついに爆破した。

俺は、生まれて初めて女に顔を潰されたのだった。












***



女...アルトはむっすりとしながら俺について来た

事情を話せばなんとかわかってくれたらしい。よかった、これ以上傷が増えなくて。

俺でもあれは本気で死ぬと思ったから、やはりアリスなのか、と余計警戒した

が、無意味な事に早々に気付いた。

アルトはちょっと抜けている


俺程の美形(自覚はしている、が誇張しないのでナルシストではないだろう)は早々いない

そんな男に好意を寄せられていると思えば誰もが嬉しがるだろう

が、コイツは気付いていない

まぁ俺も、本気でコイツに惹かれている訳ではないから仕方が無いと思えばそれで終わりだが

再び銃口を向けた時も、呑気にタンポポを見て笑っていたからな。


、まぁ、また回し蹴りをされるとは思いもしなかったんだがな。

先が思いやられるよ、まったく...。







ここまで読んで下さり、ありがとうございます

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