Ⅱ話 ~距離~
今回なんだか穏やかです。
*文章の中に顔文字が出る事がございます
ご不快に思われる方、申し訳ございません
アリスではないなと言われて、私は混乱していた頭が急速に冷えて行くのを感じた
アリス。アリスと彼は言ったか
私は、ただのヒトチガイにしては随分と酷い仕打ち(襲い掛かったも同然な事)に顔を顰めながら男の顔を見て、
驚愕のあまり声が出なかった
先程まで酷く恐ろしい顔をしていたのに、その傷跡は跡形も無く消えている
寧ろ美しさを倍増させた、とでも言おうか。
そう、彼は佳人だった。
殴るまでの印象は、はっきり言って死ねばいいと思う程綺麗で、なんで男なんかやっているんだろうと思ったぐらいだった
女の私が、負けている。美形死んでまえ。(妹を除く)
妹は綺麗な男性としか結婚しないと言っているのだが、私的に誰とも結婚せずにそのままで居てほしい
むしろ私...
えー...っ
......ごほんっ、話がズレましたね。
深い赤の瞳はどこか氷を思わせる切れ長な形に切り取られ、それを覆う睫毛は長い
肌は程よく日に焼けているが、それでも男性にしては色白く。
引き締まった筋肉は無駄がなく、すらりと長い手足には(心の中だけで)感嘆した。
髪は紫に近い赤で、光に当たると時折発光したように煌めく
と、このように絵に描いたような男が、さっきより更に美しく見えるのだ
きっとゾンビ状態の時の映像が私には衝撃的過ぎて、視覚処理が上手くできていないんだ
と思う。思わせてくれ殺したい(^ω^#)
「なぁ、悪かったからさ、名前教えろって。」
「嫌よ。何で貴方に教えなきゃいけないの。」
「いいじゃん。あっ、俺はローティシャスってんだけど、長いから今はティスで良いよ」
「あ、そう。遠慮なくオニイサンと呼ばせて頂くわ。それにしても随分態度が違うわね?」
さっきからずっと疑問に思っていた、この砕けた喋り方
私を射殺しそうな程鋭い視線を放っていたとは思えない三日月形の瞳に、柔らかく動く唇。
なんだ、その”皆蕩けるキラキラ笑顔だよ、てへへ★”っていう微笑みは。殺してほしいかコノヤロウ。
と怒り心頭で私のハートは既にブロークン。このまま放置してくれ...。
「ちぇ。..ま、アンタがそれで良いなら良いけどさ。」
「ちょっと、私の質問はスルー?」
「ん、何か言ったか?」
コイツ(^ω^#)
笑顔で殴ろうかどうか絶賛検討中だ。
正直言えばなんでさっきので死ななかったんだ....
「あっ、」
「!?、何だよ」
突然呟いた私に、どうやらオニイサンはビックリしたらしい。ざまぁwww←
じゃなくて、そう、じゃなくて!!!!
「オニイサン!!なんで顔戻ったの(さっきぐらいが丁度いいと思うけど!!!)」
「は?...あ、しまった」
「しまったじゃないでしょう!?ちゃんと教えなさいよ!!」
「いや、俺は...ていうか気付くの遅いな?鈍いとか言われないか?」
五月蝿い、と言ってギリギリと首を絞めあげれば、観念したという風に降参ポーズをとるおにぃーサン。
それを合図に手を離せば、目の前には先程の化け物のような顔がすぐ傍にあった
が、一度経験した恐怖は一瞬で克服してしまうのが私の悪くも良い所。
つまりは慣れた。
私が驚かなかった事に気を削がれたのか、おにぃーサンはすぐに顔を元に戻す
あ、戻さなくって良いのに。
ていうか私、今物凄く失礼な事言われなかった?
「そんな事言われた事ないわ。それよりどうやって顔を変えているの?」
「いや、適当に顔をぐちゃっとすれば治る。最近手に入れた能力なんだ」
「ゔぉ...なんて?」
「ヴォワール。それも知らないだなんて...__お前もしかしてやっぱアリスなんじゃ....」
ジャコンッ
再び銃口がアルトの米神に当てられる
が、当の本人といえば、呑気に草むらに生えたタンポポらしき花を見つめて「可愛いなぁーふふふ」と
乙女モード全開である。笑顔が凄く爽やかだ
そんな彼女に毒されてか、絆されてか、ローティスは手を下ろした
「お前みたいな変わった奴がアリスな訳ない、か」
「ちょっと、今のは聞こえたわよ糞野郎。人の事変わってるなんて失礼じゃないの」
「お前の口から糞という言葉が出た時点でお前の方がよっぽど失礼な奴だ」
「....しかもサンドウィッチ食べたし!!」
「?...あぁ、あのパンは上手かった。携帯食料として売り出せばめちゃくちゃ人気になるんじゃないか?」
「このブタぁあああああああああああああああああ!!!!!!!」
人をブタと呼ぶのが最近癖になりつつあった(脂ぎった何とか男爵が妹に不埒な事をしたから。)
アルトは、つい、本当につい癖で、大声で叫んでしまった
その後、言葉遣いについて凄まじくローティスが説教めいた事を喚きだしたのは言うまでもない。
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「ねぇティス。」
「なんだアルト。足痛くなって来たか?おぶろうか?」
「んーん、良い。それよりさぁ、何処に向かって歩いてってるの?」
「えーと、城?」
「なんで疑問系?そして貴方の就職先が凄く気になったよ、現在進行形で」
なんだかんだで打ち解けてしまった私たちは、延々と道を歩く。
道と呼べるのかどうかは解らないが、獣道も道と言えば道なのだろうか。(ミチミチミチミチ鬱陶しいな)
そういえば歩いている途中で、さっき立っていたようなド派手な看板が沢山立っていた。
内容は全て”ワンダーランドに来るな!!”とか、そんな感じ
何を意味するのかは解らないけど、ワンダーランドっていうのを大切に思っているのは伝わった。
それにしても自然の美しさをもみ消すような色だな。
なんで紫の看板に黄色で文字を書くんだ。
この”ワンダーランド”っていうのは、ちょっと...ていうかもう本格的に洗脳入ってると思う
「俺の就職先が気になるぅ?...お、俺は別に良いけどよっ!!(照)」
「はぁ?」
「あれだろ?つまりは将来の夫がどんだけ稼いでるかって知りたいってことだろ?//」
「(情報処理中)...はああっ!?ちょ、違うわよ!!!」
「ふっ、照れんなww俺に気があるんだrげぶぉおおおおおおおおおおおっ!?」
頭が痛くなる程馬鹿なので、暫く黙っていてもらえる様に軽く鳩尾に回し蹴り。
踞って悶えているのを視界に入れて、まるで世界中から美しい花々を貰った乙女の様にふわりと笑った
目だけは感情の通りに憤怒に燃えていたが。
「いってー....てれんなyなんて思っていませんともえぇ大丈夫ですからその笑顔は止めて頂けますか恐ろしくて貴女様に詳しく丁寧かつ理解しやすく早くまとめてご説明しようにも脳が真っ白に灰になってしまいますのでいえ別に逃げているわけでも言い訳したいわけでも無いのですよ誤解を招いてごめんなさい貴女様の目の前に現れてしまってごめんなさい寧ろ生まれて来てごめんなさい存在しててごめんなさい...」
「あーうざいやめて。もう笑わないから、いや怒ってないから。」
こいつネガティブになるとトコトン鬱陶しいな。
....うわ、口の中がすっぱくなってきた
もちろん吐き気で、だ。
ローティスは、ほっとした様に弱々しく笑うと、少し紫色に変色した唇を動かした
どんだけ怖いんだ、私の微笑み
「俺の就職先ってか、血統は”追跡者”だ。ていうか種族がチェシャー猫だからな。性に合ってるんだろ」
「チェイサー......猫ぉ?」
「あぁ。耳と尻尾が生えている訳じゃないけど、猫と同じような体の作りに成ってる。ついでに言えば、この髪や瞳で判断するぜ。」
ローティスは屈託なく笑うと、猫は紫、うさぎは白や黒。女王は赤で帽子屋は紺色とかだな、と説明してくれた
そして、長い長いこの国についての説明をしてくれたのだった
段々とティス君がわかってきましたね
本性は只の馬鹿。お仕事先では鋭いみたいな
そしてアルトがドンドン男勝りにwww
妹への煩悩をもっと炸裂したかった←
そして、ちょっとR15指定だけ外させて頂きます。
今の所そういう流れがありませんので(滝汗
楽しみにして頂いていた方には申し訳ないです。首吊ってきます((
そのうち雰囲気でてきたら、追加させて頂きます。
それでは!!!
追記:ローティシャスの愛称を変更させて頂きました。
なんとなくロートは不自然かな...と思いましたので。